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「おい!瑞生!」
「…っ…か、がりさ…?」
「しっかりしろ大丈夫か?」
「…………へいき…このぐらい…」
「………っ」
耀さんが上着を羽織らせてくれると
再び腕の中に抱きしめてくれる
ぼーとしてる俺のこと不安げに見下ろしてくる耀さんがあんまりにも必死な顔をしているから何だか面白くて笑みが零れた
「おい怜、これ全部説明しろ」
「んふっ、ついつい摘み食いしちゃった」
「その気色悪い口調辞めろって言ってんだろ?埋めるぞ女装野郎」
「そんな怒るなよ~」
「………」
「はぁ、耀が最近遊んでくれないからだろ?」
「俺の責任にするな!」
「えーいいじゃん、瑞生くんも承諾してくれたし、ね?」
「…瑞生、本当か?」
「………うん」
「~~~ッ!だっから!お前は!」
怜さんの言葉を聞いて頷く俺を見て
耀さんの目が釣りあがる
怒った耀さんに頭をポコッと殴られて
怜さんに向いていた怒りの矛先は何故なのか俺へと向いていた
「…痛い…」
「俺はもっと自分を大切にしろって言っただろ?」
「…………大切にしてるし…耀さんには関係ないでしょ」
「この碁に及んでまだ言うか!餓鬼!」
「…………耀さんだって」
「あ?」
「…っ…耀さんだって俺に隠してただろ!」
「はぁ?!何をだよ?」
だんだん俺ばっか責められて腹が立ってくる
俺にお説教する前に耀さんこそ大切な事隠してた癖になんて思ったらいつもみたいに笑う事なんか出来なくて怒りが湧いてきた
「おい!瑞生っ」
「……離して」
「まだ震えてんだから大人しくしとけ」
「いい、耀さんには頼りたくない。それに怜さんと今は居るんだから」
「なっ?!」
「あ~らら、やっぱり俺のがいいって事?」
「…………うるさい」
「あっはは瑞生くんご機嫌斜め~」
引き止める耀さんの腕を振りほどいて距離を取って座り直す
俺がまだ2人が付き合ってる事知らないと思ってこんな優しくしてるんだと思うと絶対に甘えたくなんかない
「瑞生こっち来い」
「………やだ」
「…瑞生」
「……………いや」
「~~~っ!瑞生っ!」
「………名前呼ばないで」
何度も俺の名前を呼ぶ耀さんに背を向け顔をそらす
どうしたらいいか分からなくて困った様な声が聞こえてきたけど、俺だって何でこんなに意地はってるのか謎で仕方ないんだ
そう思っていた時不意に伸びてきた腕に引っ張られて視界が揺れた
「んーなら俺が貰っちゃお」
「――なっ?!」
「ンゥッ!?ん…っ…んぅぅっ」
「ふっ瑞生くんの唇柔らか~い」
「…怜……本気でキレるぞ?」
「なんで俺?瑞生くん耀の事嫌みたいだけど?」
「んなの知るか!瑞生に触るんじゃねえ!」
腕を引かれ驚く間もなく後頭部を押さえつけられるとキスをされて
パチクリとまばたきをするばかりで、回らない頭を必死に動かして状況を整理しようとした時
今度は耀さんに荒々しく抱き寄せられて再び唇を奪われた
「んぅ…っ!?んーーっ…!」
「…ん、瑞生」
「あ…っ!や、ぁ…耀さんっ」
「…………本当に嫌か?」
「~~~~っ」
「瑞生こっち向け」
「や…あ……っ…見ないでっ」
手首を捕まれ顔を覗きこんで来ようとする耀さんを押し返す
あんなに前迄は触れようとしなかった癖に
今更そんなのずるい
そう思ってるのに身体は燃えるように熱くなって心臓は痛いくらいにバクバクと音を鳴らせていて
キス一つで沸騰するかのように全身が熱をぶり返した
「はーい、ストップ~」
「怜さ…ん」
「ふふっこっちおいで瑞生くん」
「こら!連れてくな!」
「瑞生くんは俺のところ来たがってるけどな」
「だとしても触るんじゃねえよ!」
「はっオジサンの嫉妬なんてうざいだけだぞ」
「お前……後で覚えとけよ」
「やだぁ~なんのこと~?」
俺を挟んで悠々と余裕たっぷりな怜さんと子供みたいに怒ってる耀さんが喧嘩をしている
痴話喧嘩なら他でやって欲しい
わざわざ浮気相手を挟んでそんなのしないで欲しい
俺なんか結局誰の目にも映ってないって強く感じて胸の奥がぽっかりと切り裂かれていく
「お前と喧嘩したって埒があかない」
「ふふっもう終わり?」
「………瑞生、部屋出るぞ」
「いや、1人で帰るから後は2人でどうぞ」
「何でこいつとこんな所居なくちゃなんねーんだよ」
「………っそんなの!俺に言わせるな馬鹿親父!」
「な、馬鹿親父?!」
「~~~~っ」
ショックだとでも言いだけに耀さんが俺を見てくる
年齢の事を気にしてるのは知ってたけどそんなの構ってられるか
イライラをそのまま悪口にして耀さんにぶつけていた時、再び視界が逆転した
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