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案外、映画は面白くて気づくと結構見入っていた ジッと見ていると隣から視線を感じて横を向く 祥が嬉しそうにこっちを見ていてどうしたのか首を傾げると俺の耳元に顔を寄せてきた 「楽しい?」 それだけ聞くと俺から離れてまた祥が口ぱくで伝えてくる 首をこてんと傾げて笑顔で聞いてくるそれが可愛くて堪らない きっと俺がまた無理して一緒に映画を見ているとでも思って不安だったんだろう 確かに興味はなかったけど無理なんてしてない 祥が見たいものは俺も見たいし だからって感想まで合わせるつもりはないから つまらなかったらつまらないって言う 流石に見たくないものならはなっから見たりしない訳だし 本当に祥は気遣い屋だなあと思う はぁと祥の心配症にため息をつきながら 頭の後ろに手を寄せてこちらに引っ張り寄せる 驚く祥を無視して耳元で「楽しいよ」と呟くついでにペロッと耳を舐めると大袈裟なほどに祥が驚き飛び跳ねた ガタガタっと椅子が揺れたが幸いにも 俺達が座っている列には他に客はいない 顔を赤くして今にも怒りだしそうな祥にしーっとジェスチャーで伝えると 手首を掴んで逃げれないように引き寄せて可愛い祥の唇に噛み付いた 噛み付いてからチロチロと唇をなぞると だんだん抗う力が弱くなる そのうちに緩りと唇が開いてきて舌をねじ込むと、遠慮がちにさまよっていた舌が絡んできた その動きで祥がもう抵抗する気が無くなったのがわかる 一度ちゅっと音を立てて離れると案の定、 目をとろんと垂れさせて蕩けた顔した祥がいて ふっと俺が笑うと祥が酷く切なげな表情をして俺を見上げる そしてまた角度を何度も変えて触れ合うだけのキスをすると、祥から舌を出してきてそれに応えるように絡めとる 深く激しくキスをすると祥がシャツをキュッと握り締めて苦しそうに甘い声を漏らした 髪を撫でて唇から離れると名残おしそうに祥が俺を見てるけど、そのまま知らんぷりをして前を見る 祥がいま何をして欲しいのかは分かるけど 焦らすと物凄く可愛くなるし素直になるから敢えて気付かない振りをする事にした 「祥?前見な?」 「…っ……うん」 あーあー泣きそうな顔して可愛いなぁ ぐすぐずに泣き出しそうな顔した祥が 小さく首を頷かせて前を見る 本当は無視してお預けしようかと思ったけど もっと泣かせたくなって意地悪したらどうなるのかみたくて祥の胸に手を伸ばす ベージュのカーディガンを着ているシャツの隙間に手を忍び込ませると前を見ていた祥がビクッと体を揺らした 「祥、映画見に来たんでしょ?」 「〜〜〜っ!やだっ」 「んー?ほんとにやだ?」 「んぅ…っ……ん〜っ」 「このまま手離していいの?」 「っ!ふぁ…っん」 声を出さないように両手で口を押さえた祥がフルフルと力なく首を振る じんわりと大きなたれ目に涙が浮かんできてスッカリと快楽に弱くなってしまった祥が可愛くて堪らない 「じゃあ前見て、声は出したらダメだよ?」 「ふぅ…っ…ぁ…直輝っ」 「しーっ……ほら、映画見に来たのに俺の方見てたらダメだろ?」 「やっ…だって…!」 寂しくなったのか隣に座っているのに 祥がくっつこうとしてくる 気持ちよくなって頭がぼんやりし出すと祥は普段の我慢が切れるのか想像がつかないほどに物凄く甘えん坊だ よしよしと頭を撫でてやると祥が上目遣いで見上げてくる 「キスして欲しい?」 「っ!ん…っ!うん!」 「なら、キスしてくださいって言って?」 「〜〜〜っ」 「言わないならしてあげない」 「やっ…!言うっ…言うからぁ」 もじもじと足をすり合わせて 恥ずかしそうに顔を俯かせた祥がチラッと見上げてくる ゆっくりと結んでいた口を開くと 消え入りそうな声で懇願してきた 「直輝…、っ…キスしてください…」 「ふふっ良くできました」 「んっ…〜〜〜〜っ…ふぁ」 乳首を弄りながらキスをする すっかり蕩けきった祥はビクビクと腰を跳ねさせて絶頂を迎えた 緊張していたのかいつもよりも長く射精をして 祥がへたぁと倒れかかってくる 座席についている肘掛が少し邪魔だけど まあ抱き寄せられなくもないからそのまま祥の頭を撫でてやった それから直ぐに映画は終わって照明が明るくなる とろんと惚けたままの祥は明るくなったのにも関わらず離れる事を忘れているのか動かずじまいで 結局それから少しだけそこで熱を冷まして係員と入れ違いでシアターを後にした

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