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04
さっさとベットを降りると制止する耀さんを無視して洋服を着る
俺は親代わりが欲しいだなんて思ってもないし
そういうのを求めてあの日耀さんにキスをしたわけじゃないんだから
耀さんの口からそう聞いた今はここに居る理由が今さっき失くなった
「じゃあね」
「おい!今の時間じゃもう電車なんてねえぞ?」
「だからなに、男なんだからどうにでもなる」
「…………本当に帰るのか?」
「帰る、またね耀さん」
「……………」
二度と会うことの無い、またねほど無意味なものなんてないだろうな
何とも言えない顔をして俺を見てくる耀さんへにっこり笑って玄関を出る
最後の最後まで俺はずっと笑ってた
喧嘩口調で話してるときだって
もう二度と来ないよって意味を含めて話した今の瞬間だって
耀さんに言われた通り
俺はいつも笑ってるしかないどう仕様もない男だ
だから尚更嫌だったんだ
あの人は他の皆が気付かないような、俺の変化に気づく
最初はめちゃくちゃ人を良く見てるのかって思ったらそういうわけじゃなくて
どっちかっていえば鈍感な方だ
なのに、大事なとき、でも気づかれたくない不安な心を
耀さんはお見通しだとでも言うように意味を含んだ視線を俺に向けるから
その視線が酷く居心地が悪くて堪らなかった
深夜の街を歩きながら
適当な番号見つけて通話ボタンをおす
直ぐに出た名前も顔も覚えてない
ただの普通の友達と話をして泊めて貰うことにした
これでいい
これが今迄の俺だったんだ
セックスもしない、
その代わりに何かを求められる訳でもない
あんなぬるい関係の方がどうかしてたんだ
どちらにしろ耀さんとは2度と会うこともない
グルグル何かが胸に詰まったような、何かがうまく飲み込めないような不快感が気になる
だけど、不快感は残っていたけどそれも振り払うとさっさと友達の家へと向かってその日は久しぶりに耀さんとは違う
別の誰かとキスを交わした
それからは本当1ヶ月半ぶりに色んな人に求められるままフラフラする俺に戻っていた
はなっから俺が欲しいと思ったのは祥ただ一人だけだ
それ以外のヒトにも人間関係にも
特にこだわりも無ければ執着なんて物もない
相手が綺麗に着飾っている女でも
はたまたくたびれたスーツを着た男でも
俺の事を「好きだ」と言ってくれるから
俺もその人をその時だけ好きになる
虚しい
俺がしてることがどれだけ虚しいかなんて分かっていた
でも分からない
好きになるってことが出来ない
その一人だけに執着する気持ちが理解できない
だから俺を愛してるって囁いてくれた人は皆好きで
だけど埋められなかった
その人達には本当に「特別な人」が居たから
俺を通して他の知らない誰かを見ていることなんてとっくに気づいていたから
いつも いつも この寂しさが埋まる事なんてなかった
耀さんに抱かれた時を除いては
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