136 / 270
第13話
この場所を蹴人と二人で使用した事はない。
俺はゆっくりと蹴人に近付きシャワーを止めた。
蹴人は振り返り、俺を睨んだ。
「おい。」
裸の蹴人を前に我慢など出来る筈がない。
ずっと触れたかった…
「シャワーの音は、邪魔だからね。」
「は?」
蹴人を壁際に追い詰めて、逃げられないよう、蹴人の足の間に片足を割り込ませた。
そして、膝で蹴人のモノを刺激した。
よくもこのようなはしたない事が出来たものだ。
自分に呆れてしまう。
何度か繰り返すと蹴人のモノが反応を見せ、育っていった。
「んン…ッ…」
この耐えるような小さな鼻にかかった可愛らしい声…
下手をすれば聞き取れない程小さな…
シャワーを止めたのはこの為だ。
「…蹴人の声は全て聞いておきたいからね、シャワーの音は邪魔だよ…」
「朝っぱらから盛…るな…ッん…」
蹴人の唇を塞ぎ、言葉を奪った。
膝で蹴人のモノを刺激しながら何度も深いキスを繰り返すと蹴人から力が抜けていくのが分かった。
口元からは水音とあの可愛らしい声…
唇を離してもまだ足らない俺は、顔中にキスを落とした。
「蹴人、君は本当に可愛らしいね…」
「可愛いわけないだろっ、止めろ…」
「素直じゃないね…」
今日の蹴人は何時にも増して素直じゃない。
何故だろう…
蹴人の頬を撫でながら俺は不安にかられた。
「お前、仕事…ッ…だろ…」
「そうだね。仕事はあるけれど、少しでも休むようにと、折戸が色々と気を回してくれてね。午後からの会議に間に合えばよいと、半休を貰っているから…」
「知るか…ッん…はぁ…止め…ろ…」
「蹴人、集中して…」
「…んッ…黙れ…っ…」
「…今日はいつもよりも強情なのだね。」
「…んン…黙れって…ッ…」
「…早く流されて…」
いつもならば少しの刺激とキスで流される筈の蹴人が今日は中々流されてはくれない。
むしろ、拒否をしているようにも感じられた。
不安ばかりが強くなった。
「…なら…流して、…みせろよ…」
「言われなくてもそのつもりだけれどね…」
口ではそう言っているものの、身体が俺を拒否しているのが感じられた。
余裕などないのにも関わらず口元に笑みを浮かべた。
ともだちにシェアしよう!