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第2話
会社に戻ると折戸のキツい説教が待っていた。
「貴方は馬鹿なのですか?どこの会社に勤務中に脱走する社長が居るんですか?」
「万が一にも蹴人が浮気をしたらどうしてくれるのかな?君は責任が取れるのかい?」
「そういった事は、セフレ関係から昇格した際に言っていただきたいものですね。」
「それはまた、手厳しい…」
俺の記憶が正しければ、折戸に言葉で勝てた事がない。
悔しいが、折戸の言葉は的確だ。
「貴方が悪いのですよ。言われたくなければ私を怒らせるような事をしないでください。」
「…折戸、脱走して蹴人に会いに行く事を禁ずるのならば、蹴人に会えなくても俺が満足できるようにしておくれよ。」
「何を言い出すかと思えば…話になりませんね。」
「そうだな、例えばあのカフェを買収して、此処に入れるというのはどうだろうか?」
「貴方、一度死んでください。」
「酷いなぁ…俺にそのような事を言ってよいのは蹴人だけだよ。」
折戸が盛大に溜息をついた。
「…貴方と話をしていると頭がおかしくなりそうです…」
「それが駄目ならば、あの寝顔よりも可愛いらしい蹴人の写真が欲しいなぁ。あそこの絵を外して、特大パネルにして飾ろうと思うのだけれど、どうかな?」
「…怖いを通り越して、気持ち悪いですね。」
「きちんと仕事をするから、それくらいしてくれてもよいと思うのだけれどね。」
「仕事をするのは当たり前です。偉そうに言わないでください。」
「折戸、それくらいしてくれるよね?」
自慢の眼力で折戸を落としにかかれば、折戸が再度溜息をついた。
「…わかりました、約束ですよ?絶対にきちんと仕事してくださいよ?」
流石の折戸もこれにはタジタジである。
俺の最終手段だ。
「ふふ、楽しみにしているよ。」
「あぁ、そういえば、机の上に置いておいたエアメールはご覧になりましたか?」
「…エアメール?」
「一週間程前なのでご覧になっているかと思っていたのですが…」
「義母から届いていたエアメールの事かい?」
「そうです。」
「後回しにしたまま読み忘れていたよ。」
内容は目に見えている。
たまには帰って来いといった内容のものか…
もしくは、早く結婚をしなさいといった内容のものか…
分かりきった内容のものを読む気になれずに引き出し仕舞い込み、その存在をすっかり忘れていたのだ。
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