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サラサラと誰かに髪を撫でられる感触でふわりと夢から醒める 真っ暗な視界に光が入り込み何度かパチパチと瞬きをしていた時左から声が聞こえてきた 「瑞生!……良かった」 「……」 「まだボーッとしてるな、水取ってくる」 髪をすきながら耀さんが不安げに俺を覗き込んでそう言うと頬にキスをしてベットから降りていく さっきの夢の中の声は耀さんのか…… あれ? 俺、確か耀さんと喧嘩したんじゃ―― 上手く働からない頭の中にいろんな記憶が浮かんでは弾ける ズキズキと痛む頭や酷く重い体を気にする事もなく必死でドアを開け出ていこうとするその背中を追いかけた 「……ッ……ま……!」 呼びたくてもか細い声しか出ないせいで耀さんは俺に気付かず部屋を出ようとしてしまう ドンッ 必死になって思い切り腕を伸ばした時ベットから崩れ落ちてしまった 「ん?…………っお、おい!瑞生?!」 「耀さ」 「無理して話すな。 つーかベットからずり落ちたのか大丈夫か? 怪我はねぇか?」 「か、がりさ……」 「おいまだ寝ぼけてんのか? どったよ瑞生ちゃん〜」 間抜けに頭からずり落ちたまま動けなくなった俺を耀さんが驚き戻ってくるなりよしよしと背中をさすってくれる 笑う度にふにゃりと垂れる知的な瞳が目の前にあって、これも夢なんじゃ無いかと不安に駆り立てられた ペタペタと確かめるように耀さんに触れる するとクスクスと笑いながら俺のほっぺたをむにーとつまんだ耀さんがオデコをくっつけてきた 「大丈夫だ。 瑞生俺だよ」 「……」 「ほら、ベットに戻るぞ」 「……耀さんは、どこ行くの」 「ん?水取ってくるよ」 「や……行かなくて、いい……」 「だけど水飲んだ方がいいんじゃねーの?」 「要らない」 「……はぁ、まあ瑞生がそう言うなら無理強いはしねぇよ」 「……」 再びベットに寝かされた俺の横に座った耀さんが苦笑している 俺も今更になって何で引き止めたのかとか色々自分らしくない行動に羞恥心が湧いてきた この空気、気まずい…… ぼふっ、と枕に顔をうずめて誤魔化していた時頭上から何かを企んだような声が聞こえてきた 「瑞生〜どうした〜?」 「……」 「怖い夢でも見て甘えたくなったか?」 「…………煩い」 「今なら俺が甘やかしてやるよ? ん?ほれほれ」 「……おじさんに甘やかして欲しいなんて思うほど弱ってないんだけど」 「……おじさんは酷いだろ」 「……」 どれだけ年齢を気にしてるんだこの人は おじさんと言ったとたん顔は見えないけどあからさまに声がしゅんとしている 枕からチラリ、と目だけで耀さん見上げると横顔が見えた 視線はどこか別の方へと向いていて俺を見ていない事を確かめる それから頭を上げると、 俺の背中にくっついてベットに腰掛けている耀さんの膝の上に頭を置いた 「え? 瑞生?」 「甘やかしてくれんじゃないの?」 「おっおお……! 勿論!」 「……」 「でもまた急に膝枕って……ぶはっ」 「……なに」 「いや〜昔飼ってた猫思い出しただけだ」 急に笑い出す耀さんを睨みつける お腹側に額をくっつけて視線だけそっちに向けたらパチリと目が合って何だか恥ずかしい 急ぐように慌てて視線を逸らしてまたお腹に顔を埋めると耀さんの煙草の匂いが微かに匂った 「瑞生いつも怖い夢見てるだろ」 「……」 「……また瑞生が構わねぇなら俺の家遊びに来い」 「…………」 「ふっ、ん、まあ来たくないなら構わないさ。 ただもっと別のやり方を選んで欲しいとは思ってる」 「……なにそれ」 俺の髪を指に巻き付けたりと弄びながら 耀さんが問いかける そのまま黙りこくって居たけど反応した途端ピタリと髪を弄る手が止まった 「まず先に俺の話でもするか」 「……怜さんと付き合ってた武勇伝?」 「こらこら」 「ならヤンキーの武勇伝?」 「おい瑞生、意地悪言うなっての。 隠してて悪かったよ」 「……別に俺に言おうが言わまいが耀さんの自由だし」 「はぁ、ほんと大人っぽくてもお前はまだまだ餓鬼だな」 「……っそうだよ」 「ん?」 「……だから……そうだよって言ったの」 「……」 「俺は餓鬼だから……耀さんの言ってることも心配してくれる事も鬱陶しいとしか思えない」 「……そっか」 「…………なのに構われなくなったらなったできっと……ふっ……本当耀さん嫌い」 「俺は好きだけどな」 サラッとそう言う耀さんの言葉に心臓が痛み出す その好きは子供みたいで好きって事だろ 色んな人から色んな好きを貰ったし 色んな愛情も確かに感じてきた でも1番貰いたかった好きと愛情は いつも自分から拒絶をして避けてきた 祥の時だってそう きっと何を言ったって俺逃げたんだ 祥の真っ直ぐなところに惚れたのに その真っ直ぐさが怖いとも感じていた

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