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トレーを片しに席を立って、 すぐ横に雑貨屋を見つけた 寄せられるまま中に入って見てみるとお土産とか売っていて何となく見回して居ると海月の手のひらサイズくらいのぬいぐるみがあった 「…祥好きそうだな」 俺はぬいぐるみとか気味悪くて好きじゃないけど祥は違って好きらしい 今でもあの日取ってあげたライオンのぬいぐるみ抱きしめて寝るくらいには好きらしい 少しは元気になってくれるかなって思いながら手にしたぬいぐるみをレジに持っていくと待っている祥の元に戻った 鞄の中にしまいこんで家で渡してやろうと企みながら祥が見えてきた時 祥の前に誰かが立っている 何か祥と話しているみたいでその姿に見覚えがあるとわかった瞬間、弾かれたように駆け足へと変わった 「祥!」 「あ、直輝」 「じゃあ俺は行くね、話聞いてくれてありがとう」 「え、あっ!はい!」 「……」 俺が祥の元へとたどり着くほんの少し前 そいつが離れていく 祥に背をむけ俺の方にやってくる時お互い無言で見つめあった というよりは威嚇の方が正しい 「祥!大丈夫か?」 「ふふっ大丈夫に決まってるだろー心配症だな直輝は」 「…そっか良かった」 「それより遅かったけど直輝こそ大丈夫?」 「俺は平気、それより今のやつなんだって?」 「え……あーいや、何もないよ」 「吐かないなら家帰ってずっとバイブ突っ込んだまま手すりに縛り付けてまた放置するよ」 「ええ?!言うからそれは絶対嫌!」 「なら早く」 「……………電話」 「電話?」 「これ、電話番号の紙…渡されたの」 「……………」 どことなく気まずそうに祥が俺を見ながら手に持つメモ用紙を見せてくる さっきのあの男、何か気に食わないと思った大学生だ やっぱり祥のこと見てたんだな 「それ、どうすんの?」 「どうするも何も……俺には直輝が居るし連絡しないよ」 「ふーん?」 「ほ、ほんとに!」 「冗談だよ」 「〜〜〜っ!お前そういう冗談は辞めろよ!」 「俺がいない間にナンパされるのが悪い」 「…でも男だよ?」 「この前は女にされてただろ?しかも勢いに押されて苦笑いしかできてなかったし、あれ俺が行かなきゃどうしてた?」 「そ、れは…っ!………ごめん」 「ほんと首輪でもつけとくか」 「俺は犬じゃない!」 「じゃあ可愛い子猫?」 「直輝っ!」 「ふふっごめんね祥帰ろっか」 「…うん」 唇尖らせて拗ねてる祥の手を引いて立ち上がる そのまま閉館までまだ時間のある水族館を出ようと入口に向かう途中 さっきの男が一緒にいた大学生達がいた 良く見るとその直ぐ近くにその男も立っていて俺の視線に気づいたのかこっちを見ている もう一度チラッと横目でそいつを確認すると祥へと視線を戻した 「祥」 「なに?」 俺を見上げてくる祥を見つめながら人差し指で唇をトントンとなぞる それを見た途端に祥がぶわっと顔を赤く染めてキョロキョロと周りを見渡した 「え?!ここ…?!」 「そう、ここ」 「でっでも人…居るよ…っ」 「関係ない、俺は今キスして欲しい」 「あ、後でじゃダメ…?」 「そんな顔してもダメ、今して?」 「〜〜〜〜っ」 確かに入口近くで人のとおりはあるけど 壁側の俺達をわざわざ見てるのはあの大学生くらいだ 腰を屈めて催促すると狼狽えていた祥がゆっくりと顔を近づけてきてチュッと触れるだけのキスをして離れる だけど祥の手首を掴んで引っ張り寄せると今度は俺から祥の唇を奪った 「んぅ!?」 「……、ん」 祥の顔は見えないように胸に抱き寄せて 髪に指を通しながらキスをする 驚く祥の口の中を掻き回して腰へと手を伸ばしながら角度を変えていき震える祥越しにそいつを見ると真っ赤な顔して俺達を見ていた 「ん〜〜っ!なお、き…っ!」 「ご馳走様」 「馬鹿ぁ…っ」 「誰も見てなかったよ」 「そ…じゃなくてっ」 「ん?」 「〜〜〜っ」 祥の唇から離れてそいつを見てふっと笑う 途端に俺をさっき迄睨むように見ていた視線は逸らされて男は背を向けた 「聞いてるの…っ?」 「聞いてるよ、キスばっかされてエッチしたくて堪らないんだろ?」 「〜〜〜っ!そんなこと言ってない!」 「嘘つき、顔に書いてある」 「変態!…っ…わかってるなら意地悪ばっかしないでよ……」 「――っ!」 「…も…早く帰ろ…っ……ちゃんとギューしたい…から…」 祥がウルウルと瞳を潤ませてそう言ってくる 焦らしてるつもりは無かったけどいつの間にかそうなっていたのか目の前の祥は酷く色っぽくてドキッとした

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