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空にキラキラと輝く花火に胸が躍る 何歳になっても何度見てもやっぱりこの瞬間は心臓は高鳴って興奮して感動して切なくなる 「祥感動しすぎ」 「だって……綺麗だから……」 「ふふっ祥のが綺麗だ」 「………気持ち悪…前見ろよ」 「俺はずっと祥見てたい」 「あっそ!もう折角花火みにきたのに」 「拗ねんなって」 「拗ねてないよ……直輝はつまんないのかなって思っただけ」 本当は少し拗ねながらカサカサとりんご飴の袋を開ける 真っ赤なキラキラとしたりんご飴少しペロッと舐めると口の中に甘い砂糖の味が広がった 「美味しい!」 「よかったな」 「うんっ」 まただ、また直輝の笑顔が優しい 最近少しだけ直輝が違う笑い方をするようになった 前まではどこか飄々としていて掴みどころがない奴でいつでも余裕綽々に笑ってて 人を小馬鹿にしたりニヤニヤしたりだったけど最近今みたいに物凄く優しい顔をして笑う 初めて見た直輝の表情で胸がドキドキするんだ これだけ長く一緒に居てもこうやって初めて見るまだ知らない直輝の顔があったこと もし俺が付き合ってなかったらこんな優しい顔して笑う直輝に会えなかったこと 急に幼なじみから恋人なんて俺にはうまく切り替えも出来ないし、付き合ったとして本当に直輝を好きになれるのかなんて色々考えてた頃が懐かしく思える そんな心配全くいらなかった だってもう直輝に笑いかけられる度に幸せすぎて泣きそうになるんだから 「祥りんご飴本当に好きだよな」 「うん、好き!溶けないし」 「それでかよ」 俺の返事に直輝がケラケラと笑う 打ち上がり続ける綺麗な色とりどりの花火が綺麗で切ない こんなにも大きく堂々と咲いて魅了するのに一瞬で夜の空へと吸い込まれていくんだ 「……祥」 「ん?」 「来年も…来よう」 「えっ?」 ちょうど花火の音で直輝の声がかき消された もう一度聞くために直輝へと顔を向けて心臓がドキドキと急に煩く鳴り出す 真っ直ぐに真っ直ぐに俺を見てくる直輝の目がキラキラと輝いている 白髪はサラサラと優しい風に揺れていて花火の光に直輝の顔が照らし出される度その真剣な顔に胸が熱くなった 「来年も来よう、二人で」 「へ?う、うん」 「来年も、再来年も、その次も……ずっとずっと」 「直輝…?」 「俺昔花火とかぶっちゃけどうでも良かった」 「………うん」 「でも今日祥と居て初めて綺麗だと思った…なんでこんなに綺麗なのに気づかなかったんだろうな俺」 「ふふっ直輝がひねくれてるからだよ」 「そうかもな……でも祥が隣に居てくれてから本当に毎日が変わった、適当にやってた事も祥みたいに真剣にやりたいって思った」 「………うん」 「…俺は男で祥も男だけど、ずっと一緒に居たい…今だけの感情だとか言われそうだし…永遠に一緒にとか…絶対離れないとか…どの言葉も無責任で未来なんか分からないんだし頼りのない言葉だけど」 「………」 「でも祥…俺本気で思ってる………俺はずっと祥が好きだ」 「…っ」 「明日がどうなるかなんて分からないし言葉で縛るなんて嫌だけどさ…だけど1日終わるたびに祥をもっともっと好きになってる…どれだけ祥と居ても足りないって思ってる…祥も俺と同じくらい好きで居てくれたらいいのになって」 「……」 「あの日、キスマークの日からずっとどうしたら祥にそんなこと考えさせないで済むか悩んでた……もう全部祥に伝わっちゃえばいいのにって思った…俺が祥に触れる時いつも本当は少しだけ怖くて震える」 「………」 「祥の体温知れば知るほどもしいつか祥が俺とのことは勘違いだって気づいて夢から醒めるみたいに俺から離れたら……その時はきっと俺はお前を追いかけられないんだろうって」 「……直輝…っ」 「…俺達は男同士だから、世間ではイレギュラーな存在だ…それを祥が嫌がるなら引き止めることは出来ない」 「……」 「俺の勝手で…始まった付き合いだから……祥が普通の幸せを手にしたいなら、俺は邪魔出来ない……祥にとっての幸せが絶対俺の幸せになるから」 「…なお…き……俺直輝といたいよ…っ」 「うん、ありがとう」 「………」 「……祥、俺と付き合ったこと…後悔してないか?」 「…馬鹿……してたら…もうとっくにここにいないって」 「………俺でいい…?」 「――っ」 「祥の隣に居るの…俺でいいのか…?」 直輝を見てる視界が歪んでくる いつもの余裕なんかない直輝の本心を初めて聞いて喉がきゅってしまった 「……っ……馬鹿…」 「………」 「今更…っ………直輝以外の誰かなんて…俺は御免なんだよ…っ」 「………祥」 「…っ俺は…、直輝みたいに…なかなか気持ちも…言えなくて…女の子でもないし…直輝にいつも守られてばっかで……でも俺も直輝に負けないくらい直輝が好きなんだ」 「………」 「直輝の新しい表情見る度…見れたのが俺でよかったとかそんな小さな事で喜んでんだよ…バカ野郎」 「………」 「…っ…だから自分だけ好きみたいな…俺が直輝を好きじゃないみたいな事言うなよっ」 「祥ごめん、泣くなよ」 ぎゅっと堪えていた涙が溢れ出す もう本当何度目なんだろうか 直輝と付き合ってから俺は本当に自分がこんなに泣き虫で一人が嫌いだった事に気付かされた 俺の涙が止まらないのを見て直輝が眉をはの字にして笑う そのまま直輝の腕の中に閉じ込められてぎゅっと力強く抱きしめられた 結局今だって直輝に慰められて 直輝の不安消してあげなきゃなのに俺は直輝にしてもらったみたいにうまくできなくて腹が立つ 「祥そんな泣いたらこの後お祭り回るとき恥ずかしいぞ」 「うる…っさ…い……ヒック…」 「ふふっ、ほらもうごめんな?泣かせるつもりで言ったんじゃないんだ」 「わかっ……てる…っ」 「何となく…花火見てて、綺麗だなーて初めて思って……もし祥も花火みたく一瞬で消えたらやだなーて」 「消えないよ…っ」 「うん………うん、ごめん…ごめんな祥」 「俺はずっと直輝といたいよっ」 「俺も、約束がなくても何か会う理由がなくても祥と会えるこの特等席は誰にも譲る気なんかねーよ」 「……譲るなんか許さないからな」 「うん」 「……………好き」 「へ?」 「……………好きだよ直輝」 「祥?聞こえない」 ラストスパートなのだろうか 大きな花火が幾重にも重なるようにして一層と空に華を咲かせている 直輝に抱きしめられたまま花火を見て小さく呟く 小さな声は花火の轟音にかき消されて直輝に届かないから言えない言葉も言えた 「祥花火の音大きくて聞こえない」 「……大好き……愛してるよ直輝」 「え?」 「……」 「――っ」 バーンと今迄で一番大きな花火が夜空一面にうち上がった ピンクから赤へと、赤から白へと色を変え、最後は銀色にはじけてキラキラと消えていく そしてその大きな凛とした花火のあとに続く音はなくてそれがやっぱり最後なんだと思った 一番最後の花火だけ見逃したなぁなんて思ったけど構わない 抱きついた直輝の唇に俺の唇を重ねた時、物凄く驚いた直輝を見れたから ………俺も…花火よりも直輝を見てる方が好きなのかもしれない さっき直輝に言われてきもいと思った事を全く同じく今思う なんだかおかしく思えたけど唇から伝わる直輝の熱が好きで好きで堪らない もっと深く欲しくて自分から押し付けた唇から舌を直輝の口の中に潜り込ませた チロチロと直輝の舌先を舐めると俺の舌を簡単に絡めとって弄ばれる キスまで直輝と俺を表してるみたいで笑いそうになった いつだって俺よりも直輝のが何枚も上手なんだ いつでも余裕綽々としたコイツに俺は振り回されるし、でもそれが俺は嫌じゃないし、だからわざと直輝を無自覚に煽ってるのかもしれない 「んっ……ふぁ…ぅん…っ…なお…き…」 「……祥」 「もっと…したい…」 「っっ」 きっと顔も真っ赤だと思う 恥ずかしいくらい顔が熱くて心臓がうるさい 直輝が俺のお強請りを聞いてまた驚く でも直ぐに今度は色っぽい瞳で見つめられて、やっぱり俺直輝にめちゃくちゃにされるの好きなんだなぁって欲情してる目を見て思った 外なんて俺が嫌がると思ってたんだろう だから珍しくいたずらも何もしてこなかったけど、逆に俺が我慢できなかったみたいだ 早く直輝に触れて欲しくて キスしたまま全部直輝に委ねたくて堪らない もっと直輝の熱感じたくて触れ合ってるのに抱きしめられてるのにそれでも足りないって思った

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