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ミッション
「小日向またな〜!」
「うん、ばいばい」
あの高田の事があったのが嘘みたいに
学校は平和で直輝との事が世間に知れ渡ることもなかった
今日も普通に学校行って、
久しぶりにオフだし直輝が好きな甘いお菓子でも作って持って行ってやろうか
そんなこと考えながら帰っている途中携帯に着信が入った
「はい、もしもし?」
「祥学校終わった?」
「あっ直輝!うん、今終わって帰ろうってところ」
「お疲れ、今日バイク?それとも電車?」
「今日は電車だよ、バイト無いから」
「じゃあちょうどいいな」
「え?なんで?」
電話に応えて直ぐ質問攻めで驚く
何かあったのかなってザワザワと胸が騒いだときそんな不安とは真反対な言葉が聞こえてきた
「デートしよう」
「へ?!」
「だから、デート、乙女ちゃんな祥がだぁい好きなデートに誘ってるんだけど何か都合悪い?」
「つっ都合悪くない!じゃなくて…っ……なんだよその言い方…」
「ふっ違ったか?祥はデート好きだろ?」
「…………うざい」
「「顔真っ赤だよ」」
「え?」
直輝の声が二重に重なって聞こえてくる
どうして?と思って携帯を耳から離した瞬間後ろからふわっと抱きしめられていつも嗅ぎなれた爽やかな香水の匂いに包まれた
「――ッ!?」
「祥〜会いたかった〜」
「え?!な、直輝なんでここに?!」
「俺の天使がまた何かされてないか調査がてらに迎に来た」
「てっ天使って言うな!それとそんな過保護にならなくても大丈夫だよ、俺も男なんだから」
「それが心配なんだよ」
学校の裏門近くの場所でぎゅうっと抱きしめてくる直輝がそう言う
直輝には沢山迷惑掛けちゃったから尚のこと大丈夫って伝えたくてそう言うけど直輝はそんな俺が心配らしい
本当に大丈夫なのに
大丈夫って口癖になってるだろって言われてその時は何とも返す言葉が見つからなかった
「それで祥?」
「なに」
「俺とデートしてくれる?」
「〜〜〜〜っ」
「ちゃんとしたいって言うまでは離さないしデートも無し」
「意地悪言うなよ!」
「十分、祥には優しくしてるつもりだけど?」
「……っ」
「ふーん言わないんだ?だったら代わりにキスさせてね、祥が腰抜けるまで」
「え!む、無理っ!そんなのダメ!」
「だったら早く言って?」
「〜〜〜〜っ」
後ろ向きから前向きに向かされて
目の前に直輝の顔がある
キラキラと太陽の光に白髪が輝いていて
意地悪気に微笑んでいる整った顔は相変わらずかっこよくて何かムカつく
「祥ー」
「うぅ…っ…い、言うから…」
「うん」
ジッ、と見下ろしてくる直輝の視線に耐えられなくて足元へと視線を下ろす
自分の靴と直輝の靴を見ながら口を開こうとしたとき顎を掬われ上を向かされた
「下向いて言っちゃダーメ、ちゃんと俺の目見て言ってよ」
「〜〜っ!うぅ…っ」
「ほら早く、人が来ちゃうよ?」
「…っ…したい」
「何を?」
「デ……デート…」
「一人で?」
「――ッ!」
「ふはっ睨んだってダメ」
「〜〜〜っな、直輝と!デートしたい!これで満足か馬鹿直輝!」
「うん、満足だよ可愛い祥ちゃん」
チュッ
「――ッ!」
「さ、行こっか」
「〜〜〜っ嘘つき!」
「しないとは言ってないけど?」
ふっと鼻で笑いコチラを見てくる直輝を睨みつける
しっかり言ったのに
その直後触れるだけのキスをされて顔が急激に熱くなってきた
「拗ねんなよ」
「………」
「首まで真っ赤
そんなに俺にキスされたの嬉しかったんだ」
「うるっさい!黙れほんと!」
「じゃあ祥が黙らせてよ」
「――っえ」
ニヤニヤと挑発してくる直輝の肩を思い切り殴ろうとした時不意に手首を掴まれて壁に押し付けられる
そのまま息する暇もなく直輝の顔が近づいてくると唇を舐められてゾクリと体が震えた
「な、直輝…っ…」
「祥キスしたい」
「ダメっ誰かに見られる…っ」
「こんな所誰も来ないよ」
「そんなの分かっ!んぅ!」
俺の頭に腕をついて壁を挟んで閉じ込めるようにして直輝が屈む
もうほんと目の先に直輝の唇があって
嫌でも意識しちゃうから横に顔をそらしながら胸元を押し返していたけど
簡単そうに俺の両手首をひとまとめにすると頭の上で拘束されたままキスをされた
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