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第8話

暫くすると電車がホームに止まり、啓を見送ってから改札を出てた。 パーキングでは当然の事ながらほんの数分だというのに料金が発生した。 勿体無いと思いつつ支払いを済ませ、会社へ向かった。 そして、着いた途端になによりも先に折戸を相手に弱音を言った。 「…折戸、このままこの生活が続いたら俺は死んでしまうかもしれない…」 「…はいはい。」 「2日目にしてもう既にこのダメージだよ。若さというものは凄いね。改めて老いを感じてしまったよ。」 「今回はアルベルトさんはいらっしゃらなかったのですか?」 「アルベルト君…彼は偉いと思うよ。毎日啓の我儘に付き合わされているのだからね。」 「…まったく、貴方は他人の事に対しても鈍感すぎですよ。無条件にあんな我儘な子に付き合っていると思ってるのですか?」 「こら、人の可愛い弟に我儘な子などと言ってはいけないよ、折戸。」 「貴方から振っておいてよく言えたものです…」 いつものように仕事をこなし、啓が宿泊するホテルへと向かった。 添い寝で啓を寝かしつけ、家に戻った。 真っ先に蹴人に電話をしたけれど、蹴人が出る事はなかった。 遅い時間の電話であったし、もう眠ってしまったのだろうか… 胸騒ぎがして仕方がない。 考えれば考える程に深みにはまっていく。 関係が曖昧だからこそ頭に浮かぶ事はおかしな内容ばかりだ。 何かあったのかもしれない… 悪い癖が出て、俺以外の人と関係を持っているのかもしれない… そのような事ばかり考えてしまい、俺が眠ったのは朝方だった。

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