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風邪っぴき
直輝と毎日ダラダラと過ごしながらお互い仕事やバイトに行っていたら夏休みもあっという間に半分以上も過ぎていった
久しぶりにバイトもない俺は直輝の家で夕飯を作って待っている
まだかな〜て待ってたら夜八時過ぎくらいやっと直輝が帰ってきた
ガチャって音がして廊下を走って出迎えに行くと直輝の背中が見えて抱きつく
「お疲れ!」
「ーーっ………ただいま」
「……?直輝…?」
「…祥…悪いんだけどさ、今日は帰ってくれない?」
「へ…?な、なんで…?何かあった?」
「いや…そうじゃないんだけど…」
背中に抱きついた俺を引き剥がして直輝が廊下を歩いてく
初めてそんなことを言われて酷く困惑した
勝手に入ったから…?
でもそんなの今迄も…
何かあったんだろうかどうしたんだろうと不安が広がる
直輝は全く怒ったり不機嫌だったりそういった感情を表立って見せないやつなのに今の直輝は見るからにテンションが低い
このまま帰った方がいいかと悩んだときリビングから物凄い音が響いた
「な、直輝?!」
弾かれように廊下をかけてリビングに入ると水を飲もうとしたなか冷蔵庫の前で直輝が倒れている
「直輝?!どうしたんだよっ……あっつ…」
「…っ……祥…悪い、ちょっと疲れてるから…寝させて…っ」
直輝のオデコに触れると普通の体温よりも熱い熱が伝わってきた
「……………ちょっとじゃないだろ、これ熱だよ…いつからなんだよ」
「ふっ大丈夫大丈夫〜薬飲んで寝てれば治るから」
「…なんで言わないんだよ」
「言ったらナース服着てくれる?」
「…………早く寝ろ馬鹿」
苦しそうな癖にそれでも弱味を見せない直輝の肩を組んでベットへ連れていく
シャツとズボンを持ってきて直輝の服を脱がすと楽な格好に着替えさせた
「きゃー強姦〜」
「うるさい!」
「ふっ祥ほんと大丈夫だよ、だから帰りな」
熱で力も入らないくせに何が大丈夫なんだよ
そんなに俺に頼るのが嫌なのか
「……どこが大丈夫なんだよ」
「んー?今からエッチ出来るくらい大丈夫」
「………ならする?」
「えっ」
「できるんだろ?そのくらいの元気はあるんだろ?」
「ちょっ祥…っ、悪かったって、今はまじできつい」
ヘラヘラとそういう直輝にムカついてズボンを下ろそうとすると初めて直輝に拒否された
それもそれでなんだかアレだが
性欲魔人が断るくらいなんだから本当にきついんだろう
「……黙って寝てろよ、たまには俺にだって頼ってくれてもいいだろ」
「はー……祥も夏忙しいだろ?お前は陽の面倒も見なきゃならないし来週には大切な検定あるって言ってただろうが…だから今熱なんて移ったら大変なんだから家に帰れ」
喋るのもきついのか目のうえに腕を置いてはぁはぁと苦しそうに息をしている
「………風邪引かないし大丈夫」
「……だーめ、帰れ」
「……やだ」
「祥、今日は我が儘言うな」
「…別に我が儘じゃないし」
「我が儘だろ」
「いつも我が儘言ってないし」
「ふっ…もっとぉ〜て我が儘いうじゃん?」
「なっ?!それ…は!ちがっ」
「あははっ!……ほら、大丈夫だから、帰りな」
「……」
「しょーちゃん」
「やだよ…」
「……本当に……俺だって帰ってほしくないのに言ってんのに……風邪うつったら後々苦しいのは祥だぞ?」
「………大丈夫…検定試験もちゃんと勉強してたから…」
「……はぁ…わかったからそんな顔すんなよ」
「………ごめん…直輝辛いのに…でも置いてくのはもっとやだよ」
「……ありがと、じゃあ俺さ少し寝たいから祥はリビングにいてくれない?一緒の部屋で寝るのはまずいから………祥が寝るときはこの部屋換気してこっちで寝な」
赤い顔をして窓を指しながらそういう直輝にムッとする
病人追い出してなんで俺がベットで寝るんだよ…こいつはどこまで自分の事後回しするんだ馬鹿
「直輝はずっとここで寝ろ!俺はソファで寝る!馬鹿野郎!」
「なんで怒んだよ…」
「当たり前だろ?!なんで今は直輝が辛いのに俺がそんな甘やかされなきゃなんないんだよ…それじゃあ本当に直輝の負担になるだけじゃんか!……もう布団かぶって寝ろ!」
「わかったわかった!…帰りたくなったら帰れよ?」
「うるさい変態!ちゃんと寝ろよ!俺リビングいるから何かあったら呼べよ…」
「はいはい、しょーちゃん寂しいからってオナニーすんなよ?」
「なっ?!しないわ!」
直輝のニヤニヤとした顔を見てべーっと舌を出して扉を閉める
さっき薬飲んでたみたいだから
2時間後くらいにお粥でも食べさせようかな
そう決めると机に用意していた料理にラップをかけて片付ける
テレビがついてたら寝れないかなと思って電源も消して俺も静かにいようってソファに座り込んだ
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