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第24話

何日が経過しただろうか… 目まぐるしく過ぎていく日々… 心が、彼を恋しがっている。 しかし、会う勇気もない。 冷たくあしらわれる事は目に見えている。 日が経てば経つ程に会いづらくなっていく。 逃げ腰になるだなんて、歳のせいだろうか… この数日、啓は日本での生活に慣れ、今では一人で電車に乗り、観光をし、会社まで顔を出す事ができるようになった。 三枝さんにすっかりと懐いてしまったらしく、俺の仕事が終わるまでの間三枝さんの仕事を手伝うようになった。 最近では我が儘も少なくなったように感じる。 やはり、折戸に任せて正解だったようだ。 生活にゆとりができた事は確かだ。 けれど、そのゆとりが俺を苦しめる。 俺の生活から抜け落ちた蹴人という存在… このまま俺達は、なにも無かった事になってしまうのだろうか… 車を運転しながらそのような事を考えていた。 「…ぇ…ねぇってば、総兄さま聞いてる?」 「…どうしたのだい、啓。」 「もー、やっぱり聞いてない!!」 「…ごめんね、啓。少し考え事をしていてね…」 「あのね、総兄さま。僕ね、そろそろ帰ろうかと思ってるんだ。昨日パパから電話があってね、出張から帰って来るんだって。」 啓が少し照れたように言った。 「…そう、あの人が電話をね…」 たかが出張から戻るくらいで… 母が亡くなってからも、それ以前も、俺はあの人からそのような電話などをもらった事がない。 これではまるで、俺があの人に愛でられる啓に嫉妬し、自分も愛でられたいと願っているみたいではないか… 馬鹿馬鹿しい… 「総兄さまは、相変わらずパパを"あの人"って言うんだね…なんか、淋しいなぁ…」 啓の前では形だけでも"父"と呼ぶべきであるという事は理解している。 しかし、あの人を"父"であると思うだけで気分が悪くなる。 ビジネスであると言うのならばまだしも… 「啓が淋しがる必要はないよ。」 「うん、そうなんだけど…」 「話がそれてしまったね。啓は俺に話があるのではなかったのかい?」 「あ、うん。あのね、アルがね…パパの出張に一緒に行ってて、パパが帰ってくるってゆう事はアルもね…帰ってくるでしょ?」 アルベルト君は随分と啓を手懐けたものだ。 「…啓は、早くアルベルト君に会いたいのだね。」 「…ッ…ち、違うよッ!!ぼ、僕が居ないとアルの仕事がなくなっちゃうでしょ?だから早く帰ってあげないとでしょ?」 「ふふ、そうだね。アルベルト君もとても喜ぶのではないかな。」 啓は照れながらも嬉しげにアルベルトくんの話をした。 そんな啓に自然と笑みが溢れ、綺麗な金色の髪を撫でた。 啓は身をすくめて気持ちよさそうにしていた。 啓はとても素直で可愛らしい… もしも、蹴人がこれ程素直であったなら… 想像をしてみたけれど、上手く思い浮かべる事が出来なかった。 ふと横目が蹴人の働いているカフェを捉えた。 会いたい… 声が聞きたい… 思い切り甘やかしたい… 触れたい… 押し殺していた気持ちが溢れてしまった。

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