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「ん……っうん……、は……ふ……」 「瑞生好きだ」 「……ッ」 たぐり寄せられるまま耀さんのキスを受け入れた チュッ、チュッ、と何度も可愛らしい音を立てるだけの撫でるようなキス くすぐったい気持ちが溢れて 思わず微笑んじゃうぐらいあったかい なのに、どうしてこんなに震えるんだろうか 耀さんが少し、少し、俺の中に入ってくるのを感じる度に足が竦む 「や……っ!待って、お願いっ……耀さん……お願い。 少し、離れて……」 「……瑞生?」 「ごめん、少しだけ考えたい……」 唇を離れてオデコに頬にまるで宝物だとでもいうかのように優しく繊細にキスを落とす耀さんを押し返す 胸が苦しくて苦しくて堪らない 言い表せない恐怖と悲しみが後から後から次いで湧き上がる 俺は耀さんが好きだ それは認める そして耀さんも俺を好きって言ってくれた 拒絶は、されなかった だけど…… だからってこのまま本当に俺はこの人を好きになるべきなのか分からない 怖い 怖くて堪らない 俺は一体耀さんの何を知ってる? クールに見えるのに子供っぽくて 店を構えてて元ヤンで怜さんみたいなぶっ飛んでる人と付き合ってた 大体知ってることなんてたかがこれぐらいだ 逆に耀さんは俺の何を知ってる……? 俺がどれだけ薄情で逃げたがりで子供だって事をこの人は知らない この先俺を見て俺を知って 俺を―― 嫌いになる日が来るのを迎え入れる? 「瑞生?何、考えてんだ?」 「耀さん……やっぱり俺は……」 「ん?」 「……耀さんのこと好きじゃないのかもしれない」 「……」 「ごめ……ん」 「ふぅ」 「……」 前髪をかき上げた耀さんが遠くを見つめて深く息を吐く 幻滅されたのかな やっぱりめんどくさい奴だなって 子供はあくまでも子供で 耀さんみたいに大人の考えじゃないんだって そう、ガッカリしたのかもしれない 「とりあえず瑞生」 「……なに」 「自分の中で自己解決するな、いいな?お前が考えてる事一つ一つ俺に話す。 俺も聞かれたこと全て瑞生に話す。 俺達の事を決めるのはそれからだ、勿論瑞生が俺を好きじゃねーかどうかも」 「……」 「生憎怜みたいなぶっ飛んでるやつと昔っから関わってるお陰でほんのちょっとの事じゃあ引いたりもしないし幻滅もしない」 「……でもっ」 「怖いか?」 「――っ」 「俺も、怖い」 「え?」 「考えてみろよ、40になったじじいが20の餓鬼に手出してんだぞ? 未成年じゃなくとも……うん、どう思われるかね〜」 そうヘラヘラ笑いながら話す耀さんがチラリと俺を見る わざと明るくそう話す耀さんはやっぱり大人なんだ まるで何も気にしていない自由に生きてる様に見えて考えている 震えてる俺の拳をそっ、とさり気なく包み込んでくれる掌が大丈夫とでも言ってくれているようだった

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