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鳥籠 37

「望月、お前に頼みがあって―――」 『はぁ?それ、犯罪だし』 「頼むよ。お前にしかできないことだ」 『しゃーねーなぁ。…最近の春は本当に見てられない。早く助けてやってくれよ』 「…たぶん、これで救い出せると思う」 『今が2月だから…あれから3ヶ月か。ま、バカのお前にしちゃあ頑張ったじゃん』 「あぁ。お前と、笹原ってやつもな」 『…お前、わかってんだろうな。しくじるなよ?』 「わかってる。決行は…明後日だ。それまでに用意できるか?」 『やるしかねーだろ』 「頼りにしてる」 『俺はお前のこと、イマイチ信用しきれねーけど…』 「大丈夫。任せろ」 頼んだよと言った望月との通話を終了させた。 裏で解決方法を探る中で一番懸念していた事は、またハル先輩が突然行方を眩ましたら…ということだった。 向田もあの異常な執着ぶりだ。会社も何もかも捨てて、ハル先輩と一緒に身を隠す可能性がないとも言い切れない。 その心配を晴らしてくれたのが、望月とその友人の笹原という男だ。 2人がこの3ヶ月間交互に、探偵さながらハル先輩を昼夜なく見張ってくれていたから、裏での画策に集中できた。 この寒い時期なのに、毎晩遅くまでマンションを張ってくれたその労力には本当に感謝している。 そして、今日頼んだことも、望月ならきっとやり遂げてくれるだろう。 一刻も早くハル先輩を助けたかったが、向田の仕組んだ事を探る事と、協力者を懐柔するのに3ヶ月もの時間がかかってしまった。 ハル先輩に別れを告げられてからだと、4ヶ月も経っている。 向田をやり込めるのは一発勝負だと思ったからこそ、時間をかけた。 もう、準備に余念はない。 後は、当日を待つのみ。 *** 最近は、全裸にされた後、必ず赤い革の首輪を装着される。 俺が、孝市さんの物であるという証だと言っていた。 今日はそれに加えて手枷もつけられて、首輪の紐を繋げる部分にその手枷を拘束された。 そして、その為に買ったと言っていた一人掛けの椅子の上に足を広げた状態で拘束され、尿道と後ろに道具を突っ込まれた。 リングは装着されなかったけど、尿道の棒を抜いてくれないので、どちらにしろ自分の意思で射精はできない。 毎回のセックスで射精を制限されるせいか、最近では出さなくてもイける様になった。 おかしくなったのかと不安がる俺に、孝市さんはドライオーガズムという物で、おかしいことではないから心配しなくていいと言った。 出したいという感覚は変わらずあるが、溜まり続ける疼きを逃せるので、少し楽になる。 それに、出さないでイくのは、出す時よりも快感が強くて、つま先までピンと力が入り、全身がピクピクと痙攣する。そして、その気持ちよさは長く続いた。 「春、すごく気持ち良さそう。これじゃ調教にならないなぁ」 だらしなく唾液を垂らしてピクピクする俺に向かって孝市さんが楽しそうに言う。 確かに始めの1回や2回なら気持ちいいが、何度も何度もイかされている内に苦痛しか感じなくなる。今だって、感じたくない快楽を感じて、したくもない痙攣をさせられて苦しいとしか思わない。 早く終わって、優しくしてもらいたい。 でも、孝市さんは今日まだ俺に入れていないから、きっとまだまだこれは終わらない。 早く終わって欲しい。 「こう、いち、さん…」 「ん?なんだ?」 「はやく、こういちさんのが、ほしい」 「春はこれが好きだなぁ。俺の、何が、どこに欲しいのかちゃんと言ってごらん」 「こういちさんの、お○んちんを、おれのおしりにいれてほしい…」 「しょうがない子だ…」 孝市さんが椅子に座った俺の腰を少し前に引いて、後ろに入っていた道具を引き抜いた。俺は腰を引かれたせいで殆ど椅子の座面に背中を預ける様な格好になっていて、ずり落ちた尻を孝市さんが支えている。 道具が抜かれたそこに、すぐに代わりに孝市さんのモノが入ってくる。 道具よりも大きくて熱いそれが、ミシミシと孔を広げていく。 「あ…ああ…」 ずっと開きっぱなしの口から、孔を広げられる痛みと快感の声が出るのが止まらない。 「気持ちいい?」 「は、い…きもちいいです…」 孝市さんが淫乱めと呟いてまた楽しそうに笑った。 そして、ぐっと腰を押し込んだかと思ったら、すぐに先っぽまで抜いて、また奥まで突いて…を繰り返した。 道具では得られない快美感を与えられた俺ははしたなく悶え苦しんだ。 *** 椅子の上で孝市さんは1回中に出したけど、まだ尿道の道具は抜いてくれないし、ずっと振動して敏感な所を直接強く刺激してくる。 ドライでは何回も絶頂させられたけれど、やっぱり出せないのは辛い。 孝市さんが足枷を外してくれて、椅子の手もたれを跨ぐような形で固定されていた足がようやく自由になる。 でもまだ首輪と手枷は取ってくれなかったので、調教の時間が終わったのかどうなのかわからない。 もうイきすぎて身体はクタクタだし、吐き出せなくて下は痛いくらい腫れている。 このままだったら、いつか病気になるのではと怖い。そんな病気があるのかは分からないが、普通だったら出てるものが出せないで逆流させられているのだ。身体にいい筈はない。 でも、病気になれば、入院して少し休めるのかもしれない。それはいいな、なんてことを取り留めもなく考える。 何かで意識を逸らしていないと身体が辛いから。 孝市さんに、寝室に行こうと手を引かれたけど、立ち上がるのが精一杯だ。 それでも言われた通りにしなきゃと足を前に出した拍子に後ろから孝市さんの精液が溢れて床を汚してしまった。 怒られる…。 「あーあ。俺が綺麗にしてあげるまで出しちゃ駄目だっていつも言ってるでしょ?」 「ごめんなさい…」 案の定孝市さんにもすぐにバレてしまった。きっと優しくなる時間が遠退いただろう。もう限界なのに…。 早く行くよと孝市さんに急かされる様に手を引かれたが、言うことを聞かない足が縺れてしまう。 孝市さんが焦れた様に俺を横抱きにすると、早足に寝室まで運んだ。手が胸の辺りに拘束されたままなので、しがみつけなくて振動が少し怖かったが、途中で振り落ちることなく無事ベッドに下ろされた。 もう腰から下が疼いて痛くて、もう調教は終わりにして欲しいと懇願するように孝市さんを見上げたが、孝市さんは笑って駄目と言って、股の間を串刺しにしている棒を指で弾いた。 ズキンとそこが鋭く痛んで、身体が震える。 「今度はここで調教だよ。さっきせっかく注いであげたのを春が出しちゃったから、もう一回入れてあげるね。…お返事は?」 「はい、お願いします…」 覆い被さって上から見下ろしていた孝市さんが満足げに笑って足の間に移動した。 また後ろに熱いモノが挿入されて、初めから激しく突かれる。 もう気持ちいいのか痛いのか何なのかよくわからない。 わからないけど、気持ちいいかと聞かれて精一杯頷いた。

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