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捕縛 12
だが、春は予想外に負けん気の強い性格だったらしい。
流石に力では敵わないことや、逃げられる立場ではない事は分かっているから、縛り付けなければならない程の物理的な抵抗はしてこなくなったが、精神的には反抗を続けた。
いつも服を脱がせる向田を悔しそうに睨んだし、口調や態度だって従順ではなかった。
春を完全に屈伏させたい向田は、躍起になった。
毎晩足繁く春のマンションへと通い、春が反抗的な態度を取る度に、尿道を虐めたり、猛った自身で吐くほど喉の奥を突く等のお仕置きという名の拷問を繰り返した。
そうしてようやく、従順なお人形に仕立てあげる事が出来たが、次の日になると春は再び向田に反抗した。
そんな日々が5日も続くと、流石の向田も考えを改める気持ちになった。
無論、春を諦めた訳ではない。
向田好みのお人形に仕立てあげる過程をも愉しもうと思うようになったのだ。
せいぜい抵抗し、もがき苦しめばいい。
どうせいくら生意気を言っても、俺の言うことは春にとって絶対なのだから。
心が堕ちないのなら、先に身体を堕とすまでだ。
大人の快楽を、その身に徹底的に覚えこませてやろう。
嫌がれば嫌がるほど、嗜虐心が満たされるというもの。
簡単に堕ちてくるよりも、寧ろ張り合いがある。
「ここにつけられるのは嫌なんだっけ?」
向田が春の首筋に舌を這わせながら言った。
春を裸にした後にまずする事。それが春の全身にキスマークを施す事だ。
春は首回りにそれをされることを殊更に嫌がる。理由はおおよそ分かっているが、これまで反抗を少しも許さないスタンスだった為、それを嫌がる事がお仕置きの引き金となった事も何度かあった。
「何で嫌なの?」
一つ、二つと、キスマークをつけながら問い正す。
昨晩だって、これを嫌がってお仕置きされたのだ。今日は我慢しようと思っていたのかもしれない。昨日程の抵抗は見せなかったものの、首を反らして逃れようとしている。
「答えなさい」
向田は語気を強めた。
あれほどのお仕置きはやめることにしたものの、それで春に甘くなったと思われてはいけない。
あくまで自分は春のご主人様で、何をされても逆らえない絶対的な存在であり続けなければならないからだ。
「………見えるから……」
春が小さな声でそう言った。
やはりな。
そう思いながらも向田は尚も聞いた。
「何が見えるの?」
「痣が……制服着てても、見えるから……」
「ふーん、成程。でももう遅いんじゃないか?今時の中学生はこの痕がどういう時につくものかぐらい判るだろうからな。春が毎晩何されてるか、きっともうみんな知ってるよ」
「やめて!」
わざと春が気にしているであろう事を口に出しながら再び首筋に吸い付こうとしたら、春が首を振って、向田を引き剥がそうと手を突っ張ってきた。
向田は春の両手をマットレスに押さえつけてあっさりと春の抵抗を封じた。
反抗したらお仕置きをされるものだと刷り込まれている春の抵抗は、初めから弱々しいものだったのだ。
「どうしても嫌なら、お願いしなさい」
てっきりお仕置きだと言われるものと思っていたらしい春は、一瞬何を言われたのか解らなかった様だったが、すぐに口を開いた。
「やめて……ください」
「だったら代わりに何をしてくれる?」
「…………」
「俺がやりたいことを我慢してあげるんだから、春は俺に何かお礼をするべきだろう」
「………ありがとう……ございます」
「言葉だけじゃ足りないな。態度で示してくれないと」
「たい、ど…?」
「そうだな……じゃあ、キスして貰おうか」
「え……」
「春から俺にキスして。簡単だろう?」
「そんな事……できない」
「そんな簡単な事もできないんなら、俺だって我慢してやる必要はないな。春が今晩もエッチな事したって、明日学校中のみんなに知って貰うとしよう」
「ぃやッ!」
思わせ振りに首筋に舌を這わせる。
「いつもよりも、沢山つけてあげる」
「やだっ」
4つ目の痕をつけ終えた時、春が遂に音を上げた。
「する!するから、もうやめてっ!」
口元をニヤリと歪ませた向田が顔を上げるた。
「するって、キスするのか?」
春は目線を合わせないまま小さく頷いた。
向田は身体を起こすと、春の太股あたりに跨がったまま、絶望している様子の春を見下ろした。
やがて春も身体を起こして、顔を俯けたまま上目遣いでこちらを見ながら言った。
「これからずっと、しないで……」
「それは春のキスの出来次第だな」
「そんな……」
「さあ早くしなさい」
ギリッと歯を噛み締めた春が、意を決した様に目を瞑って、引き結んだままの唇を向田のそれに押し付けた。
ほんの一瞬触れただけで離れようとした春の頭を、向田はがっちりと掴んだ。
「舌はどうした?そんな生温いキスを教えた覚えはないぞ。ちゃんと舌を使いなさい」
顔の距離1センチ程でそう言うと、再びぎゅっと目を瞑った春の唇が押し付けられた。
先程固く閉じられていた唇が少し緩んで、言われた通りに舌がほんの少しだけ向田の口の入り口に触れた。
そのまま動かないそれを焦れったく思い、誘導する様に舌を吸ってやった。
いつもは逃げ惑う春の舌は今日は大人しくしていた為、存分に絡ませ合う事ができた。
「ああ…気持ちいいよ」
春との濃厚なキスに昂った向田は、キスしたまま春をベッドに押し倒すと、春の裸の身体をまさぐり、乳首をきゅっと摘まんだ。
「ん…っ」
痛いのかくすぐったいのか、春が身を捩る。そのままこねくりまわしても、舌で転がしてみても、春は嫌そうにするばかりで、下半身も全く反応していなかった。
毎日弄ってはいるが、まだここの性感に目覚めないのか。本当に初な身体だ。
だがこのまま刺激を与え続ければ、いかに未成熟な身体でも、急速に大人になっていく事だろう。
俺が、春の身体を変えるのだ。一から開発できるのだ。これ以上の愉しみはない。
向田は恍惚とした笑みを浮かべて春の胸の突起をチュッと吸いながら顔を上げると、そのまま下半身の方に移動して、春の股を大きく広げた。
「春のここはどうなったかな?よく見せてごらん」
「ッや……」
やんわりと抵抗を示す春の足を持ち上げて、無駄毛ひとつ生えていない春の綺麗な尻穴をじっくりと観察した。
1週間近くここを使ってセックスしていない。
自業自得と言われればそれまでだが、それにしたって毎日春の裸を見て、身体に触れて、啼き声を聞いて、それなのに肝心のアナルセックスができなかったのだ。
毎回吐精していたとは言え、向田はもう我慢の限界だった。
愛しい春と繋がって気持ちよくなりたい。
向田の頭を占めるのはその考えばかりだ。
「もう傷も治ってるみたいじゃないか。春、ようやくここに俺のおちんちんを入れてあげられるよ」
向田は嬉しそうに言ったが、春は羞恥に赤く染めていた頬を一転、一気に青くさせた。
「やだ……やめて……」
「何言ってるの。愛し合う夫婦は、ちゃんとセックスしないと」
「いやだ……したくない……」
「したくない?そんな事言ってもいいのかな」
「…………」
「春は俺の妻で、俺と愛し合ってるんだから、セックスして貰えて嬉しいだろう?」
春は唇を噛んで恨めしそうに向田を睨みつけた。
「何だその目は」
「…………」
「許して欲しかったら、セックスしたいですって言いなさい」
「…………」
「春。俺を怒らせたいのか?俺に逆らったらどうなるか、もう痛い程分かってる筈じゃないの?ん?」
俯いていた春は、向田に急かされてようやく顔を上げ、唇をわなわなと震わせながら口を開いた。
「セックス……したい、です……」
小さく震える声でようやく言い終えた春の瞳からは、涙が一筋だけ流れた。
向田はその姿を見て、改めて春の魂の穢れなき清廉さや気高さに気付かされた。
だが、そう感じても尚、一層穢してやりたいと考えるのが、向田という人間だった。
穢れを知らない天使を、己の性欲の奴隷にして貶める事こそ、至上の悦びだとさえ思っていた。
「ああ…綺麗だよ、春」
涙が辿った跡に舌を這わせながら、おもむろに春の尻の孔に指を挿入した。
顔を歪める春に口づけをして、性急に指を増やしていく。
「セックスしてひとつになろうね。春は俺の物だ。俺の天使だ。誰にも渡さない。愛してるよ」
向田はキスの合間にうわ言のように言った。
そして、器用に用意してあったローションを猛りきった自身に塗りつけて、春の身体を貫いた。
「ッ…………!!」
春は声も出せなかった。
向田に唇を塞がれているせいもあったが、貫かれた衝撃と、また内部まで犯されてしまったという精神的なショックで、声もなく涙が流れた。
初めて襲われた日から1週間。向田はここに触れてこなかった。
「傷が治るまでは我慢する」と言っていたのを忘れた訳ではなかったが、もうこうすることに興味を無くしたかもしれないと、淡い期待を抱き始めた頃だったのだ。
口を犯されるのも、尿道を弄られるのも嫌で堪らなくて、初めの頃は、向田にされる行為の全てが、同じ位嫌だった。でも、1週間毎晩の様に色んな事をされて少しずつ、やられてもまだマシな事、嫌な事、絶対に嫌な事が分かれる様になってきた。
今されている事は、「絶対に嫌な事」だった。
こんな、男女の普通のセックスみたいな格好になって、しかも自分が女の役割をさせられて内部を暴かれるなんて………。
「春、ああ……気持ちいい。なんて気持ちいいんだろう。これは……とても1回で満足できそうにないよ」
向田は腰を振りながらずっと春の唇も貪っていた。
合間に春を更に青くさせる様な事を言いながら、一人快感の絶頂まで昇りつめていった。
「ああっ、もうだめだ!イクよ!」
そう言って春の中で吐精した向田は、自身の言っていた事を肯定する様に、すぐにまた春を揺さぶった。
アナルセックスに慣れていない春が、乱暴に突かれるだけのそれで快感を感じる筈もなく、春の物は萎えたままだった。
だが、余裕のない向田は、自身の快楽だけを追って何度も春の中に、我慢し続けた欲望をぶちまけ続けた。
何度吐き出されたのか、どれくらいの間揺さぶられ続けていたのか、春にはもう分からなかった。
分かるのは、大量の精液を自分の中で出されたという事だけだ。
それが分かったのは、向田があろうことか春の尻から垂れ出た精液を、勝手に居間から持ってきたグラスに溜めて見せつけてきたからだ。
そして当然、見せつけるだけでなく……。
「凄いだろう?春への思いの詰まった愛の証だよ。さあ、飲み干して」
向田は、嫌がる力も残っていない春の首を起こすと、グラスの飲み口を春の口に押しつけて無情にもそれを傾けた。
「うっ……げほっ……」
「溢しちゃだめだろう。あ、またお尻からも垂れてきた」
向田は、グラスで精液を掬ったり、春の口許に運んだりと忙しく動いた。とても愉しそうに。
数十分かけてグラスの中を空にした向田は、非常に満足そうな表情を浮かべてようやく春のマンションを後にした。
残された春は、今日の狂気の時間が終わった事を実感する間もなく深い眠りについた。
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