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03
プラネタリウムは一番最後の夜の回のチケットを取った
まだ3時間ほど余裕があるからブラブラして遊んでいたり本当に普通にデートで何かされるかもって警戒も薄れてきた時直輝がクレープ屋の前で立ち止まる
「祥、甘いの食いたいんだけど」
「うん、食べよっか」
直輝は意外と俺よりも甘党で良くケーキとか食べたりしていた
俺がケーキ作ったときはそう言えば嬉しそうに食べてたなーて昔のこと少し思い出して微笑ましい
「何味がいい?」
「んーどれがいいの?」
「期間限定ってあるけど」
「うん、じゃあそれがいい!」
直輝がクレープの屋台に張り紙をしてあった期間限定のラズベリー味のクレープを二つ買ってきてくれる
「ほら」
「ふふっありがとう〜」
ベンチに腰掛け2人でクレープを食べながら街行く人々を眺めながら色んな話をした
最近の直輝の仕事がかなり増えてきた事とか
そろそろまた検定試験があるから少し時間が減るかもとか何気ないけどこういうお互いの近況わざわざ報告するのとかって新鮮だなって胸が甘酸っぱくなる
話に夢中になっていたら直輝は綺麗にもう半分は食べ終わってるのに俺はまだ全然形も綺麗なままで上に乗っかっていたアイスが夏の日差しに照らされ溶けだした
「祥手に垂れてる」
「わぁっ!ほんとだ!…舐めちゃえ」
握っていた親指と人差し指のあいだに生クリームとアイスがトロトロに混ざり合い溶けたものがタラタラと流れてる
手持ちのティッシュを出すよりも先に舐めた方が早いと思ってチロチロ溢れたアイスを舐めとっていた
そのまま溶けたアイスを舐めていたけど想像以上に溶けるのが速くて食べるのが遅い俺はそれに追いつかない
「…………祥って食べるの遅いからこうゆう溶けるもの食べるの下手だよな」
「うぅ…言うなよ…」
「あ、また反対側溶けてる」
「え!わーもー、直輝拭いてー!」
俺はくるっと直輝の方に体を向かせて指に伝っていくアイスを拭き取ってとお願いした
そしたらいきなりクレープを持っていた左手を直輝に掴まれ引っ張られる
危ないな!って思った時にはもう既に直輝の顔の前に俺の手があって手首を掴んだまま俺を見つめながら直輝が指を舐めた
「ひゃぁ!」
「…あまい」
驚きといきなりの刺激に驚いて変な声が出た俺は慌てて口を空いてる手のひらで隠す
最初はアイスだけ舐めとっていたのにどんどん舌の動きがいやらしくなってきて力が抜けてきた人差し指に舌を絡めて口の中に含まれる
「…ふぅっ…ンッ…」
チュックチックチュッと
わざとリップ音を立てて直輝が指を舐め回しては上下に咥えて出したり何だかその動きがフェラされているみたいでそう思ったとき恥ずかしくて手を引いてしまった
「っそ、そんなところついてない」
「んー?ついてたけど」
「う、嘘…」
「ふっなに?いやらしく思っちゃった?」
「なっ違うし…」
顔が赤くなるのを隠す為にぷいっと顔をそらし前を見ると驚いた。
街行く人々の何人かが俺たちの事を見ていたからだ
「〜〜〜っ!!」
「どした?」
「な、直輝が変な事するから人が見てた…」
「ふーん、もっと見せつけてやる?」
「し、しない!」
前を見てるのも恥ずかしくなった俺はしたを俯きながら口の中にクレープを運ぶ
ドキドキしていて味が全然わからない
夏の暑さでクラクラするのかさっきの直輝の目にクラクラするのか分からなくなってきた
指舐められる所見られるなんておかしいって思われたかな…変だよね…うわーもう恥ずかしい…
羞恥で目が回っている時直輝がいつもみたいに少し長い横髪を俺の左耳にかけてくれた
「クレープにつくよ」
「…っ…ありがと…」
いつも左耳に髪をかけてるから今更だけど何だか今だけ物凄く外に晒されてる耳が恥ずかしい
赤くなってないかな…なんて少し過敏に思っていたとき直輝が耳元でいきなり話し出した
「…食べねーなら俺が食べるよ?」
「…っ…ん…た、食べれない…」
吐息がかかって直輝の低いハスキーな声が耳元で聞こえる
それだけでゾクゾクと腰が震えてバクバクと心臓が鼓動を打つ
直輝は普通にしてるのになんで俺こんなに意識してるんだろ…これじゃあ俺の方が変態だよ…
クレープを食べる余裕がついになくなった俺はまだ全然食べれてないまま直輝に渡した
「わーい」
「………」
ドキドキと心臓がうるさい
さっき食べていた少し甘酸っぱいラズベリーのソースの味が口の中に広がっている
直輝も今俺と同じく甘酸っぱい味するなって思ってるのかな…
直輝と今キスしたら甘いのかな…
ぼんやりとしだした意識の中でそんなことを考えている俺に気づいて慌てて頭を振った
「………何一人で騒いでんの?」
「へぇ?!あっな、なにも…」
「ふーん、食べ終わったし行こうぜ」
「もう食べたの?」
「祥の一口が小さすぎんの、ほら」
「あ、うん」
直輝に腕を引かれて立ち上がる
少し手がアイスでべたつくからトイレに行って手を洗った
少し冷たい水に手を浸かったせいか少し心が落ち着いて鏡を見たときドキッとする
鏡に映る俺は自分でも見たことないくらい顔が赤くて目が潤んでいて…
なんかこれじゃあ恋してる女の子みたいじゃんか…女々しい俺…
直輝はいつだってクールで余裕綽々なのに俺だけこんな必死な顔してたなんて恥ずかしいと思ってトイレを出るときにはもう一度気を引き締めた
「祥ゲーセン行こ」
「行く!」
トイレの外で待っていた直輝にそう言われて俺は久しぶりのゲームセンターに直輝と向かった
直輝も俺もゲームが好きで昔から家でゲームしたりしてたなーなんて思いながら懐かしい拳銃を使ってゾンビを倒すやつをやる
「祥ビビりすぎ」
「びびってない!」
「嘘つけビクビクしてた」
「してないし」
実際はいきなり出てくるのとかお化けの類はあんまり得意じゃない俺はまた恥ずかしい所を指摘されて否定ばっかしてしまう
ブラブラとゲームセンターの中を歩いていると大きな白いライオンのぬいぐるみがクレーンゲームにあった
「ふふっ」
「…どうした?」
「あ、いやこの子直輝に似てる」
「……どこが」
「んー肉食なところ?」
「意味分かんねー」
「でも可愛いところ!」
俺がワクワクとした目でその人形を見ていたからだろうか直輝がおもむろにお金を取り出しクレーンゲームをはじめる
なんだ直輝も可愛いって思ってるんじゃん!
なんて思いながら直輝を茶化してた
「こんな大きいの取れないよ直輝には」
「じゃあ取れたら?」
「んー、何でも言う事聞いてあげる!」
「言ったな?」
「うん、なんなら一日中聞くよ」
「覚えとけよその約束」
「いいよ!だって取れないもん絶対!」
俺は自信満々にふんっと胸を張って直輝にそういった時直輝が動かしたクレーンは見事にそのホワイトライオンを掴みあげ穴まで持ち上げた
…………………え、嘘…
ぬいぐるみは一度も落ちることはなくそのまま落とし穴までしっかりとクレーンに挟まられて見事に直輝はぬいぐるみをゲットする
「賭けは俺の勝ちな」
「え?!うそ!すご!」
「俺のお願い一日中何でも聞くんだろ?」
「ゲッ」
絶対取れないと思ってたからそんなこと言ってしまった自分に後悔した
「男に二言は?」
「………無いです」
「ん、いい子、ほらやるよ」
「え?!」
俺がションボリと肩を落としていると直輝が枕よりも遥かに大きいサイズのぬいぐるみをくれる
「これ欲しかったんじゃないの?」
「へ?!いや…え、だって直輝が欲しいんじゃないの?!」
「ばーか、俺はこんなのに興味ねーよ」
「…でも」
「祥の為に取ったから要らないなら返す?」
「え!やだやだ!欲しい!」
「はい」
「…ありがと」
そう言って胸に突きつけられたのは大きな口をあけてこちらを見つめてくる可愛い目をしたライオンのぬいぐるみ
「…やっぱり直輝に似てる」
「それは分かんないけど祥が嬉しいならいい」
「直輝だと思って毎日一緒に寝るね!」
「…………」
俺は大きなぬいぐるみを腕でギュッと抱きしめた
可愛い!本当に可愛い!
るんるんとした気持ちで店員さんから袋を貰い汚れないようにその中にぬいぐるみを入れた
直輝の元に戻ってニコニコとしていたら直輝が何だか様子が変だ
「……直輝?やっぱり人形欲しかった?」
「バーカ違うよ」
「え、じゃあ…」
「…なんでもねー、ほらいくぞ祥ちゃん」
直輝は俺に顔を見せないようにしてぷいっと背けるとスタスタと先に歩いていってしまう
俺何かしたかな?やっぱり人形欲しかったのかな?
なんて不安に思ったけどゲームセンターを出るときにはもう直輝は普通の直輝で俺もすっかりさっき迄の直輝を忘れて楽しんでいた
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