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それからはもう見るもの全てが滑稽だった 楽しそうに会話をする家族の姿も 母親と新しい父親の姿も 俺を他所の子供だと腹の底で思いながら笑顔で接する家の皆にも 全部がしっくりと来た あんなに前まで不自然に感じていた物が 最後の一ピースがハマったかのように 全てが納得できた 俺以外が皆、知っていた 俺が必要とされてないことを知っていたんだ 母親の口から直接本音を聞いてからは 笑えるほどに潔かった 塾から帰れば俺以外の家族でご飯を食べに外へ行っているのは当たり前 家族旅行の話がでて、そこに俺が含まれて居ないのも当然 家族と言う名に俺は含まれていないのが この家の当たり前だった 家族はあの人達4人で 俺は良くてオマケ 言うならただの空気と同じ扱い 中学に上がってからは 自分の顔が好かれることに気づいた 色んな人が好きだって言ってくれたけど その全てが意味の無い空っぽばかり 誰の一番でも、誰の大切な人でもなかった でもそれは俺も同じで あの日母親から本音を聞かされて以来 好きって何か分からなくなったんだ 家族でさえこんなに脆いのに じゃあ恋人はどれだけ弱くて脆い? そもそも好きってなんだ 愛してるって皆が囁くあの言葉は? そんなに簡単に愛してるって言えるものか? 俺にはもっとずっと大切な言葉だった もっともっと深い意味があって 口にするだけで重みがあるようなそんな言葉 でも周り見てみれば皆が愛してると口にして次の瞬間はまた別の誰かに愛してると囁く 知れば知るほど 聞けば聞くほど 人を愛する気持ちも好きになる気持ちも 俺の中からすがたを消していつの間にか存在さえしなくなっていた 高校に上がって唯一変わった事 俺の成績が思ったよりも良かった事だ 小学校の途中で俺に見向きもしなかった あの男は俺を構うようになった 母親も俺に猫なで声で話しかける様になった そうなるのが続くと 俺をずっと空気のように無視していた 兄弟とも言えない兄と弟は2人が居ない時俺に嫌がらせをするようになる 夕飯は全て捨てられているか 何か別のものに取り替えられているか もしくは生ゴミ出されるか 部屋の中は勝手に荒らされるし 学校にも嘘ばかりの連絡をされたり 思い付く事全てを片っ端から 試していたけど何一つ悲しいとも 悔しいとも感情が動く事もない 好きなようにすればいい そう、思って兄と弟を無視していた時 たった一つだけの大切な物を目の前で焼かれた 記憶の中じゃあ思い出せないけど しっかりと顔が分かる俺を抱いて幸せな笑顔で写っていた父さんの写真 隠していたものをどこから見つけたのか わざわざ俺の目の前で全て燃やされた 何の反応も示さなかった俺に やっと満足のいく嫌がらせが出来たことに2人は笑顔で喜んでいた

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