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放課後デート
午後の授業も終わり後は直輝を待つだけなんだけど俺は先に隣校舎にある専門の校舎にいた
ある人を求めて専門2年のクラスに向かう
クラスの前につき、目的の人を居るのを確認するとドアの近くにいた先輩に声をかけた
「あの、すみません」
「え?なに?」
「…椎名瑞生さん呼んでもらえますか」
俺がそう頼むと先輩は快く承諾してくれて瑞生さんを呼んでくれた
瑞生さんは俺を見るなり驚いた(ような)顔をしていつもと同じ飄々と笑うとこちらに手を振ってから鞄をもち向かってきた
「祥おはよー」
「……もう学校終わりです」
「ふふっそうだね……それでどうしたの?」
「……あの…ほかの所で話せませんか?」
「うん、いいよ」
そう話すと俺は瑞生さんと一緒に階段裏に向かった
「…あの瑞生さん」
「祥こんな人気ない所に俺と来ていいの?」
「え?」
「また俺に襲われるかもしれない」
「そんなこと…」
「それに祥の騎士様がお怒りになるよ」
「………瑞生さんはそんなことしません」
「………」
「昨日だって…俺も抵抗しなかった………でも俺が怖いって思った時瑞生さんは俺より先に気づいて辞めてくれた」
「…………」
「……直輝にわざわざ住所送ってくれたんですよね」
「直輝君から聞いたの?」
「はい……何だかんだ言っても瑞生さんの事直輝も嫌ってないです…だから怒られたりしません」
「ふふっ俺は大好きな祥取られた相手に好かれても嬉しくないけどね」
「……すみ…ません…」
「…謝らないでよ祥」
瑞生さんはそう言うと纏ってる雰囲気が少し変わった。そして目を細めると再び口を開く
「……祥は今幸せ?」
「え……はい」
「うん、そっか、それなら良いんだ」
「………」
「祥の事本当に弄んでるなら本気で祥貰うつもりだったけど…あんな必死に走ってきて鬼みたいな顔して………直輝君も祥が大好きなんだってわかった」
「………」
「……それに、昨日は楽しんだみたいだし?」
「っっ」
「腰痛そうにしてるから散々苛められたみたいだね」
「み、瑞生さん…」
「ふふっごめんごめん祥が可愛いから」
「……俺男です…」
「うん、そう、でも俺は男でも祥が好きだったよ」
「……」
「誰かのこと好きって気持ちになれなかった俺に初めてそんな気持ちを教えてくれたのは祥だった」
「……瑞生さん」
「ありがとう、幸せになるんだよ」
「…っ」
瑞生さんは綺麗に笑いながらいつもと同じく頭を撫でるとそれだけを言い残して俺の横をすり抜けていく
「俺も…俺もありがとうございました」
瑞生さんの顔が見えない
「…瑞生さんにそう言って貰えて」
階段を降りていく瑞生さんの後ろ姿だけ
「俺はそんな先輩に会えて幸せです…」
俺の言葉を聞いてヒラヒラと手を振るその後ろ姿だけを見つめて最後まで消えていくまでずっと瑞生さんの後ろ姿だけを眺めていた
「瑞生さんありがとうございました」
「祥…ありがとうね」
2人の言葉が音になり重なる
しかしその声は互いに届く事はなく
交わらなかった各々の気持ちのように
膨らんでは弾けて消えていった
しかし2人共悲しみの中に何処か不思議と笑顔を浮かべながら
これからまた始まる新しい関係が二人のあいだに生まれて
今終わりを告げた一つ前の今迄の関係に
切なさと感謝を呟き
これからの未来に二人は足を踏み出す
何処かで誰かが笑う裏では
何処かで誰かが泣いている
一人の青年の淡い恋心と引換に
一人の青年達が愛を育み出した
誰かに背中を押されて始まった恋。
だからこそしっかりと胸を張って大切にしていきたいと祥は先輩でありあの日背中を押してくれた感謝すべき人でもある瑞生の後ろ姿を脳裏に刻みそんなことを心の中で決意したのだった
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