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キスマーク

直輝と付き合って変わらず何だかんだと言っても仲良く過ごしていた 俺も夏休みに入ってバイトと学校で自由に開かれてる実習室を使って練習しての行き来で忙しいし 直輝は直輝で仕事が色々多くて大変そうにしていた 会えても1時間とかそんな時もあってお互いにやること消化するのに精一杯ながらも会ってたりしてたんだけど… 昨日その…いつも通りに会ってたら押し倒されて、し、し、しちゃった時に直輝の肩にキスマークがあった 直輝はモデルだから俺は一度もつけたことが無いはずで、驚いて思わず「なにこれ」ってぽろっと口にしたらそれに気づいた直輝は先輩に冗談で付けられたって話してくれて その事に嘘ついてるだとかは全く疑わなかったし大変だねって改めて直輝の事労わってやろう!とか思ったんだけど 少しだけ俺も付けたいのにいいなぁなんて思っちゃった事に直輝は好きこのんで付けられたわけじゃないのに俺は何考えてんだって自分に呆れながらバイトを上がった 家に帰って陽と、陽の幼馴染みであり親友の俺も良く知っている悠叶君って子と三人でご飯を食べて談笑していた時携帯が鳴る 二人から離れて電話に出ると直輝だった 「もしもし?」 「祥今何してる?」 「家で夕飯食べて陽とハルと遊んでたよ」 「俺今仕事の打ち合わせ終わったんだけど暇?」 「暇!」 「よかった、俺マネさんに送って貰うから祥の家寄るよ」 「はーい!」 電話を切り終わり二人の元に戻り暫くすると直輝のマネージャーさんである篠田さんが車で迎えに来てくれた その車に乗り込んで直輝の家に向かう 仕事の打ち合わせって言う名目の直輝を見定める為に開かれた食事会だったらしく篠田さんは直輝に「あんな席に呼んじゃってごめんね」と謝っていた でも当の本人は「気にしないでよ」と言っていてこれも仕事だからと割り切っているみたいだ 家に着いてからは直ぐに直輝がお風呂に入って、俺はそのあいだ今流行ってるドラマをソファに座って眺めていた 美容院は情報量が大切だから今流行しているものは大抵知っておくとお客さんとのコミュニケーションにもなるし そうすれば言いにくくてなかなかこうして欲しいと頼めない人とも打ち解けるきっかけになって満足な仕上がりに出来たりだとか やっぱり大切な髪を触らせてもらう間リラックスもして欲しいし笑顔をみたい だから俺もまだ学生だけどアルバイトだけど早く先輩達みたいになりたくてこういう空いてる時間は情報集めみたいな事をしていた でも何気なく付けた恋愛のドラマが面白くて、これは確かに人気になるよなーなんて思って見ていたらいつの間にかお風呂から上がった直輝が髪をガシガシ乾かしながら横に立っていた 「あ、直輝も座る?」 「おー…祥〜髪かわして〜」 「ふふっいいよ、おいで!」 ドライヤーを持って俺にそう言ってくる直輝が可愛くて笑いながら見上げた時一瞬時間が止まった 昨日迄は確か肩にしかなかったキスマークが今度は直輝の鎖骨下に付いている それも一つだけじゃなくて何個も 驚いて固まる俺に直輝はなにって顔して見てきた 無自覚って事はこれも先輩なのかって何となく想像がついて開きかけた口を閉じる ……大丈夫大丈夫 自分を落ち着かせるように呟いて再び笑うと立ってる直輝を見て隣をポンポン叩いて座ってと伝えた ブオオオと駆動音を立てて暖かい風が出るドライヤーを手に持って直輝の後ろから髪を乾かしてやる 「祥の手きもち〜」 「そう?よかった」 「もうこのまま寝たい」 「最近忙しいもんね、髪乾かしたら俺帰るよ」 「え?泊まれよ」 「……いや直輝も疲れてるし俺もたまにはゆっくり寝たい」 「ふーん」 「…………」 それから少し気まづくなってしまいお互い喋ることはなくて、部屋にはドライヤーの音と今流行りの恋愛ドラマに出ている女の子の楽しそうな声だけが響いていた 「………うん、乾いたよ直輝」 「ありがと」 「いいえ〜」 「………あれしないの?」 「あれ?」 「いつも髪乾かした後祥って俺の頭に顔埋めるじゃん」 「え?!嘘俺そんなことしてた…?」 「……無自覚かよ」 直輝は振り返る俺を見てニヤつく 「ニヤニヤすんな深い意味なんてないからな」 「俺の事好きすぎてしちゃうの〜?」 「黙れ」 ニヤニヤと弄り出す直輝を尻目にあしらうとドライヤーを片した 「…祥本当に帰んの?」 「うん帰るよ」 「なんで?」 「だから俺もたまには家で一人で寝たいし」 「嘘」 「えっ」 「祥さっきから変だけど」 「…………そんなことない」 「ふーん」 「…………帰る」 これ以上一緒にいたら余計な事言いそうで鞄を持つと玄関に向かう 「もう電車無いんじゃねーの?」 「まだあるよ、後10分位後ので最後だけど間にあ」 腕時計で時間を確認して後ろを向き直輝に伝えようとした時腕を掴まれて壁に押し付けられた いきなりの事で何も出来ないままの俺の顎を直輝が指先で上にクイッと向けるとそのままキスをされる 「んっ……ふ…ん……ぁ」 優しいゆっくりなキスに帰ろうとしていた意志が弱まる 「……ふぁ…ん………んぅ…」 「………、…後10分だっけ?」 「…んっ、…うん」 「じゃあ後10分キスな」 「えっ?それじゃあ間に合わないよ!」 「間に合わせない為にキスするんだよ」 「待っ」 熱い直輝の目に捉えられて逃げ出そうともがく俺の両腕を直輝に壁に縫いつけられて口を塞がれる さっき迄の優しいキスとは違って逃げても逃げても追い回しては激しく絡められて掻き乱してくるキスに力が抜けてくる 10分も耐えられない… ちょっとしただけでも腰がしびれて力が抜けるのにこのままずっとしてたらって考えたらぞくぞくとしたものが背中を駆けた クチュクチュとお互いの唾液が絡まり合う音が玄関に響く たまに漏れる熱い吐息が興奮を表していて帰らないとって思っていた俺の考えは段々溶かされて気づいたら直輝に押さえ込まれていた手は直輝の背中に回していて俺からも直輝を求めていた ◇◇◇◇◇ どれだけ玄関で抱き合いキスをしていたのか直輝が離れた時には足が震えて立つのに精一杯だった 「10分以上しちゃったね」 「…んぅ…直輝…っ」 「ふっ、しょーちゃんもう腰抜けたの?」 「……お前が…そんなキスずっとするからぁ…」 赤く濡れた直輝の唇がいやらしく笑う 「もうこれで帰れないね?」 「…………」 「じゃあ向こうの部屋で何に拗ねてたか話してもらおうかな」 「す、拗ねてない」 「嘘つき」 「…ほんとに」 「へ〜、いいよ祥が素直じゃないのは今に始まった事じゃないから俺のやり方で聞き出す」 「え?!」 直輝の声が少しだけ冷たくなり驚き顔を上げると直輝に抱きかかえられた 「ベットの上でゆっくりじーっくり話し合おうか?」 「やっ…やだやだ!離せ!」 「勝手に拗ねて帰ろうとしたお仕置きな、嫌がっても許してやんないから」 直輝はそういうと寝室の扉をあけてベットの上に俺を寝かせる 俺の上に跨るとギラギラした目をして俺を見下ろした ………逃げられない 直輝の目を見てそう思った俺は一体どうやって誤魔化そうかと考えたのだった

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