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第20話

外は薄暗くなっていて、風が冷たい。 俺は軽く肩を震わせた。 店のすぐ前に車が止まっているのを見つけた。 ここら辺には似つかわしくない車で、見るからに高級車といった感じのその車から出てきたのは八神だった。 八神は俺を見つけると遠慮がちに手を振った。 「お疲れ様、蹴人。来てくれて嬉しいよ。早速で申し訳ないのだけれど、乗ってくれるかい?」 八神が助手席のドアを開いた。 「え、あ、あぁ…」 高級車なんかに乗った事がない俺は恐る恐る乗り込んだ。 八神はそんな俺を見て笑った。 そして、運転席に乗り込んで俺がシートベルトをしたのを確認すると車は走り出した。 「身体の調子はどうだい?」 「それ、…いつの話だ。」 「確かにその通りだね。もう二週間以上も経っているのだからね。…けれど、とても気になっていたのだよ。」 「気にするくらいならガン掘りするな!つか、どこに向かってるんだ、この車は。」 「俺の家だよ。」 「は?」 「安心してよいよ。深い意味はないからね。」 八神は前科者だ。 信用ならない。 きっとまた何か仕掛けてくる筈だ。 そんな事を考えていたら、車が止まった。 「…随分広い駐車場だな。」 高級車ばかり止まったデパートの地下駐車場といった感じだ。 「そうかな、普通だと思うけれど。」 「お前、それ嫌味か。」 八神を睨み付けてからシートベルトを外して車を降りた。 八神がリモコンで鍵をかけた。 次に目にしたのは、高級ホテルにあるみたいなエレベーターだ。 見た事もないボタンの数… どうやらココはタワーマンションらしい。 そして、エレベーターは最上階で止まった。

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