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第39話

下半身の重さと、何かに締め付けられているような感覚で目が覚めた。 金縛りだろうか… 重い瞼を薄く開いた。 その先には蹴人が居た。 夢のような出来事に俺は瞼をキツく閉じてから再度ゆっくりと目を開いた。 蹴人は俺が目を覚ましている事にも気づかない程夢中で腰を振って乱れていた。 「は…ぁ"…も、イッ…イく…ッあ"ぁぁっ!!」 蹴人が身体を震わせながら仰け反った。 達したのだろう、生暖かいものが俺の身体を汚した。 飛距離は相変わらずのようだ。 「………相変わらず、凄い飛距離だね…蹴人…」 「はぁ…はぁ、…は…ぁ……」 余韻に浸る間も与えずに思わず声をかけてしまった。 涙目の蹴人と目が合った。 次の瞬間、蹴人は驚いたように目を丸くさせた。 蹴人の目が泳ぎ始めた。 状況の把握に時間がかかっているのだろう。 けれど、それは俺も同じだ。 なぜ蹴人がこのような事をしたのかは分からない。 俺は蹴人の顔を汚した白濁を指で掬って舐めとった。 「酷いなぁ…一人で、だなんて…」 「…ッな……!」 状況を理解したのか、蹴人が驚きの声を上げた。 「君は…このような悪戯を、一体どこで覚えてきたのだい?…」 俺のモノは、蹴人のナカで熱を持ったままだ。 この状況で達せないのは辛いものがある。 行き場を失った熱を身体が放出したがっている。 「知ら…ッ…あぁ!」 達したばかりの敏感な蹴人の奥を突き上げると、蹴人は身体を仰け反らせて強く俺を締め付けた。 蹴人のモノはまたすぐに擡げて、先走りを溢れさせた。 「蹴人…、俺はまだ達していないので、…もう少し頑張ろうね…」 「ひっ…く…ぁ、嫌…だッ…まだ、動くな…ぁあ…っ…」 「…はぁ……無理な、お願いだよ…ッ…」 「んっ…んン…はぁ…ッ…あ、ぁ…」 体位のせいだろうか、いつもよりも深い位置で繋がっている気がする。 奥を突き上げる度に、動きに合わせるように蹴人の腰が揺れている。 その動きは、まるで甘えられているようで可愛らしい。 「…蹴人…」 「…黙っ…はぁ…ッン、あぁ…」 「…んッ…いつもよりも、…声も身体も…甘えているね…ッ…」 「ぁ、…あぁ…知ら…あ、んン…」 ギリギリ胸元に蹴人の爪が食い込む。 奥を突くたびに、髪を振り乱しながら俺のモノを締め付けた。 次第に俺の呼吸も乱れ、蹴人の全てに誘い込まれるかのように高みへと駆け上がっていく。 「…はぁ…蹴人ッ…」 「…も、イきた…ぃ…八神ッ…イきたぃ…もぅ、無理…ッ」 いつもよりも熱を帯びた身体は激しく蹴人を求めている。 それに合わせるかのように蹴人もいつもよりも激しく乱れた。 表情、声… 全てが愛おしい… 俺の全てが蹴人を求めている… もう蹴人が居ないと… 蹴人でないと… 思えば思う程に激しい興奮を覚えた。 「…んッ…蹴人…ッ…」 射精を促すように、蹴人の悦い場所を攻めたてた。 身体を痙攣させた後、俺のモノを強く締め付けた。 「んっン…やだ…待て…ッ…んぁあッ!」 お互いを高めるように激しく攻めたて、蹴人が達したのとほぼ同時に蹴人の奥に熱を放った。 俺の胸に崩れる瞬間に一瞬だけ見せた蹴人の表情は、あまりにも綺麗で… 呼吸を乱しながら目を伏せても鮮明に瞼の奥に焼きついて離れなかった。

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