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第12話

約束をすっぽかされてから数日… 散々待たせた挙句、謝罪の一つもない。 怒りを通り越して呆れる。 社会人のクセに一般常識が守れないとか最悪だ。 望んだ約束じゃない分、余計にタチが悪い。 俺は、嫌な気分を振り払うように毎日を過ごしていた。 今日は久しぶりのオフだ。 ゆっくりしよう… そう思っていた。 それを邪魔したのは、突然の颯斗の訪問だった。 颯斗は来るなり散々泣き喚いた。 今は泣き疲れて膝の上に頭を乗せて丸まって寝ている。 伸びの一つもしたいところだが、下手に動いて颯斗を起こしたくなかった。 目が赤く腫れるまで泣いて、泣き疲れて眠るまでの経緯を見た俺にそんな事ができる筈がない。 「可哀想にな…」 頭を撫でてやる度に、ピクピクと睫毛が揺れた。 こんな可愛いヤツを散々泣かせた社長秘書とやらに怒りを覚えた。 颯斗をあやしながら、徐々に眠くなって欠伸をした。 そして、そのまま意識が薄れていくのを感じた。 「…ぁ、アッ…んン…あっあっ…奥、きもち…ぃ…」 甘ったるい声がする。 これは… よく知っている声が聞こえる。 それに、身体が重い… まるで、沈んでいくような感覚だ。 「…だめ…ぁ…ッ…そこ、ゃだ…壱矢さ、ん…グリグリしちゃ…ぁあッ…奥、ゃだ…」 下半身が熱い… 苦しい… 何かに吸い付かれて、それは不規則に蠢いている。 甘ったるい声と、湿っぽい水音… 知らない名前と、独特の青くささ… 身体のダルさと、息苦しさ… 「あっあっぁ…またイっちゃ…ぅ、ハァ…いちゃさんも、もっと…ンぁ…ッ…奥に、ちょーだい…ッ…」 目を開いたが、ぼやけて上手く見えない… なにかが俺の上で跳ねている事は分かった。 徐々に開けていく視界に映ったのは、俺の上で乱れ狂っている颯斗だった。 「イく、イく…も、でちゃぅ…ッあぁぁぁッ!」 「…ッちょ、颯斗…くッ!…」 なにかが腹の上にバタパタと降ってきた。 それは濁っていて、精液だとすぐに分かった。 そして、それとほぼ同時に強く締め付けられて、俺もイった。 颯斗の身体が引き攣ったように海老反りになって、俺の上に覆い被さった。 「は、ぁ…はぁ……シュート…ごめん…ごめん…、ごめんなさい…」 荒い呼吸のまま、颯斗はその言葉を何度も耳元で繰り返した。

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