なら、あの男はなんだ？… 訳が分からない。 あの男が居ながら俺にあんな事を言ったなら許せない。 「どうやら伝わっていなかったようだね…」 「寝落ちる前に言うとかあり得ないだろ。…好きとか軽々しく言うな…」 「…軽々しく…だって？…」 八神の声色が変わった気がした。 凄く怒っているような、そんな声だ。 「他に好きなヤツが居るんだろ！！それだけじゃ飽き足りず俺にも手を出すとか、最悪だ！」 「君の他にも俺が好意を抱いている相手が居ると言うのかい？…おかしいね、君以外に好意を寄せた覚えはないのだけれど…」 「黙れ！それがお前の手口か！」 「蹴人、落ち着きなさい。」 「その言い方は止めろ、腹立つ！！どうせこういう関係のヤツがゴロゴロ居るんだろう！！」 「…君、本気で言っているのかい？」 俺はまたやらかした… 感情に任せて言葉を吐き捨てる癖… やっぱり人間の性格は、そう簡単には治らない。 「で、俺は何番目なんだ？」 「君がなぜそのような事を言い出すに至ったのか、俺には理解できないのだけれど、これだけは言わせてもらうよ…。俺が愛している人は、君だけだよ。」 「嘘だ！！」 「嘘ではないよ。信じられないと言うのならば、無理心中でもするかい？君とならば、俺は構わないよ。」 「…」 ドン引きだ。 「俺はそれ程までに君を愛しているのだよ。君の信用を勝ち取る事ができるのであれば、俺はどんな事でもできるよ。」 「怖ッ…」 「本来ならば、このままベッドに拘束して監禁してしまいたいくらいなのだけれど、今の俺にはまだ君にそのような事をする資格がないのでね…」 「お前、マジ怖い…」 「結構本気なのだけれどね、無理心中。」 「…もう黙れ…頭ガンガンしてきた…」 「…蹴人、顔を見せてはくれないのかい？…ね、お願い…」 甘えた声… やっぱり八神は… 「…ズルい……ッん…」 振り向きざまに噛み付くような激しいキスをくらった。 舌を絡めとられて、くぐもった声が漏れた。 角度を変えて何度も噛みつかれる。 薄っすら眼を開くと八神も気持ちよさそうで、なんだか凄く安心した。 口の中がドロドロで、唾液も舌もどっちがどっちのか分からない程溶かされる。 唇が離れると、俺と八神の舌を糸が繋いで八神はそれを舐め取った。