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海月フロアに着いて直ぐ 思った以上に手が込んでいることに驚いた 「すごいね直輝…」 「気に入った?」 「うん」 ユラユラ水に浮かぶ限りなく透明に近い白色を纏ったその生き物は色んなライトの色に照らされていて幻想的だ 特に赤から青へと段々ライトの色が変わっていくときは結構好きだった 「俺、海月すごい好き」 「俺よりも?」 「はあ?馬鹿なのか?!」 「ふふっ俺と海月どっちが好き?」 「ちょっ!触んな!」 「いいじゃん?さっき迄キスして腰抜けただろ?」 「〜〜〜っ!」 ほかの所で何かのショーをやっているお陰で ここのフロアにも人はまばらだ 海月を見ながら祥の腰に手を回して引き寄せるとバタバタと暴れる でも真っ直ぐに祥の事を見続けると 段々と落ち着いてきてそっぽを向いたまま黙った 「祥デート楽しかった?」 「うん」 「俺の事好き?」 「〜〜〜っ」 「教えてよ」 「うっさい!」 「お願い」 「い、一々聞くなよ…っ…好きに決まってるだろ…馬鹿」 「ふふっ大好き祥」 「うるさい馬鹿…」 ふわふわな髪の毛に顔を埋めると 祥のシャンプーの匂いがする 高田にあの日言われた言葉 思ったよりも引きずっていなくてよかったってやっと安心した 全部を全部気にしてないわけじゃ無いだろうけど あの言葉を気にして、もし祥が後ろめたさばかり考えて傷ついたままだったらどうしようかと思っていたから 少し荒削りだったけど今日デートしてよかった 「祥?」 「なに?」 「俺は何処にいたって誰に何を言われたって祥が大事だ」 「え?直輝…?」 「誰にどんな勘違いされても祥と笑い合えるなら構わないし、祥の笑顔が見れるならなんでもする」 「なんだよ急に……」 「…いや別に、ただ言っておきたかっただけ」 「………ありがと」 そう言った祥がギュッと抱きついたままカーディガンを握り締めてくる ああ、やっぱり引きずっていたんだな そのありがとうって言葉にどれだけの意味が含まれているのか考えたら心臓が痛くなる 幼馴染みだからこそ色々わかるんだ 祥の考えてる事とか嘘つく時の仕草とか 細かい癖までお互いに分かるから、分かりすぎて難しい事もあるけど でも祥に関しては気づけないよりはましだと思った こいつは直ぐ何でも一人で抱え込んで素知らぬ顔して泣く事も我慢するから 幼馴染みでよかったって思った 誰よりも近くに居れてよかったって 「祥そろそろ帰ろうか」 「うん!」 「あ、なんか海月モチーフにした食べ物とかあるよ?」 「え?!どこどこ?!」 「ふふっ、こっちおいで」 いつまでもそこで抱きしめるわけにもいかなくて帰ろうとしたとき そのフロアに飲食店が開かれているのに気づいた 少食な癖に食いしん坊な祥は案の定喜んで見に行って 俺も祥と向かいながら何か食べることにした 「直輝美味しいね!」 「祥の手料理のがうまい」 「なっ?!お、おまえ…!」 「顔真っ赤だよ?どうした?」 「〜〜〜っ!俺で遊ぶのやめろ!」 「ふっそれは無理」 「…………変態野郎」 「なんか言った?淫乱君」 「直輝っ!」 「はいはい、ほら溢れるから気をつけろよ」 「……………ムカつく」 海月モチーフにしたハンバーガーを手に持ちながら祥が暴れるから今にも溢れそうだ 一口が小さい上に食べるのも遅いから 祥はこういうジャンクフードとかアイスとか食べるの下手くそで笑える 必ずいつも食べるの追いつかないで俺に寄越してくるからたまに子供を面倒見てる気分だ 「ほら口の横ついてるぞ」 「――っ!」 「ん?」 「………あり…がとう」 「ふっいいえ」 こんな事で顔真っ赤にして可愛い ここが部屋なら今のは間違いなく押し倒してるけど外なわけだから抑えるしかない そんなこと思いながら食べてるのを見ていたら 段々とペースが落ちてきて もうお腹いっぱいなんだと気づいたから残りはやっぱりいつもと同じく俺が食べた 「片してくるから待ってて」 「俺も行くよ!」 「いいよ、まだ飲み物残ってるんだから大人しくしとけ」 「…はい」

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