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「やめろっ!離せ!」 「大人しくしとけって小日向」 「ぐぅっ…!」 手首をネクタイで縛られそうになって身をよじって抵抗すると思い切り首を片手で締め付けられた 仰向けのまま床へと貼り付けるかのように首を抑え込まれて頭がだんだん真っ白になる 息苦しさでじんわりと目もとに溜まった涙を熱い舌先で舐め取られて嫌悪感で溢れ返った 「カハッ…!げほっ……ぇ…っ」 「タカちゃんあんまり痛いことしないでね」 「小日向は痛い方が好きみたいだけどな」 「やめ…っ!」 いつの間に勃ちあがったのか自分でさえ嫌で仕方ない事実を高田がわざと見せつけてくる ジンジンと確かに熱を訴えているそこへと高田の手が忍び込んできて扱かれる 首を締められてチンコを勃たせたなんてそんなこと嘘だと思いたい 「本当だ勃ってるじゃん祥くん」 「見るなっ」 「こんな短いの着ちゃってイヤらしいな」 「ひぃッ」 ジロジロと見てるだけだった他の二人が俺の手首を拘束し終えると一気に体をまさぐり出す 幾つもの気持ち悪い感触が身体中を這い回って喉の奥から悲鳴にもならない声が漏れた 「なんで…高田っ」 「あーららそんな泣きそうな顔すんなよ」 目が合った高田の表情がほんの少し悲しげに歪む 今なら… 今だったら話せば分かってくれるかもしれない そう淡く期待を抱いた時それは簡単にも崩された 「もっと泣かせたくなるだろ?興奮すると酷い事したくなるからあんま煽るなよ小日向」 「………ッ糞野郎」 「ふはっいいねぇ〜最高だわ」 「やめっ!」 ギリっと噛み締めている唇を舐め取られて喉の奥が締め付けられる 助けなんてきっと来ない これ以上のことされるなんてわかりきってるけどそれでもキスだけは絶対にしたくなかった 「離してッ」 「お?どうした急に弱々しいじゃん」 「祥ちゃんはタカちゃんとチューしたくないってぇ!」 「ひっでー!小日向そんなことねえよな?」 「…………」 「睨むなって…可愛いとしか思えねえよ」 「黙れッ変態!」 「ほーら嫌われてんじゃん!」 取り囲みながらゲラゲラと笑っている三人を見て隙を伺う ほんの少し足になら力が入りそうで 油断している3人を横目に確認すると思い切り高田のみぞおちに蹴りを入れた 「ゲホッ!!」 「タカちゃん!」 「おい待てクソ野郎ッ」 後ろの椅子に思い切り頭をぶつけて吹っ飛んだ高田と同時にグラグラする体を無理矢理起こして扉へとかけ走る 手首を拘束されたままで動きづらいけど何とかドアまで辿りついた だけど横にいくら動かそうとしても扉は動かなくて中から鍵で施錠してある事に気づいた時はもう遅かった 「てめぇ…ふざけんじゃねえぞ」 「――ッ!」 「誰に蹴り入れてんだよ!あ?」 「ッ!ウッ…!いっ」 「優しくしてやろうと思ったけど辞めだ」 「ゲホッ!ゴホゴホッ…や、め…ろ」 初めて見たキレている高田にめちゃくちゃに殴られて身体中が痛む 薬のせいもあってなのか全身が麻痺したかのように痺れてただただ殴る手が止まるのを待つことしか出来なかった 「脱がせろ」 「タカちゃんこっわ〜」 「うるせえな」 「はいはい脱がせるよ〜ん」 「つーか顔は殴らないとか流石タカじゃん」 「顔がいいから犯すのにその顔潰したらただのゲイだろ気持ち悪い」 「あははっ言えてる!」 さっき迄とは違う一切力が入らなくなった身体を尚のこと抑え込まれてチャイナ服のチャックを下ろされる そのまま下から上へとずり上げられて手首の上に巻き付ける様に脱がされると 唯一身につけていた下着迄いとも簡単にはぎ取られた 「うっわ」 「キスマークだらけだねぇ〜」 「逆に興奮するくね?寝とってるみてえ!」 もみくちゃに暴れた時にできた可擦り傷をわざと引っかかれて痛みに体が跳ね上がる 指先の一本も動かないほど薬が全身に回っていて殴り飛ばしてやりたいのに出来ないこの感じが悔しくて堪らない 「これ全部恋人に付けられたのか小日向?」 「………」 「口は付いてんだろ?答えろよ」 「………ヤるならさっさと済ませろよ」 「ハッ物分かりがいい事で」 悔しい 死ぬほど悔しい 力が全く入らない体も 浅はかすぎる自分自身にも 俺はどうして学習しないんだろう なんで友達を疑わなきゃならないんだろう 直輝、俺の事嫌いになるかな 他のやつに抱かれたって 知らないやつのもの咥えたって知ったら 汚いって思って俺の事触ってくれなくなるかな そうじゃなくても直輝には女の子がいるんだった もうちょうどいい時だったのかもしれない これがきっかけに俺達別れるのかもしれない グルグル頭の中は直輝の事しか思い浮かばなかった いま目の前に友達だった奴と今日あったばかりの二人がいて 今からきっと容赦ない事されることはわかってるのに そんな恐怖よりももう二度と直輝の横で笑えないって事の方が怖くて怖くて堪らなかった

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