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「んぐっ!んぅっ……んんっ」 「瑞生、……っ出すぞ」 「んぅっ!ンーー」 パァン、パァン、と肌がぶつかり合う音が激しくなる 掠れた声で名前を呼ぶ耀さんは色っぽく微笑むと俺の中に白濁液を吐き出した ドクドクと体の中に熱を感じて俺も絶頂へと攻め立てられる時喉奥に怜さんのペニスから精液を注ぎ込まれて頭の奥が真っ白になる 「ンンッ!ンーーッ!」 「ちゃんと飲んでね」 「ッけほ、うっ……ふ……んぁ」 口からペニスが抜かれて喉の奥に残る精液を飲み込んだ やっと酸素をまともに吸うことが出来て 必死に息を繰り返す クラクラと歪む視界の中、耀さんを探して宙を仰ぐように伸ばした手を誰かに掴まれた時微かに繋いでいた意識がぷつりと途切れた ◇◇◇◇◇ 真っ暗な中、夢を見た 本当昔の笑えるほどくだらない小さな頃の記憶 今の俺があるとするなら きっとこの瞬間決まった 胸の中にグルグルと嫌なものが溢れる 辺り一面黒しか無い中 小さい俺と女の人が何かを話している この先の展開はもう何度も見てきた 大人になって離れた今だって ずっと夢の中でこの時間を繰り返してる だからもう見たくない そう思って目を背けた 早く、夢から醒めてほしい ずっとこんなところに居たくない 目を背けても後ろから笑い声も2人が話す言葉もこぼさず聞こえてきた 見てなくても聞こえてきたら なんの意味もない 皮肉を含んだ笑みを零してしゃがみこむ 膝を抱えて見下ろした先までも同じく真っ黒な色だけで暗闇にポツリと自分だけが取り残されているみたいだ 裸足から伝わる温度は酷く冷たくて 眠る前、誰かに握られた手から伝わる温度なんてものとっくに消えて今じゃ思い出す事も億劫でしたくない 眠る前に俺は何を考えていたっけ 何だか大切だったと思うのに もっとちゃんと言おうってした言葉があった筈なのに 今この空間に居るだけで その時の気持ちも全部嘘にしか思えない 考えても分からないから切り離そう いつもみたいに 誰かに拒絶される事ほど痛いことはない 求めたのに声が返ってこない時の苦しさをもう2度と経験したくない だからもう2度自分から誰かを求めたりなんて御免だ そう思った時 何処からか優しい声が聞こえてきた 何度も何度も俺の名前を呼んでいる 寒いと思っていた体がだんだんと暖かくなってくる 微かなこの匂いにも この低く緩い声にも 俺よりも高い体温にも 一つ一つの全てに覚えがあった

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