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ホテルについて、手続きをして鍵を貰う 俺の横に立って嬉しそうな怜さんにふと違和感を感じた 「あらやだなぁに?」 「……いえ、じゃあ行きましょ」 「本当なんで恋人作らないのかしら勿体無い」 何の違和感だったんだろう 何か不自然さを感じたけど理由も分からない やたら嬉しそうに笑ってる事に不自然さを感じたのだろうか 良く分からない変な気持ちを感じながら部屋へたどり着く 先に怜さんを扉を開き誘うと ラブホテル特有の雰囲気に包まれた部屋へと足を踏み入れた 「怜さん先にお風呂入りますか?」 「んー」 「怜さん?」 「はい、ちーず」 「――ッ!」 「ふふっ驚いた顔もかっこいいわね」 「………」 迷わずベットに腰掛けた怜さんの隣に座り込むと、不意打ちで写真を撮られた ラブホテルでわざわざ俺との写真を撮るのは 後々証拠として使う気なんだろうか そんなことしなくても もう二度と耀さんと会う気何て無い だけどやっぱり恋人ってなると どんなだとしても小さな不安も大きな物へと変わってしまうものなんだろうか そう一人で納得した時視界がぐるっと反転する 後ろに倒れ込んだ俺の上に怜さんが跨り乗っかっていた 「あの、怜さん?」 「んふふ驚いた顔も可愛い~早く食べたいわぁ」 「…食べたい?」 「ねえ瑞生くん」 「はい…」 「あたしね、食べられるよりも食べたい側なの」 「…………」 「鳴くよりも、鳴かせたいのよね?特に瑞生君みたいなイケメンがひんひん鳴くの想像しただけでゾクゾクしちゃう」 心臓がぞわりとする 怜さんが一言、一言喋るたびにその違和感が強くなる 何かがおかしい… グルグルと沸き上がる不信感を突き止めようとして頭を働かせ、 怜さんと一緒に居てさっきから感じていた違和感が何なのかに気づいた時には一足遅くて 俺の両手はホテルに備え付けられていた手錠にがっしりと拘束された後だった 「っ…!」 「瑞生くん、さっきから気づきかけてるでしょ」 「………」 「ふふっあたしに言わせるの?」 「じゃあ本当に?」 「ええ、そう」 「………」 ニヤニヤと綺麗な顔を歪ませて心底愉しそうに俺を見下ろしてくる 悪いけど俺の心の中は怜さんとは真逆 今すぐ帰りたいぐらいにはジトジトしていた 暫く俺を見下ろしていた怜さんがゆっくりと口を開く ほんの少しばかり俺の考えている事と外れてくれたらいいなって願ったけどそんな期待は裏切られる 「あたし、男よ」 「……………………」 やっぱりか………… おかしいって思ったんだ 何かが違うって でもここ迄女に見える怜さんには凄いとしか言いようがない 背丈はまんま男と変わらないし 小柄だとか童顔だとかじゃあない 何処にいても目立つほどの スタイルと美人な顔立ちだ 至る所で注目を集めるだろう なのに、見抜けないんだからこの人相当凄い 「驚き超えて感心してます」 「あらやだぁ」 「…それ、耀さん知ってるんですよね?」 「知ってるわよ、それに」 「それに?」 「あたし今迄の人生の中で女役を許したのは一人しかいないの」 「………」 「ふふ、そう、耀だけよあたしを抱いたのは」 「……そ…ですか」 「この意味わかる?」 「…………」 「あたしも耀だけは特別なの」

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