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くだらない事を沢山話した 学校の先生がどうだとか 弟が大好きで仕方ないとか 彼の色んな話を聞いた ニコニコとお花が咲くみたいに 頬を赤く染めて笑う彼は俺とは全然ちがう 真っ白な子だな 汚れてない綺麗な心 そう思った 「今一番したい事ですか?」 「うん、何かある?」 「したい事か〜……そうだなぁしたい事は変わらず皆と笑えたら良いなって事くらいです」 「ふふっそうなんだ」 「はい。 でもそこに居て欲しかった人っていうか、見たかったけど見れない人の笑顔とかあるから……アニメみたいに猫型ロボットが欲しいです」 「なにそれ。 俺達が生きてる間は叶わなそうだね」 「ですよねー。 俺、自分の両親に会いたいんです」 「……両親?さっきお父さんの話してなかった?」 「あ、お父さんはいます! でも本当のお父さんとお母さんは俺が小さい時に死んじゃって、弟だけは奇跡みたいに生き残ってくれたんですけど……でもそのせいで弟は沢山傷ついてばかりで」 「……へえ」 「俺がしっかりしなきゃって思うのになかなか……なりたい自分で居るのって難しいですね、えへへ」 「……そんな事無いんじゃない。 きっと祥君が思ってるよりも周りは祥君を凄いと思ってるよ」 「わー!なんかすみません!何で俺愚痴なんか言っちゃったんだろ……本当ごめんなさい……」 愚痴なんかでもないのに そう謝る彼は多分本当に純粋だ だからもっと沢山愛されて可愛がられて なんの悩みもなく育ったんだろうと思ったのに そんな彼にも傷跡はあった 亡くなった両親の話をした時の彼は さっき迄ニコニコ笑っていたのが嘘みたいに凛とした顔をしていて きっと色々な感情を塞ぎ込んで居るんだろう 「両親に会ったら何したいの?」 「笑顔を見たいです」 「そっか。 両親の事好き?」 「記憶は少ないけど、好きです」 「ねえ、おかしな質問だけどさ」 「はい?」 「自分が親に愛されてないって知ったら、祥君ならどうする?」 「え?」

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