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第18話

その後、落ち着いた啓に朝食を摂らせ、身支度を待つ事1時間… スーツを着るわけでも、女性のようにお化粧をするわけでもないにも関わらず1時間… 「総兄さまお待たせ~。シャツのボタンが上手くできなくて…」 「…そ、そう…」 頭を抱えたくなった。 シャツもろくに一人では着られない高校生が目の前に居て、それが自分の弟だと思うと、啓が可哀想にさえ思えてくる。 啓がこちらに居る残りの時間、じっくりと徹底的に折戸に躾けてもらおうと思った。 荒療治になるだろうけれど、何もせずにあちらに帰すよりは良いだろう。 「総兄さま、頑張ったんだけどおかしくない?大丈夫?」 「啓、頑張って着たのだろうけれど、二番目のボタンを掛け違えているよ?」 「え?…あ、ホントだ。」 啓は自分で直そうとしていたけれど、待ってあげられるだけの時間がなかった。 啓の掛け違えたボタンを手早く直して部屋を出た。 啓の手を引きながら早足で駐車場に向かい、啓を助手席に乗せて会社へと急いだ。 「どれだけ待たせるのですか、貴方は…」 会社の駐車場に入り、定位置に車をつけておりると待ち構えていたかのように威圧感を漂わせながら折戸が立っていた。 「ごめんね折戸…少し手こずってしまってね…」 「壱矢、総兄さまをいじめないでよねッ!」 「おや、これはこれは啓一郎くんではありませんか。おはようございます。相変わらず我が儘三昧で総一郎を困らせているのですか?」 折戸は、啓を相手に毒づいている。 2人はとても相性が悪い。 「なっ…我が儘なんて言ってないよッ!」 「自覚がないとは、もはや重病なのではありませんか?心配ですので、差し支えなければ頭の検査の予約入れておきますが?」 啓は顔を真っ赤にさせて悔しげにしている。 「こら、折戸も啓もそこら辺にしておきなさい。」 このままにしておくと永遠と続きそうな気がして、二人を止めてエレベーターへ歩き出した。

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