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第8話

解決どころか余計に分からなくなった。 酷くむしゃくしゃする。 こういう時、このどうしようもない気持ちをどう発散していたのかが思い出せない。 そうだ、吐き出せばいい… ただ突っ込んで吐き出して発散すればいいだけの事だ。 ずっとそうやってきた筈だ。 そんな事すら忘れていた。 俺は、スマホを取り出して顔馴染みと連絡を取った。 そして、ホテルで会う約束をした。 もちろん八神に連れ込まれたような高級なホテルじゃない。 安くて、下品な雰囲気が漂ったラブホだ。 盛り上がる筈だった。 発散させる筈だった。 「…いつからインポになったんだよ!大きいだけで勃たないとかただの役立たずじゃん!」 一向に勃ちそうにないチンコをピンッと弾きながら呼び出した相手がそう言った。 連絡先を知っているだけで、名前は知らない。 もちろん、相手も同じだ。 「いや、そんな筈は…」 「勃たないなら呼ばないでよ!なんか萎えた…」 「悪かったって。」 「うるさい!なんか凄く傷ついた!!」 軽く足蹴にされた。 足蹴にされても当然だ。 でも、傷ついたのは俺も同じだ。 勃たない… この俺が勃たないなんてあり得ない… 「…」 「とっとと出てってよね!バカ!!」 足蹴にされたまま部屋を追い出された。 全部… 八神のせいだ。 全部全部全部… 全部八神のせいだ。 最初からおかしかった。 最初から狂っていた。 八神と初めて会ったあの日から、全て狂っていた。 俺はその日、初めて八神からの電話を無視した。

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