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05
「ただいま」
車で送ってもらって家に着く
玄関を開けたらリビングの光が付いていたから祥の方が俺よりも早く終わったみたいだ
「お帰り」
「ただいま。 早く終わったんだ?」
「明日からは時間ギリギリ迄働くみたいだから体休めろって」
「ふーん、じゃあ今日はお風呂でエッチか」
「はあ?!」
靴を脱いでいる途中で祥が玄関迄掛け走ってきた
こういう所犬みたいだよな
なんてこと思いながら2人でリビングに戻る
途中でそんな事言ってみたら
横から肘が脇腹に飛んできたけど慣れっこだ
「早めに体休めなきゃなんだろ?」
「そうだよ。 だから今日は早く寝るの」
「なんもしないで?」
「そうだって言ってるだろ」
「そ、じゃあたまには早く寝るか」
全くそんなつもりは無いけど
祥の提案に頷く
あっさり引き下がった俺を
怪訝そうに見ていたけどさっさと部屋着に着替えた俺を見て納得したみたいだった
祥の夕飯の支度を手伝って、
それから2人で遅めの夕飯を食べると本当驚く程にのんびりとした時間を過ごしていた
「祥、なにか飲む?」
「へ?!」
「……どうした?」
空になったマグカップを持ってソファから腰を上げると隣にいた祥がビクッと肩を揺らした
「い、いや何も?」
「……ふーん。 で、何飲む?」
「コ、コーヒー」
「わかった」
甘党の俺からしたらコーヒーなんて飲む気がしれない
飲んだとしてもかなり砂糖入れるし
ミルクも入れるし
それ見て逆に祥は気分悪そうにしてたけど
「はい、コーヒー」
「……ありがとう」
マグカップ2つ持って祥の元へと戻ると
やっぱり様子がおかしいままで
バレないように静かに口元を緩めた
「何考えてる?」
「……別に」
「なぁ祥」
「なに?」
「1ついい事教えてやろうか?」
「うん……?」
首をこてんと傾けて不思議そうに見つめてくる祥のほっぺたを抓る
「祥は不満な事があると唇がムッとする」
「えッ!」
「もう遅いよ。 何が不満だった言ってもらおっか」
俺の言葉を聞いた途端に祥がハッとして口元を隠す
けどもういまさらだ
隠すならもっと早めにするべきだ
「それで? 唇尖らせてそわそわしてた言い訳は考えついたか?」
「……」
「睨んでも見ないふりなんてしてやんないよ」
「……はぁ」
ソファの背もたれに寄りかかってニタリと笑いながら横を向く
するとクッションを抱き締めた祥が溜息を零した
それからクッションを手にしたまま
俺の膝の上に倒れ込んできては顔を隠す
「……祥?」
「……」
「だんまり?」
「うるさい」
「……甘えたいなら素直にそういえばいいのに」
「〜〜〜ッ!」
「ふっ、俺が気付かないと思ったか?」
「性格悪い……」
「どーも」
ふわふわな黒く艶のある髪に指をとおす
サラサラと浮かんだ髪の毛がパラパラと光を反射して肌の上に散らばっていく
肌白いな。 いい匂いもする
香水とかじゃなくて祥自身から香ってる
頭の奥がボーとする
本当、呆れる程俺も理性が効かないもんだ
祥から強請る迄手は出さないって思ったのに
今すぐにでも襲いたいし首元に噛み付きたい
どこへ行っても他の誰といても
俺のだって分かる様に祥に痕を残したいってそんな独占欲ばかりだ
そう、思った時静かに撫でられていた祥が口を開いた
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