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「ねえ直輝どこ行くの?」 「んー?」 直輝に言われた駅で2人で降りる 俺はまだ何処に行くか知らないから目的の場所がきになって聞いたら意地悪な顔で微笑まれた 「…なんか企んでるだろ」 「なぁ、祥?」 「な…に」 「祥は俺と外でベタベタするの嫌い?」 「は?!」 「さっき怒ってただろ?やっぱり嫌なのかなぁーて」 「…いや…ってわけ…じゃ……」 「でも好きってわけでもない?」 「…………」 何も言えなくて黙り込む俺の頭を直輝がポンッと撫でる 「うん、いいよそんな顔しないで」 「――っ!」 「祥が外でベタベタするのが嫌なら俺はしない」 「えっ…?」 「その方が祥もデート楽しめるだろ?」 「……ッ」 心臓がズキッとする もしかして直輝傷ついた…? 俺が黙っちゃったから さっきあんなに拗ねたから 直輝気にして聞いてくれたのに 答えられなかったから勘違いして… 「ま、って…!」 「ん?」 「違っくて………、俺…外でとか…〜〜〜っ」 ちゃんと伝えなきゃ勘違いされたままだ 外でベタベタするの嫌だなんて一ミリも思ってない 誰かにバレるのは怖いし それこそ直輝に迷惑掛かるから 確かに嫌だけど 直輝がいつも周りを気にしないで 外でも堂々と俺に触れてくれるのは本当はすごく嬉しいんだ 男とか、異性じゃないとか そういうの全く気にしてないって 直輝のその態度がいつもいつも俺は救われてるんだ 「いいよ、無理しないで祥」 「〜〜っ!違うの!聞いて!」 「なに?俺は祥と外でもいつでもイチャつきたいけど、それが迷惑になるなら我慢くらいできるよ?」 「っ!お、俺も!俺だって……外で…っ……直輝と同じ気持ちだよっ!」 「………」 「うっ嘘じゃない…っ…さっき拗ねたのは………は、恥ずかしくて…っ…でも嫌じゃないよ…」 「へえ…でも俺はそれだけじゃ足りない」 「え?」 「祥の近くに居たら触れたくなるし、祥が愛しそうに笑ってたらキスだってしたい…勿論その先もな」 「〜〜〜〜っ」 「だけど祥は違う、そうだろ?」 「違わな………」 「え?」 「違わない!!!!」 俯いていた顔をあげて勢いよくあげて直輝の手を掴む 俺の頬を撫でていたその手を強く強く握り締めると大きな声でそう言った 「〜〜っ俺も…俺も同じだから!だから…そんなこと言わないでっ」 「ふーん」 「直輝……嘘じゃないから…」 「じゃあ証明できる?」 「――っ?!」 「嘘じゃない、ってこと…証明できる?」 「………できる」 「言ったな」 「え?!」 「今確かに証明出来るって言ったよね?しょーちゃん?」 「?!?!」 さっき迄の悲しそうな直輝はどこへ行ったのか 目の前の直輝はいつもと変わらないニコニコとした笑顔で その笑顔とその呼び方を聞いてハッと気づいた また直輝の策略にハマった、って 「……………」 「今更取り消しはダメだからな」 「………シネ」 「ふふっ必死に伝えようとしてる祥可愛かったよ」 「〜〜〜っ!どうして直輝はいつもそうやって!」 「騙される祥が悪い」 「ムカつく!」 「よしよし怒らないの」 「〜〜っうるっさい!」 「ふはっ怒っちゃって可愛いね?」 なでなでしてくる手を払いのけて 直輝を思い切り睨みつけても ニヤニヤと楽しそうに見てくるだけだ おかしいとは思ったんだ なんで急に今更そんなこと言うんだろうって 直輝の事だからきっと俺が嫌がってないのとか気づいててやって来るくせに どうして今日はそんなこと言い出したんだろうとは思ったんだ でもまさか本当にさっきのも演技だと思うと この目の前のエロ魔人を殴り倒してやりたくなった 「それで…なに企んでるんだよ」 「ふふっ、んー」 「………勿体ぶらないで早く言えよ馬鹿直輝」 「じゃあそうさせてもらおうかなっ」 「…………」 不機嫌な俺とは違って るんるんと嬉しそうな直輝の笑顔が今だけ鬱陶しい さっきの必死な俺の心配を返して欲しいぐらいだ 「今日のデート先で、祥から俺にキスしてよ」 「はぁ?!」 「だって祥も俺と同じ気持ちなんだろ?」 「そ、それは…!」 「まさか…俺を慰める為だけについた嘘とでも?」 「〜〜〜〜っ!…………わかった」 「さすが祥だね、負けず嫌いの頑固で天邪鬼なだけある」 「お前………今日のデートが終わったらもう知らないからな」 「そのデートで祥を楽しませないとは言ってないだろ?」 「え?」 「確かに祥からキスしてもらうけど、今日行くところ前から祥が行きたがってた水族館だよ」 「――っ!」 「夜の回だから前テレビで一緒に見たナイトアクアリウム綺麗だと思うけど、行く?行かない?」 「いっ…!…うぅ…」 「ふはっ黙ってちゃわからないけど?」 「……………………行く…」 「うん、行こうか祥」 「……………」 さっき迄のことなんて忘れて 行く!なんて飛びつきそうになるのをぐっと堪える これじゃあ本当に直輝の掌でコロコロ転がされてるのと変わらない そんなこと思ったせいで 本当は今すぐ走って向かいたい気持ちを封じ込めると涼しい顔して直輝と水族館へと向かった

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