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第13話

颯斗はまた散々泣いた。 罪悪感に押し潰されたんだと思う。 俺への罪悪感か、壱矢って名前の社長秘書への罪悪感か… とにかく、泣き止まない颯斗をあやして落ち着けた。 その後、颯斗はなにもなかったようにケロッとしていた。 先にシャワーに行かせて、俺はティッシュで後処理をした。 ゴムをした形跡はない。 中出ししたに違いない。 いくら寝込みを襲われたからといって、その事実はショックなものがあった。 相手が女だろうが男だろうが、ゴムは絶対だ。 盛大に溜息を吐いて、後処理をしたティッシュをガチガチになるまで丸めてゴミ箱に投げた。 そして、太腿までずり降ろされた下着とズボンを履き直した。 「ったく…」 今、俺の周りでは寝込みを襲うのが流行っているらしい。 一回目は八神、そして二回目は颯斗… これはもう、流行ってるとしか言いようがない。 それに、颯斗はこんな事をするようなヤツじゃない。 だとすれば、颯斗にこんな事をさせたのは壱矢というヤツだ。 友情に熱いタイプってわけじゃないが、颯斗は別だ。 颯斗を泣かせるヤツは許さない。 昔からそう決めている。 暫くすると、頭を拭きながら颯斗が出て来た。 「シュート、タオル適当に借りたぞ。」 「あぁ。」 冷蔵庫を開けて、水の入ったペットボトルを颯斗に投げた。 颯斗がそれをキャッチして、意外そうに俺を見た。 「どうした、シュート。珍しくすっげぇ気が効く。」 「珍しくって、お前なぁ…」 これは俺がこないだ身をもって体験した事だ。 だから気が効くとかじゃない。 ヤった後はとにかく喉が渇く。 「シュート、やっぱ怒ってる…よな?」 水を流し込んで、颯斗がゆっくり口を開いた。 俺は盛大に溜息を吐いた。 「確かにお前に寝込み襲われたのに気付いた時は焦ったけど、別に怒ってはない。」 「シュートは器がデカいな、チンコもデカいけど。」 「おーおー、そりゃどーも。…つかそれ、器がデカいって言うのか?」 「俺がこんなバカしても怒らないで受け入れてくれるし…」 俺は器がデカい男なんかじゃない。 器がデカい男は、セックスで慰めたりなんてしない。 結局俺は、一番楽な方法を選んでいるだけだ。 「俺もシャワーしてくる。」 「じゃぁ、俺は腹減ったしコンビニでなんか買ってくる。」 「いや、シャワーしたら俺が行く。」 「でも俺が行った方が効率良くね?」 「そんな顔で出歩くなって言ってんだ。」 颯斗の胸を軽く小突いて、シャワーを浴びに行った。

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