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学校とバイトに明け暮れていると時間は直ぐに過ぎて、 今日は耀さんと会う約束をしていた日曜日だ 美容院のバイトも終わりそのまま耀さんのお店に向かう ついた頃にはもう一時を回っていて、 日曜日はバーのみお店をお休みをしている耀さんは何やらカウンターで寝ていた 店の鍵も開けっ放しだしこの人無用心だな 近づいても起きない耀さんを起こすとパチパチと眠そうに瞬きして俺だとわかると悪い寝てたわ〜て謝ってすぐに帰る支度を始めた お店のチェックをして耀さんが私服に着替えてくる 黒のVネックのシャツにジーンズってラフな格好だがシンプルでしまっていた それにこの人は本当に黒が似合うなと思った 一緒に店を出て少し歩くと耀さんの住んでいるマンションに着く 「ここ俺の家ね〜汚いけど上がって」 「…お邪魔します」 耀さんの部屋の前について招かれるまま家へと上がる 「ふふっ本当だ……綺麗ではないね」 「うるせーぞ、そういう時は嘘でもお世辞をいうもんだ」 耀さんはニカニカと笑うと早々にシャワーを浴びにいった やっぱり部屋も黒とシルバーで統一されていて耀さんのイメージらしい ただソファには洗濯物を取り込んだものがそのまま置いてあったり所々が少しだけ散らかっていたり、それも何だか耀さんらしいと思った 「おい………あー…そういやお前名前は?」 「…椎名瑞生」 携帯を触っていたらいつの間にかお風呂を上がった耀さんに聞かれた 耀さんに言われて確かにお互い満足に何も知らなかったことに気づく 「へー、洒落た名前だなお前に似合ってる」 「耀さんこそ、かがりって上の名前?下の方?」 「俺は黒江耀だ」 「…くろえ」 「んー?」 「耀さんって黒似合いますね」 「ぶはっそこだけ褒められるとはな」 ご飯の準備をしているのか耀さんは何やらゴソゴソと動きながら笑っている それから暫くお互いのことを話し合った 俺は美容学生でどこのお店で働いているとかそういう今更な話をした 一番驚いたのは耀さんがもう41だと言うことだ 「俺はもうおっさんよ〜」 なんて言っているが見た目はどう見ても30歳だ 耀さん見た目よりもうんと上だったんだな… なんて思っていると美味しい匂いがしてきておつまみ出来たから運べと言われた ガラス張りで出来た周りがシルバーの縁で色取られているテーブルの上を整理して料理を置いていく おつまみを並べているあいだに主食も出来たらしく熱々の美味しそうなピラフを持っていった 「瑞生〜お前酒飲むだろ?」 「じゃあ、遠慮なく飲みます」 「あははっ俺お前みたいなやつ好きよ〜」 耀さんはニコニコとワイングラスと白ワインを持ってくる 冷やしてあるワインをあけてグラスに注いで手渡してくれた 「んじゃお疲れ様ー!」 「……お疲れ様です」 チーンとグラスがぶつかり合う音がする 耀さんは一気に飲み干してビールみたいにクーっなんて言っていた ………こういうところはオヤジ臭い 「あ、瑞生いまオヤジ臭いって思ったな?」 「ふふっ別に?」 「あーー否定しねえってことはそう言う事だな!ったくもう少しおじさんに優しくならねえかな〜」 耀さんは何やらブツブツ言いながら自分で作ったおつまみを口に運ぶ 「お!うまい!瑞生も食えよ」 「いただきます」 自分で作った料理に感動してキラキラ笑っているのは子供っぽい そう思いながら口に運んだおつまみは凄く美味しかった 確かにこれなら自画自賛しちゃうな それからも作ってもらったピラフも他の料理も全部平らげた頃、耀さんがヘラヘラとしまりのない顔をしている 「…耀さん飲みすぎじゃない?」 「ん〜いい気分だな〜」 「明日仕事どうするの」 「明日は俺久々のオフ〜いえーい」 そう言ってピースをしてくる耀さんのほっぺたは真っ赤で、あの知的そうに見えるクールな印象を与えていた目もとは垂れ下がっていた 「瑞生お前今日泊まってくだろー?」 「んー…耀さんいいなら、帰るの面倒だしね」 「泊まってけ泊まってけ〜勝手に風呂も入っていいし寝室の棚に服はあるから」 「…じゃあ俺もシャワー浴びてきてい?」 「お、いいぞ〜俺は飲んでるからゆっくりしてこい」 耀さんに言われるままシャワーを浴びに行く まだ出会って少しで2回しか会ってないのに泊まりまでしてどうしたのかと自分に思う 今迄フラフラしてたけどこういう事は一度もなかったのにな でもなんか耀さん子供っぽいし話してるのは楽しい それに無駄なこと考えなくていいから そう思いながらシャワールームを出ると ソファに横たわり耀さんが寝ていた お店でもそうだったしこの人疲れてんのか 「…耀さん、寝るなら寝室行きなよ」 「んー?いやまだ飲みたりねえだろ」 「でも寝てるじゃん?」 「…今起きるよ〜」 耀さんはそう言うとうんしょと起き上がりソファに腰掛け直す 俺もその横に座り髪を乾かしながら深夜番組の良く分からないテレビを見ていた 「…なぁ瑞生お前いい匂いするよな」 「そ?俺は耀さんと同じシャンプー使ったけど」 「……いや…なんつーかそう言うんじゃなくて」 まだ少し寝ぼけているのか耀さんが俺の首元に顔をうずめる 手に持っているビールが落ちそうで少し冷っとした 「耀さん、ビール落ちるよ」 「……おう」 肩を押して首元から耀さんを押し返した時一瞬息をするのを忘れた 熱い瞳に男の顔をしている耀さんが酷く色っぽかった 薄く形のいい唇も、さっきまでふにゃふにゃしていた目もとは今じゃ射抜くようにギラギラしていて 「…か、がり…さん…」 「…………」 あーなんかやばいかもー そう思った時には耀さんの左手に顎を掴まれて引き寄せられる 「……瑞生」 「……っ………ふ……ん」 反抗させる隙もないくらい自然に耀さんに唇を塞がれた この人色んな人と遊んでるな…… 誘い方も落とし方も手馴れてる耀さんのキスの仕方にそう思う まあいいか、俺も同じ穴の狢だし〜 そう思って耀さんの舌に俺の舌を絡める 途端に優しく撫で回していた耀さんが激しく俺の中を掻き回しだして驚いた カツーンとビールの缶がフローリングに落ちる音がする それと同時に肩を押されてキスをしたままソファの上に押し倒された

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