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捕縛 30
向田の責めるような視線を受け、寒いのか熱いのかもはや分からなくなった身体を起こして、必死に言った。
「違う!逃げるつもりなんてない!潮陽には、経営学の授業があったから、それを受けたかったんだ。逃げたりしない!」
向田は無表情だ。
「頼むから信じて。お願い!父さんの会社の人や、薬には手を出さないで!」
ベッドの傍らに立つ無表情の向田に縋り付く。
「…春、俺だって許してあげたいけど、許せないよ。今日進学先を変えようとしたけど、もう手続きも終わってるから無理だって言われたよ」
「ごめんなさい…」
「千葉なんて!!」
突然大声を出した向田に驚いて、ビクッと背中が引き攣る。
「千葉なんて、毎日春と会えないじゃないか。とうするの?なあ、これ、どうするの?」
言いながら向田が股間を顔に押し付けてきた。既に中心部分が硬く大きくなっている。
「許して…お願い…」
「…春が、約束してくれるなら、社員と薬には手を出さない」
パッと向田を見上げた。
その二つを守れるなら、何でもする。
そう思った。
「なに、を?」
「高校の入学式までは、一歩もこの家から出ないと、約束してくれ」
「わかった。約束する」
3ヶ月、この家に缶詰になるだけだ。大丈夫。それくらい、なんでもない。
間髪入れずに返事をしたら、向田が笑った。
「3年間も離れてしまうんだ。その分たくさん抱いてあげる。仕事の空き時間にも、抱きに来てあげるからね」
日中も…と思うと、背筋が寒くなったが、仕方ない。
3ヶ月耐えればいいんだ。
それで父さんの大切な物は守れるのだから。
***
ゴソゴソと音がして、向田を見ると、ズボンと下着を脱いで、反り立って天井を向いた物を露出させている。
「食べて」
言われた意味をすぐ理解して、熱で軋む身体をベッドから下ろして端座位になると、これまでに仕込まれた通りに物に舌を這わせた。
「春、上手になったね。こっちを見て」
言われた通りに向田を見上げると、恍惚とした表情を浮かべて目を細め、感じ入っている。
暫く舐めると、先っぽからヌルヌルとした少ししょっぱい体液が出てきて、気持ち悪いけど、教えられた通りにそれを吸い取る様に舐める。
向田はじっとこちらを見下ろすので、見ろと言われた目を逸らす訳にも行かず、見つめ合ったままパクリと先端を銜えた。
熱があるせいか、心なしか少しひんやりしてるように感じた。
こういうことをしている時に冷静になると、自分の卑猥さに叫びだしてしまいそうになるので、冷静な思考はどこかに置いて、出てこないように蓋をするようにしている。
何も考えずに、無心で頭を動かし、根本には手を添えて上下に動かした。
自分の唾液と向田の先走りが口から溢れてじゅぶじゅぶと嫌な音を立てる。
向田の息遣いがどんどん激しくなり、うっと小さな声を漏らした。
口の中の物がピクピク動いて、その度に生温い体液が口の中に溜まっていく。
放出が終わると、向田の物が口から出ていく。
反射的に口内のドロドロしたものを吐き出しそうになるが、そうすると向田が怒るので、味を感じないように一気に飲み込んだ。
その喉の動きを見て向田が満足そうに微笑む。
「春の口の中、今日は特別熱くて気持ちよかった」
言うなり唇に吸い付いてきて、ぴちゃ、ちゅく、と音をさせながら舌を絡ませる。
「っん…ふ…んんっ…」
歯の裏や、頬っぺたの裏側まで舐められて、予想の出来ない舌の動きに翻弄される。
「うん、やっぱり熱い。春は熱があるみたいだね」
激しいキスと熱に浮かされて幾分トロンとした目を向田に向けて、頷く。
だから、今日はもう勘弁して欲しいと意味を込めて。
「そうか。でも、熱い春の下の口の味も知っておきたいから、服を脱いで」
向田は容赦なかった。許されると思っていた自分が間違いだった。この男はそういう人間だ。己の欲望を満たすことしか頭にない人間。
***
総毛立つ肌を宥めて、服を脱いでいく。服が肌に擦れる度にザワザワして、空気に直接触れると冷たくて寒くてたまらなかった。
少し震えながら全部脱ぐと、向田が伸し掛かって来て、仰向けに倒された。
乳首を口で吸い出す様にされた後、舌で左右に転がされて、甘咬みされる。
初めは擽ったさしか感じなかったそこも、今では刺激されるとじんと痺れて硬くなり、腰の辺りにまで快楽が伝わる様になった。
今日は熱のせいか、触れられた所全てがザワザワして、殊更敏感な反応を示してしまう。
向田が胸の回りに所有の証をつけながら反対側の乳首を同様に責める。
「春の身体、今日はすごくビクビクしててかわいいね。ここも…もうこんなにしちゃって」
硬くなった自身を握られて身体が跳ねる。そのままやんわり扱かれて、あっと思わず高い声が出る。
向田がクスッと笑ってかわいいと囁いた。
「今度は後ろを気持ちよくしてあげるから、四つん這いになって」
恥ずかしい格好だが、言われた通りにする。
いつまで経っても羞恥心はなくならないが、2ヶ月間毎日こんな目にあっているので、不本意ながら慣れきってしまっていた。
後ろの蕾をじゅるじゅると唾液を擦り付けながら舐められる。
その間も前は扱かれていて、荒い呼吸の合間に高い声が混じってしまう。
やがて舌が離れ、たっぷりと濡らされたそこに指が2本挿入される。
バラバラに動いて孔を拡げる様にしながらもズボズボ奥を突いてくる。
ちょうど一番敏感な部分に指が当たっていて、気持ちよさに全身の力が抜けて上半身が崩折れる。
腰を抱えなおされ、お尻だけ高く掲げた姿勢を取らされた。
蕾に、指とは太さも長さも全然違うものが宛がわれて、ズズズと中に入ってくる。
一番太い所が入った後はスムーズに入ってきて、パンと尻と向田の太股がぶつかる音がした。
「春…熱い…。すごく気持ちいいよ…」
向田が満足そうに言って、少し感触を楽しむように一番奥でじっとした後、突然激しく動き出した。
「あっ、ああっ、ん、んっ」
身体は物凄くダルいのに、頭が茹だった様に快感に溺れ、喘ぎ声が止まらず、開いたままの口の端から唾液がツーっと溢れシーツに染みを作っていく。
「今日の春は最高に素直でかわいいね。気持ちいいかい?」
「あ、んっ、きもちいいっ、いいっ」
「本当にかわいい」
頭が朦朧としていて、思考が働かない。
ただただ気持ちいい。それしか考えられない。
向田が身体を仰向けにひっくり返して、また激しく突きながら、唇を合わせて舌と舌を絡ませる。
そして、少し唇から離れて、開いたままの春の口の中に、自分の唾液を垂らした。
春はもはや自失している様で、虚ろな瞳を彷徨わせるだけで嫌がる素振りもなくコクンとそれを嚥下した。
「あぁ、春。愛してるよ。絶対に離さないっ!」
「っ…ああぁぁあっ!」
フィニッシュの為に一際激しく突くと、春が白濁を溢れさせながらビクビクと何度も痙攣し、そのまま意識を飛ばした。
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