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捕縛 5

消沈した気持ちのまま、電車を乗り継いで自宅マンションまで辿り着いたのは、17時頃だった。 玄関を入ってすぐに目に飛び込んできたのは見覚えのある男物の革靴。 春の背筋が凍った。 「おかえり、春」 待ち構えていたかのように玄関に姿を見せたのは、予想通りの、春が今一番憎んでいる相手だった。 「人の家に勝手に上がりこんで、何してるんですか?出て行って下さい!」 春は身体を強張らせて毅然と言い放った。 向田はニヤニヤしながら、まだ靴を脱いでいない春に近づいてくる。 「春、何言ってるんだ。俺たち親子だろ?これを見せたら、管理人さん、すぐに俺の指紋を登録してくれたよ」 向田は戸籍謄本をヒラヒラと降りながら、後ずさる春の腕をとった。 「離せ!俺はお前を親だなんて思ってない!」 春は向田の手を振りほどこうと掴まれた腕を引いたが、強く握られていて離れない。 キッと威嚇する様に睨み上げると、向田は寒気がする様な嫌な笑みを浮かべていた。 「そうか。そうだよな。俺たちは夫婦だもんな」 「な、何言ってんだ…」 向田は、戸惑い固まる春の腕を強く引いて、靴を脱がす暇もなく家の中に引き込んだ。そして、春の部屋のドアを開けると春を乱暴に部屋に突き飛ばした。 「いたっ…」 よろける春を後ろから羽交い締めにして、無理矢理ベッドまで歩かせると、そのまま春もろともベッドに倒れ込んだ。 「何すんだ!離せっ!」 思い出した様に暴れる春を、上から体重をかけて押さえる。 ベッドにうつ伏せに押し潰されても激しく抵抗する春を、それでも向田はいとも簡単に押さえ込みながら耳許で囁いた。 「春、知ってるか?日本では同性間の結婚には、養子縁組を使うんだよ。俺たち、晴れて夫婦になったんだよ」 夫婦………!? ぞぞそっと春の背中を虫が這ったような寒気が襲った。一瞬反応が遅れたと思ったときには身体を仰向けにされていた。 ニヤニヤと口許をだらしなく緩めた向田と、正面で向き合う。 嘘だろ……! 「なんで、こんなことするんだよ!」 何でかなんて事は、鈍感な春にもわかりかけていたが、言わずにはいられなかった。 理由が知りたい訳ではない。やめて欲しかった。正気に戻って欲しかったのだ。 それでも向田は、口元をニヤニヤと歪め、異常にギラつく目で春を見つめたまま、押さえつける力も全く緩めてはくれなかった。 「俺が何をしたいのか、まだわからないの?」 分かりたくない…! こんなの嘘だ。何でこの人がこんな事……。 いやだ……いやだ!! 春は渾身の力で上に乗っている向田をはね除けようと暴れたが、上から押さえつけている向田の方が圧倒的に有利な上、元々の力の差もある為、どれだけ暴れても向田を突き飛ばす事はできなかった。 向田は余裕の笑みを浮かべながら、吐息が掛かるくらい春に顔を寄せた。 「春、暴れちゃダメだ。口の利き方も、なってないぞ」 「うるさい!離せ!離せよ!」 手足を押さえつけられた春は、首を振って尚も抵抗を示した。 「仕方ないな。去年みたいな、素直な春を犯したかったが、そう言えば去年も初めは気乗りしてなかったんだったな」 向田は片手で春の顎を掴んで無理矢理目を合わせると、ニイッと不気味な位に口角を上げた。 「すぐ躾けてあげるけど、今だけは抵抗してもいいよ。強姦プレイも、楽しいからね」 春の顔から血の気が引いた。 春が衝撃に顔を青くさせている内に、向田は自分のズボンのベルトを手早く外すと、手際よく春の両手を合わせて手首とベッド柵を一緒に縛り上げた。 春は弾かれたように足を蹴りあげて抵抗するが、足の間に向田が陣取っている為、大した威力にならない。 向田は、息を切らせて必死に抵抗する春を嘲笑うかのようにゆっくりと春の着ていたシャツのボタンを外していく。 「春のすべすべの肌。あぁ、この感触。たまらないよ」 向田の手が、春の身体を這い回る。それだけでなく、顔を埋めてクンクンと鼻を押し付けてきた。 「ああ相変わらずいい匂いがする。どれだけこの身体に焦がれた事か……。早く食べてしまいたい」 向田がうわ言の様に気持ちの悪い言葉を繰り返す。 これは本当に現実なのか…? 嫌だ。気持ち悪い。誰か助けて…! 春はいやだいやだと首を振り、声の限りにやめろと叫んだが、向田は聞く耳を持たない。 防音に優れたこのマンションでは、人一人がどんなに騒ごうが喚こうが助けは来ない。 春は絶望を感じながらも抵抗を止めなかった。 突然、身体に今までとは違う濡れた感触がして、見ないようにしていた自分の身体に目を向けると、春の胸の飾りを執拗に舐め回している向田と目が合った。 春が顔をひきつらせるのも構わず、向田は、春にも見えるように嫌らしい長い舌をいっぱいに出して、犬の様にベロベロとそこを舐めた。 「や、だっ!…やめろっ!」 「春の乳首、凄くおいしいよ」 にいっと笑う向田を、泣きたくなるくらい気持ち悪いと思った。 もうこんなの耐えられない! 縛られた腕の拘束を解こうと腕をがむしゃらに動かすが、ベルトが千切れる筈もなく、外れる気配はない。それ処か、ベルトの端が手首に食い込んでヒリヒリ痛んだが、それでも春はもがき続けた。 向田は、春の苦悶の表情すら楽しそうに眺めながら身体を起こすと、春の足の方にずれて、春のベルトに手をかけた。 「もう、やめてくれ!」 春は堪らず懇願するが、向田の手は止まらない。 「もう?何言ってるんだ春。お楽しみはこれからなんだよ?」 一層顔色の悪くなった春にほくそ笑んで、向田はいとも簡単に春のベルトを取り去ると、ズボンと下着を一気に下げた。 「春かわいい。まだ生え揃ってないんだね」 暴れる春の足を掴みながら、恍惚とした表情を見せる向田。 「嫌だ!もうやめろっ!」 真っ青な顔色の春が叫ぶが、向田は聞く耳を持たない。 暴れる春の足を無理矢理広げると、春の股の間に顔を埋めて、春の縮こまった物にパクリと食いついた。 「ひっ!やだやだやだ!触るな!」 これまで自慰行為もしたことがなかった春は、突然急所を銜えられて軽くパニックを起こした。 それに、普通のセックスに関する知識は少しはあったが、実際にしたこともなければ、ビデオ等の類いも見たことがなかった春にとって、そんな所を口に含むなんて汚いし怖いし、信じられない変態的行為だった。 向田は、悲鳴を上げた春を気にする素振りもなく、銜えた物に舌を這わせると唇と舌とでしごく様に顔を動かした。 怖い。気持ち悪い…。 暫くはそればかりだった春だが、物理的刺激によって徐々にそこが芯を持って勃ち上がり始めると、心の中とは裏腹に生理的な快感を与えられ始めた。 「っは…はっ…、はぁっ…」 息を乱す春に気をよくした向田は、春を追い込む様に口の中で跳ねる可愛い物を吸っては唇や舌を巧妙に使って春を追い上げた。 「ッ…あっ…!」 小さく声を漏らした春の身体がビクンビクンと小刻みに震え、咥えられたそこから透明な液体がじわりと滲んだ。 向田はそれを吸い尽くすように執拗に先端を舐め続けた。 「もうやめて!」 春は力の入らない身体を捩った。 痛いくらい敏感になっているそこへの刺激は非常に苦痛だったし、自分の物を男に――父親よりも年上の男に舐められ、吸われ、しゃぶられているその異常な光景を冷えた頭に見せつけられて、吐き気を催すほど気持ち悪かった。 それと同時に知らない身体の感覚に混乱していた。 性的な刺激を与えられて反応するのも絶頂するのも、春の記憶の中では初体験だったのだ。 気持ち悪い。逃げ出したい。 そう思っても、性的快感に慣れていない身体は、 全然春の言うことを聞いてくれなかった。未だに足はガクガク力が抜けた様になっているし、腰も痺れて全く力が入らない。 ようやくしつこく口を離さなかった向田の頭が上がって、頬を心なしか上気させている春を見てニタリと笑った。 「春、気持ちよかっただろう?これから毎日俺が、春を気持ちよくさせてあげるからね」 「いやだっ!」 こんなのが毎日続くなんて、そんなの考えられない! 春は真っ青になって口では全力で向田を拒絶した。 がしかし、言うことを聞かない身体では、再び伸ばされた向田の手から逃れる事は不可能だった。

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