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泣き顔にキス

「直?」 「んー?」 「…助けてくれてありがとう」 「………」 「直輝は俺の事助けられなかったとか思ってるだろうけどそんなことない」 「だけど怪我してるあっちこち、体だけじゃなくて……」 「直輝意地悪な癖に本当に心配性だな、俺なら大丈夫だよもう平気、直輝と仲直りもできたしね」 「…………」 「ね?だから直輝そんな顔しないで」 「ごめん…」 「謝ってばっか、……直輝、キスしてい…?」 「そんなの聞くなよ、いくらでもしていいんだから」 ふわっと微笑む祥の頬にちゅっと触れるようにキスをする 何度も何度もほっぺたにおデコに鼻の頭に あっちこちにキスをすると 祥がくすぐったそうに微笑む 焦らして焦らして やっと辿り着いた唇を啄むようにキスすると 祥の腕が俺の頭を押さえ込んで 二人して馬鹿みたいにキスをした 「んっ…あ、ふぅ……なおっ」 「祥、凄く可愛い」 「や…ぁ……ふぁっ」 だんだん惚けてきた祥が必死にしがみついてくる 知らぬ間に力がこもって髪の毛を握りしめるのは祥の癖だ でも案外嫌いじゃない 背中に引っ掻き傷ができるのも 実は結構気に入っていた 祥につけられるなら喜んで付けられたいぐらいだ そんなこと思っていると ふっ、と荷物が視界の隅に映りこんで 赤いモノが見えた なんだろうかと気になって見たら赤いチャイナ服で 手に取ったそれとポーとキスでとろんとろんになっている祥に着せた俺のニットとを見比べる 彼シャツならぬ彼ニットも物凄く萌えるけど 男ならきっと大体のやつがこっちを選ぶだろう 「しょーちゃんっ」 「ふぇ?」 「はい、万歳して?」 「え…ば、万歳?」 「うんうん、はい、ばんざーい」 「ばんざーい?」 小首を傾げてきょとんとしながらも そう言いながら万歳をする祥からニットを脱がす 「いい子、うんしょっ…と」 「ん…、て直輝!」 「なに?」 「なに?じゃないっ!これ!」 「うんうん似合ってるよ祥」 「ば、ばかっ!嬉しくない!」 「可愛い、本当似合ってる」 「〜〜〜〜っ!ぬ、脱ぐ…」 「えー」 「こんなの…男の俺が着るの…変」 「やだ〜ほかの奴等は祥のチャイナ姿見たんだろ?」 「………」 「はぁ、まあしょうがないよね、祥が嫌がることは俺もしたくないし?」 「………」 「いいよ、一瞬でも見れただけで凄い満足!じゃあ脱ごっか?」 「ま…って」 「ん?」 「…も、少しだけなら……いいよ」 「……」 チラッと横目で俺を見ながらそっぽ向いていた祥がそう言う 「いいの?」 「な、直輝が…見たいなら……俺も、嫌じゃ……ないから」 「嫌でも悪いからいいよ無理すんな」 「違くて…!俺も直輝に見せたかったから…!」 「ふーん?見せたかったんだ、俺に」 「――っ!」 「見せてどうして欲しかった?」 「なっ!お、まえ!わざと!」 「本当祥は馬鹿だね」 「落ち込んだふりなんて卑怯だぞ!」 「実際には本気で落ち込んでるよ?祥の可愛いこんな姿ほかの奴が見たとか許したないぐらい」 顔を隠そうとする祥の手首を掴んで 覗き込むと真っ赤な顔した祥と目が合った 「見せたけど……でも、触っていいのは…直輝だけだからっ」 「――!」 「さ、触って欲しいって思うのも…これ着た時に直輝喜ぶかなって考えるのも…直輝だけだよ…」 「はあ…ちょっと待ってそうやって煽るの良くない」 「煽ってなんかない…っ」 「いいや煽ってる俺が今どんだけ我慢してるかわかる?」 「…………ぃ…のに」 「ん?」 「我慢…しなくていいのに……俺も同じ気持ちだから」 「祥…」 「直輝…早く抱いてよ…っ」 「――ッ!」 「直輝が欲しい…」 「……後でビービー文句言うなよ?」 「ん」 ギュッとしがみついて頷く祥を抱きしめ返す 「でもその前に1つやっておかなきゃならないことあるから携帯借りていい?」 「うん、いいよ」 「ありがとう」 祥から携帯を借りて恐らく俺の次にあるだろう履歴を見ると案の定目当てのやつの名前があった その番号をタップして耳元に携帯をあてる 数度のコール音のあと、 俺の時とは全く違って優しく低い声が聞こえてきた 相変わらず口調は悪いが 『もしもし?どうした、祥』 「ざんねーん俺でした」 『…直輝かよ』 「あからさますぎだな聖夜、もしかして先生とお楽しみ中だった?」 『うっせえ切るぞ』 「あー待て待て、これ俺からの頼みなんだけどさ」 『どうせ俺にとったら良くねえ話しだろ』 「俺達親友だろ?」 『お前が言うとその言葉も詐欺師みてえに聞こえる』 「聖夜は酷いな〜」 『はぁ…で?んだよ、直輝から頼み事ってことはなんかあったんだろ?』 「…………」 さっきまでの嫌そうな雰囲気は消えて 真剣な声が電話越しから聞こえる 掛けた相手は中学の時から三人でつるんでいた一人の月乃聖夜だ 流石とでも言うべきなのか 祥と聖夜と俺の三人でずっと絡んで来たからか 頼りがいがある 他人は信用しないタチだけど 祥を抜いて唯一って言うなら 聖夜だけはたよりに出来る男だった 一旦祥から離れて簡潔に話を纏めて頼むと 受話器越しから「わかった」とだけ聞こえて電話が切れた 俺も電源を切ると 心配そうに見つめてくる祥へと戻る 「聖夜に電話したの?」 「そうだよ」 「……」 「心配しなくていいよ、危ない事しようなんて考えてない」 「…でも」 「大丈夫、それよりも祥こそここ大変な事になってるけど?」 「ヒャッ!」 さっきまで萎えて平気そうだったペニスが 再び勃起をしたせいで貞操帯に締め付けられて苦しそうに充血している さわさわと太ももを撫でまわすだけで ビクビクと体を震わせる祥にゾクッと興奮が走った

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