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飛翔 8

その部屋は紫音の部屋の様で、男子の部屋らしく殺風景で少し散らかっていた。 紫音の足は真っ直ぐシルバーのパイプベッドに向かって、そこにそっと腰を下ろされた。そして、そのまま紫音も一緒にベッドに乗り上がって、頭に手を添えられながら後ろに倒された。 成すがままだった。紫音の行動に迷いがなさすぎて、言葉も挟めなかった。 紫音の匂いのするベッドの上で、真上には、紫音の端正な顔があって、一気に心拍が上がった。 なんで急にこんな風になってんの? 確かに感じる姿を…って言われたけど、こんな突然始まるの? 「ハル先輩、俺に、今と未来をくれるって言いましたね?」 紫音の真剣な顔と少し掠れた声が妙にセクシーでどぎまぎする。 でも、そう言ったのは本心だったのでこっくりと頷くと、紫音の顔が首元に埋められて、首に唇で噛みつくみたいなキスが降ってくる。 「これからこのベッドの上では、俺の事だけ考えてて。俺のことで頭の中一杯にして」 熱い吐息交じりの紫音の囁きに、コクコクと頷いた。 そんな事言われなくても、もう紫音の事しか考えられない。紫音の声と啄む様な口付けだけで、顔も身体も火照る。 衣擦れの音と、ちゅっ、ちゅっという紫音がキスを落とす音に耳からも煽られる。 紫音の唇が離れて、肩を抱かれた。身体をぐいっと起こされると、Tシャツをたくしあげられて、万歳するみたいに上半身に身に付けていたもの全部すっぼりと抜かれた。まるで子供の着替えみたいだけど、全部紫音のお下がりで大きいのがいけない。 そのまま紫音も男らしく一気に上を脱いで、俺よりも筋肉のある厚い身体が現れて、年下の癖にもう男なんだと思い知らされる。 またすぐに後ろに押し倒された。上半身の肌と肌がぴったり合わさるように上から抱かれて、唇に口付けられた。 紫音はぴったり覆い被さっているけど、怪我を気遣ってか体重をかけないようにしている様で、全く重さは感じない。 口の中で蠢く紫音の舌に控え目に舌を絡ませると、それがより深く入ってきて巻き付くみたいに絡み合った。 ただキスしてるだけで身体に触られてもいないのに腰の辺りに痺れが伝わって、それを逃がすように動かせる右足をシーツの上に這わせた。 それに気づかれたのか、紫音の手が足を撫でた。 その手がゆっくりと上がってきてゾクゾクする。 剥き出しの腹に、胸にその手が伸びてきて、敏感な突起の上も撫でられた。紫音の手がそこを掠る度に、身体がビクンと動いてしまう。 もう、隠せない――。 「ハル先輩、ここ気持ちいいんだ?」 紫音が唇を離してそんな意地悪な事を言う。紫音の顔をまともに見れなくて、腕で顔を隠した。 「…そんなこと、聞くなよ…」 「だってハル先輩かわいすぎるから」 今度は直接そこを摘ままれて、身体が大きくヒクンと揺れて紫音の意地悪な問いを肯定してしまう。 紫音の指は心得たとばかりにそこばかりを弄り出した。 「や…だ。も、恥ずかし…」 「恥ずかしくないよ。かわいいからもっと感じて」 紫音の指がそこを弾いたり摘まんだりする度にひくつく身体をどうすることもできない。 紫音は、そんな俺を見ても変な顔ひとつしないで仕切りにかわいいと言って蕩けた様な笑顔を向けてくれる。 断じて可愛くはないと思うが、紫音はきっと、俺がどんな風になっても許してくれるんじゃないかなと思わせてくれた。 そう思えたら、少しだけ楽になった。 紫音が身体の上からどいて、右側の空いたスペースにこっちを向いて横になった。左手は首の後ろに通ってきて、腕枕をされているみたいな状態だ。 「ハル先輩の足、踏んじゃったら困るから」 そう言って笑いかけた紫音の右手がズボンの上から足を撫でた。 「あ…」 その手に中心を擦られて、さっきから疼いていたそこに急に与えられた直接的な刺激に思わず声が出た。 慌てて右手で口を塞いだが、刺激を与えられ続けて高ぶる快感に呼吸は荒くなる一方だ。 「感じてる声、きかせて?」 紫音の手にやんわり腕をどかされて、またすぐに刺激を与えられる。 もう隠す術はなく、荒くなった息も、時折洩れる恥ずかしい声も紫音に知られてしまった。 もう紫音の顔色を確認する余裕もない。 そこを撫でる手が離れて、少し頭が働く様になったと思った時にはもうズボンのベルトもボタンも外され、ズボンを下げられる所だった。 裸を見られるのは恥ずかしい。 紫音はどこまでするつもりだろう。俺をイかせたいのかな…。 でも、俺は……。 脱がせる紫音の動きを助けるように腰を浮かせると、ベルトなしじゃ緩かったズボンは下着も一緒にするりと落ちていった。 「ハル先輩、きれい…」 恥ずかしくて自分でも見れない下半身に紫音の視線を感じる。 綺麗って…。紫音にだって同じ物がついてるんだから、綺麗も何もないだろう。 「…あんま見るなよ」 「舐めていい?」 勃ちあがった根本を掴まれて頭を起こすと、紫音の顔が股に埋められて行くのが見えた。 「ちょっと待って…っ」 その制止は間に合った筈なのに、紫音は迷いなくそれを咥えた。 じんわり暖かくて濡れた感触は堪らなく快感を呼んで、もう何も言えなくなった。 紫音の舌が気持ちいい所を這って、唇が少し強めに吸い付きながら擦る。 頭の中に霧がかかったみたいになってきて、気持ちいいとしか考えられない。自分を抑えられない。 「あ…ふぁ…っ」 手の指で両の乳首も転がされて、もう頭の中はぐちゃぐちゃだ。 股の間の紫音の頭が動く度に強い快感が突き抜けて、指が突起を強めに摘まむ度にもどかしい疼きが生じて、どうにもできない。 「んっ…しおん、も、はなしてっ」 ちらりとこちらを見上げた紫音は、口を離す所か動きを早めた。突起も摘まむ手も強くなって、痛いくらいなのに気持ちよくて…。 「やだ、しおん!っ…だめぇ……あ…ッ!」 ……やってしまった。思いっきり乱れたし、紫音の口の中に…。 頭のモヤモヤが晴れて冷静になるにつれて何てことをしたんだという思いが強くなる。 そして、瞬時にもう一つの思いも頭を過った。こっちを普通に弄られて絶頂したのは久しぶりだ。 普通じゃないことをしないとイけないと思い込まされていたけれど、そうじゃなかった。 あいつはそう思い込ませて俺を貶めようとしていたのかもしれない。 でも、違った。俺は、ちゃんと普通だったんだ。 「紫音、ごめん!ここに出せよ!」 紫音が頭を上げたので、ちょうど側にあったティッシュをたくさん取って、紫音に差し出した。 「もう飲んじゃいました」 「の…飲んだって…!」 紫音がにこっと笑ってとんでもない事を言うので、顔が熱くなった。 「ごめん、あんなの…。不味いだろ!吐いてきていいよ!」 「まぁ、美味しくはないですけど…ハル先輩のなら全然大丈夫。俺が口を離したくなかったんですから、気にしないで」 紫音はケロッとそう言ってるけど、あんなのを飲ませてしまったと思うと身の置き所がないくらい気まずい。それに、男のあれを咥えるのだって、普通したいと思わない筈だ。 そういえば紫音はいいのだろうか。 俺の感じる姿というやつはもう充分だろう。 俺ばっかり、あんな事してもらっては決まりが悪い。俺だって…。 「紫音のも、する?」 「え…するって、ハル先輩が俺の舐めてくれるの?」 「うん」 当然だ。紫音は男相手は初めての筈なのに、あんな事までしてくれたんだ。俺だってお返ししたい。紫音にも気持ちよくなって欲しい。 紫音のを…そう考えても不思議と嫌悪感は全然ない。 紫音は顔を真っ赤に染めていて、かわいいなと思った。 照れてるってことは、して欲しいということかな? 身体を起こして紫音と向き合うと、紫音のズボンに手を伸ばした。 身体に触れられている時からずっと気づいていたけど、紫音のそこはかなり前から硬くなっていて、苦しそうだ。 右手だけでベルトを外そうとするけど、やっぱり時間がかかる。 「ハル先輩、待って、待って」 紫音にベルトをいじる手を掴まれる。 見上げると、紫音の赤いけれど真剣な顔があった。 「そんな事されたら、俺もう抑え効かない…」 「俺だって紫音に気持ちよくなって貰いたいから」 正直にそう言うと、突然紫音の目付きが少し獰猛になって、纏う空気が変わった。 「ハル先輩が煽るのが悪いんですからね。もうどんなに恥ずかしがっても、俺のやりたい事してもいいですか?」 やりたい事? 今の流れは、俺がお返しをするって流れじゃなかったっけ? そう思っている内にまた倒されて、間髪入れずに乳首を口に含まれた。下のモノも躊躇なく扱かれて、下を向いていたモノにまた血が集まる。 「紫音!…これ、ちが…」 「違わないです。いつかはハル先輩にして貰いたいけど、それはまた今度。今はそれよりもハル先輩が欲しい」 この状況で俺が欲しいって…。 最後までスルってこと?

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