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捕縛 7
ぬぷりと向田の物が虐め抜かれたそこから抜かれると、大量に出された精液もすぐに出てきた。自分の中から出てくる向田の体液で、シーツが濡れていく。
さっきまで中で暴れ狂っていた物が出ていった事により、下半身の痛みは大分マシになったが、その分心がズキズキ痛んだ。
自分はとんでもない事をされてしまった。
両親に貰った大事な身体を、傷物にしてしまった。もう取り返しがつかないくらい、身体の外も、そして中も汚されてしまった。
向田は力なくぐったりと横たわる春の顔を覗きこんで、まるで恋人がするみたいな甘い笑みを浮かべて囁いた。
「春、最高に気持ちよかったよ。春はどうだった?」
春は未だ整わない荒い息をつきながらも、向田をキッと睨んだ。
一体何を言ってるんだ。こいつは頭がおかしい。自分が俺に何をしたのか分かっているのだろうか。どうしてこんな風に、全く悪びれた素振りもなく笑っていられるのだろう。
恐怖心に押さえつけられていた春の反発心がむくむく起き上がるが、そんな春を見て向田はさっきとは違う種類の笑みを浮かべた。
それは、何の躊躇もなく春を凌辱した時と同じ表情だった。
「春、いけない子だなあ。まだそんな目をする余裕があるの?お仕置きが足りないのかな」
先程味あわされたばかりの痛みと屈辱と恐怖を瞬時に思い出し、春は身体を震わせて目をそらした。またあんな目に遭わされると思うと、とても睨み続ける事はできなかった。
「いい子だ。俺だって、大好きな春に痛い思いはさせたくないんだよ?」
向田は春の頬の涙の跡を舌で辿った。それだけで、先程の行為を思い出した春の身体は勝手にガクガク震え始めた。
「あはは、春。俺が怖いの?大丈夫だよ。春がちゃんと俺の言うことを聞いていれば、酷い事はしないからね」
春は震えながらも必死に考えていた。
こいつは狂っているんだ。
逃げよう。
俺には父さんに託してもらったお金がある。
こいつの手の届かない所ならどこでもいい。
ともかく逃げなきゃ。
逃げなきゃ、壊される。
しかし、そんな春の心をまるで読んでいたかのように、向田が言った。
「春、逃げようなんてバカな事思わないで。そんなことしたら、お父さんが守ろうとしていた物は、全部壊してしまうからね」
「っ……なんで!何でそこまでするんだ!何が目的なんだよ!?」
早くも塞がれてしまった逃げ道に、春は恐怖も忘れて向田に詰め寄った。
「何で?目的?そんなの決まってる。春だ。拓弥に近づいたのも、会社を買収したのも、全部春のためだったんだよ」
「俺の…ため……?」
「そうだよ。愛しい春と結ばれる為に、春が絶対に逃げることができない檻を、俺は1年以上かけてコツコツ作り上げてきたんだ。そしてようやくこの日を迎える事ができた。言っただろ?俺達は夫婦になったんだ。春は一生俺の物だよ。逃げ出す事なんて、許さない」
春は向田に告げられた真実のあまりの衝撃に頭が真っ白だった。
俺を手に入れる為…?
父さんが会社を失ったのも、家族がバラバラになったのも、全部俺のせいだったってこと…?
俺の………。
呆けたように一点を見つめ黙りこくった春を見て向田は嬉しそうに笑った。
「ようやく俺達結ばれたんだよ。俺は本当に幸せだよ。1年3ヶ月もの間ずーっと片想いしていたんだから…」
「1年、3ヶ月…?」
「そうだよ。春は知らないだろうけど、春がMVPをとった試合を俺は見ていたよ。あの時から、ずっと俺は春を想い続けてきたんだよ」
向田は甘酸っぱい思い出を語るみたいに弾んだ声で更に続けた。
どんなに春を愛しているか。この日を無事に迎えるためにこれまでどれだけ我慢をし、自制をして、策を張り巡らしたのか……。
それらを春に言って聞かせる様に話した。
だが、春は魂が抜けた様に上の空で、向田の話は殆ど頭に入って来なかった。
俺のせい。
俺のせいだった。
俺がバスケなんかしてたから。
俺が目立ったから。
全部俺のせいで壊れた。
父さんの愛した会社も、家族の平穏も、俺が壊した。
俺の…せいなんだ……。
「…春、おい春、聞いているの?」
向田がぼんやりとした春に気づき、眉を顰めた。
「俺の話を無視するなんて、許さない。お仕置きが足りなかった様だな」
冷たくそう言い放った向田が春の足を再び開いた。
春はようやく我に返って逃れようとしたが、いつの間にか猛っていた向田自身は、もう春の赤く腫れ上がった蕾に宛がわれていた。
「今日は徹底的に分からせてあげないとね」
「いやっ!お願いやめて…ッ!!」
向田の切っ先は、無情にも春の傷口を再び開きながら侵入してきた。
「あ…あ……」
春にはもう叫ぶ力も残っていなかった。
あまりの激痛に気を失いかけたが、向田が動くことにより生じる新たな痛みによって無理矢理意識を引き戻された。
好き勝手に動く向田に揺さぶられ、嗄れた声で呻く事しか出来ない。
揺さぶられる度に、硬いベルトできつく固定された両手首が擦れた。
向田が2度目の精を春の中に放つ頃には、ベルトには擦りむけた皮膚から出血した血の赤が滲んでいた。
満足した表情の向田が再び甘い笑みを浮かべて春の頬を撫でて、気持ちよかったよと囁いたが、春にはもう睨み付ける気力はなかった。
人間、あまりに心身ともに辛い目に遭うと、思考が停止するようにできているらしい。
春は向田への嫌悪感も、怒りも、何も感じられなくなっていた。
「春、可愛いよ。ようやく素直になったね。可愛い可愛い俺のお人形になった」
向田は恍惚とした表情で呟くと、手の拘束を解き始めた。
「ああ、可哀想に。痛かっただろう?」
そう言いながら、向田は春の手首の傷に舌を這わせた。
春は舐められたそこがヒリヒリと痛んで、ピクと腕を跳ねさせたが、示した反応はそれだけだった。
両手が自由になっても、もう逃げ出そうという気力も体力も残されてはいなかったのだ。
向田はぐったりとした春の身体を抱えてバスルームに向かった。
脱衣所に到着すると、鏡の前に春を立たせた。
脱衣所の落ち着いた電球色の光は、春の肌をより一層綺麗に艶かしく魅せた。
「シャツを脱いで」
春の着ていた白いシャツは、ボタンは全て外されていたが、まだ肩にかかったままだった。肌蹴まくったそれを引っ掛けているだけという姿も充分官能的だったが、何も纏わない裸の春を見たかった。
「春、聞こえなかった?」
俯いて微動だにしない春に揺さぶりをかける。またお仕置きを受けたいのか?と暗に匂わせる様に。
向田の意図は伝わった様で、春は怯えた様な顔で一瞬向田を見ると、また俯いて緩慢な動きでシャツの袖を抜き始めた。
少しずつ脱ぐことで、その行為がより一層卑猥に見える事に、春は気付いていないのだろう。その無自覚の色気に向田の目は釘付けになった。
パサリと床にシャツが落ちて、一糸纏わぬ姿となった春が恥ずかしそうに唇を噛んだ。
向田は押さえきれない笑みをその口に称えて春の回りをゆっくりと歩いた。
その姿を前から横から、そして後ろからもじっくり眺める為に。
「春、隠さないで。そう…いい子だ」
無意識に前を隠す様に組まれた腕すら許さず、余すことなく春の身体を観賞する。
「綺麗だよ。とっても綺麗だ。お前は完璧だよ。何から何まで、俺の理想通りだ」
日焼けの跡すらない透けるような白い肌。
ほっそりとした長い手足に、線は細いが健康的な身体のライン。
無駄な贅肉のない小さい桃尻に、色香を漂わせるしなやかな背中。
どこをとっても完璧じゃないか。
でも、これはまだ完全な春の姿ではない。
本当の春は、今よりももっと、もっと美しいのだ。
「その邪魔な黒髪と黒い瞳を外すんだ」
春は無言で鏡の方を向き、言われた通りにウィッグとコンタクトを外した。
現れたのは目映い程キラキラ輝く銀の髪と、宝石を嵌め込んだ様なエメラルドの瞳。
向田は息を飲んだ。
この姿を初めて見た訳ではなかったが、何度見たって、この美しさにはため息を禁じ得ない。
「あぁ…なんて美しい。俺だけの天使…」
向田は、この美しい天使を我が物にできた悦びに再び感じ入っていた。
2度春の中で吐き出したばかりの自身は、既に重力に逆らい頭をもたげている。
犯したい。
考えるのはそればかりだったが、裂けてしまった春の尻を、今日はこれ以上犯す訳にはいくまい。
少し乱暴に扱いすぎたか。
向田は初めて春を傷つけてしまった事を後悔した。
だがそれは春を思っての事ではない。
自分の欲求を満たせないことへの後悔。ただそれだけだった。
向田は春の中に捩じ込みたい欲望を我慢し、すっかり言いなりになった可愛い春の手を引いてバスルームへと入った。
二人で入っても充分余裕のある、広いバスルームだ。
今度ここでセックスするのもいい。
春を壁際に誘導しながら向田は一人ごちた。
「壁に手をついていなさい」
そう命令すると、向田は春の上半身をお辞儀させる様に倒して、尻に指を挿入した。
春の背中が引き攣り、うっと苦し気に呻いた。逃げ腰になり起き上がろうとする背中を再び上から押して、無理矢理尻をつき出させた。
「俺の愛の証。本当は出したくないけど、入れたままにしておくと春が辛くなるからね」
言いながら向田は春の中から自身の精液を掻き出していった。
春は痛いのだろう。相変わらず身体を硬くさせて、小刻みに肩を揺らしている。
「沢山出てくるよ。凄くえっちだ」
春の尻から白い体液が次々と出てくる光景に、向田は興奮し息を荒げた。
ああ犯したい。
指を抜くと、強ばったままの春の頬を後ろから掴みこちらを向かせてキスをした。
深く口付けながら自身の猛った物を春の腰に擦り付け、そのまま腰を振って擬似セックスを暫し楽しんだ。
春はずっとされるがままだった。
さっとシャワーを浴びてバスルームを出ると、棚の中で綺麗に畳んであったバスタオルを使った。そのタオルはふかふかで、柔軟剤の優しくて清潔な匂いがしていた。
向田は空想した。
この家はどこも掃除が行き届き、きちんと整理整頓されている。
これが春の日常だったのだ。
家事や身の回りの世話をしてくれる優しい母親がいて、経済力のある立派な父親がいた。平和そのものだったろう。
だが、春を守る保護者は、もういない。
俺が全てを奪ったから。
春には、俺しかいないのだ。
これから、奪った以上の愛を春に与えてあげよう。
そうして、春も俺だけしか見えなくなればいい。
きっとそうさせてみせよう。
春の心も身体も、俺だけの物なのだから。
空想に耽りながら春の身体を拭く向田は上機嫌だ。
「これから俺の事は名前で呼びなさい。『孝市さん』ってね」
向田は春が力なく頷くのを見て、更に続ける。
「俺は春のご主人様で、春は俺の妻。だから、俺の言うことは絶対だ。もう逆らったりしちゃいけないよ」
今度はなかなか反応しない春に、分かったの?と畳み掛ける。
そうしてようやく春が虚ろな様子で頷くと、向田は笑みを深くした。
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