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「ここ、触られてたよね」 「んぅっ!やめ…て……」 「ほーんと…淫乱になっちゃったな?」 「いやぁっ!」 グリグリとペニスを服の上から手で押し揉まれていたら急に強く握りこまれて痛みに仰け反る 未もずっとぎゅうっと力強く握りしめられて痛みに腰がユラユラ震えだした 「やぁ…、…っ…痛い……なお、やめて…!」 「………祥って必死になると俺の事なおって呼ぶよね、昔の癖で」 「そ、なの……っ…やだ!痛い…!」 「俺が怒ってるのがそんなに怖い?」 「………っ……そじゃない…」 離して欲しくて直輝の胸板を両手で押し返す だけどピクリともしない直輝に抗う事をやめて、もうどうしたらいいのかも良く分からなくなってきた俺は体の力が抜けて前のりめに倒れた とん、と直輝の胸におでこが触れて心臓の音が聞こえる トクン トクン 優しく聞こえてくるその音に心が少しだけホッとした 大丈夫……直輝はあの人達じゃない…… ガクガクと震えだした体に気付いて 歯をグッと食いしばる ゾワッと背中を走る悪寒と 思い出したくない昔の幼い頃の嫌な記憶が瞬時に蘇ってきた 喉の奥がぎゅうっと締まり出して 脳裏で嫌な情景が何度となく繰り返し流される ヒンヤリとしだした指先の体温に対して オデコから伝わる直輝の鼓動が唯一暖かく感じた 「祥」 「…………なに」 「……震えてる」 「…………少し寒いだけだから、大丈夫だから」 「嘘つき」 その声と共に直輝の手がギュッと両手を包み込んでくれる じんわりと伝わるその暖かくて優しい温度に目の奥が痛んだ このまま直輝の優しい温度に流されたい… だけど、だけど、それじゃダメなんだ そうしたら直輝がいつまでも俺に気持ちを言ってくれなくなっちゃうから 「……直輝…平気だから、中途半端に思ってるこというの辞めないで」 「………」 「大丈夫だから、別にそういうので震えてるんじゃないし…本当に少し寒いだけ」 俯いていた視線をあげて目の前に立つ直輝を見上げる 怒りを含んだ瞳に、俺の反応を見て感情を消そうとする直輝の優しさがユラユラと映っていた 「……祥、あいつ友達?」 「…うん」 「なら離れろ」 「え?!」 「もう一回だけ言うよ、アイツから離れろ」 「…………なんで」 「なんでもだよ」 怒りを押さえ込むように冷静を被せたかのような声で直輝がそういう だけど理由も教えてくれずに そんなこと事を言ってくる直輝に困惑するし、はいそうですかなんて言えない 「…待ってよ、ちゃんと理由聞かせて」 「……いいから何がなんでも離れろって言ってんだよ」 「だからっ、なんでなのか説明してって俺は言ってんの!」 「………説明しなきゃ分かんねえからお前はそんななんだろ」 「え……」 さっ、と直輝の表情に色が無くなる 普段は絶対に使わないようなその口調に本当に直輝が怒っているんだって事が痛いくらいに伝わった 「………俺が……俺が悪いんだよね?」 「そうは言ってない」 「でも……!じゃなきゃどうして友達の高田から離れなきゃならないんだよ!」 「…………うるせえな、黙って言うこと聞けよ」 「――っ!」 イライラだけじゃない 初めて見るような憤怒の表情に頭の思考がストップしそうだ 「……俺が…体触らせたから?だから怒ってるの?」 「…………」 「……だったら気をつけるから……友達と関わるななんて理由無しに無理だよ…」 「……」 「……直輝」 「離れろ、アイツの傍に近づくな」 「っ!直輝!」 冷たくそれだけを言い放つと直輝の手がするするとシャツの中へと入ってくる まだまともに話もしてない上に やっぱり直輝が何を考えてるのかもわからないままで こんな状態でこんな言葉じゃなくて セックスに怒りをぶつけるような状態で肌を重ねたくなんてなかった 「やめろっ…てば!」 「祥少し黙って」 「なっ…!や、やだ…っ…直輝!」 「…………」 首に顔を埋めて直輝が愛撫をする ジリジリと焦げるような痛みと快楽が混ざりあったような胸が締めつけられる様な嫌な気持ちが心から溢れ返った 「ンッ!や…め……っ話まだ…!」 「話したって解決しねえよ」 「――っ?!…………どういう意味」 「そのままの意味だけど?」 俺を見てくる直輝の瞳には一体どんな表情した自分が写ってるんだろう 直輝に言われた言葉が酷くショックだった 話し合う気がないなんてじゃあこのまま俺は流されて直輝とセックスして 直輝が言うままに高田から離れて 直輝がどうしてそう思ったのか 何でこんなにも怒ってるのかも 何一つ聞かされないまま知ることさえままならないままで忘れろってこと? 「ふざけんな……」 「…………」 「…っ…俺が…悪いのも…俺が直輝に嫌な思いさせたのもわかってる………だけど話し合いもする気がないのはおかしいだろ…」 「…じゃあ逆に聞くけど俺が理由を話せば祥はあいつから離れんの?」 「…………それは…俺が納得したら…だけど!」 急に伸びてきた直輝の手に口を塞がれる 目の前に立つ直輝はもうこれ以上は無駄だとでも言いたげに俺を見ていた

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