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「かっ耀さん……!」
「今の、本当か?」
「は?だから忘れてって言ってるじゃん」
「……却下」
「俺が耀さんの事好きだとか本気にしたの?」
「俺は好きだ」
「……」
「瑞生の事が好きだ。 バカ怜の暇つぶしに付き合わされるぐれぇ瑞生に惚れてる」
「ッな……に言ってるの……」
「こっち向けよ」
「や……っ」
「俺のこと、本当に好きなんだな……」
濁すでもなくストレートにそう口にする耀さんにギョッとして頭がグルグルと混乱する
だから……っ
だから顔を見られたくなかったのにこの人ときたら俺の気も知らずにこうも簡単に口にするんだ
無理矢理に後ろを振り向かされて
バチリと視線がぶつかりあった
きっと俺いまとんでもなく情けない顔してるはずだ
赤くなってるだろう顔を隠したくて必死に耀さんから背けるのに簡単に腕を捕まれて逃げることも出来ない
「顔、真っ赤だぞ」
「うっうるさい」
「瑞生。 俺のこと好きって本当か?」
「〜〜っ」
「もう今更隠すなよ、お前の顔見りゃ流石に分かる」
「だ、だったら!一々聞くなよ!」
「駄目だ、お前の口から聞きたい」
「…………ッ……も……ほんと、やだ……」
「……」
「……好き……耀さんの事、好きになっちゃったの……」
グッと奥歯を噛み締めて
飲み込んでいた言葉をもう一度口にする
黒い澄んだ瞳を真っ直ぐに見上げて言うもののやっぱり恥ずかしくて堪らない
耐えきれず顔を背けた時視界がぐらりとゆがんで耀さんの胸に抱きしめられていた
「は……あははっ!すっげー嬉しい!瑞生、俺今すげぇ嬉しいんだけど!」
「な……っ……苦し」
「やべぇなーこの歳でこんな気持ちになるなんて思ってもみなかったわ」
「ちょっ、本当に苦しいってば!」
「お、悪い悪い」
締め殺されるんじゃないかってぐらい
めいいっぱい抱きしめてくる耀さんの背中を叩く
やっとそう言って離してくれた耀さんは馬鹿みたいに無邪気に微笑んでいて心臓がトクトクと暖くなった
「……」
「キスしていいか?」
「……っ」
「嫌って言わねぇねらするからな」
「……ん……ま……って」
「待ったはなし」
俯く俺の髪に指を通してそっと優しく上を向かされる
ドキドキと煩く鳴り出した鼓動が体中に響き渡って緊張で息さえもうまく吸えない
今ならまだ引き返せる
今だったなら冗談だって笑える
頭ではそう思うのに体は縛り付けられたみたいに動かなくて、ただただ耀さんの瞳に吸い込まれるかのよう縋りつくので精一杯だった
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