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第28話

何度も何度も繰り返されて、いい加減じれったい。 「…おい、…しつこい、お前…」 「うん?…蹴人には少し頑張ってもらわないといけないからね。」 「…が、頑張るって…何を…」 八神が、俺の腰を掴んでチンコを先端部分まで引き抜いた。 浅い場所がもどかしいと思ったのも一瞬だった。 腰を掴んだ手に力が籠こもったと同時に、一気に引き摺るように腰を落とされた。 何が起きたのか分からない。 「がはッ…あ''ぁ…ぅ、あ''ッ…」 衝撃に目の前がチカチカして身体が仰け反った。 上手く息が出来ない。 腹が苦しい… 俺は、ようやくココで八神が言っていた奥の意味を知った。 知らない場所に八神が居る… 「…ッ…蹴人…気が付いているかい?…君、今の衝撃でまた達してしまったのだよ?…本当に…可愛らしいね…」 二度もケツでイったのはショックだが、それどころじゃない。 いつもは待ってくれる筈の八神が、待つ事なく正面座位で激しく揺さぶる。 アラフォーのクセにタフなヤツだ。 まだ待ってほしいのに、八神はガツガツ容赦なく突き上げてくる。 「…ぅあ''ぁ…は、ぁ…ぐ…ンん、ふ、深…ッ…」 油断したら振り落とされそうだ。 八神の首に腕を回して、キツく抱きついた。 なにも考えられないまま揺さぶられ続けた。 口の中に鉄の匂いが広がって、それと同時に奥に熱いのを感じ、そのまま八神とベッドに崩れた。 暫く弾んだ荒い息だけが聞こえていた。 「ッ…はぁ……蹴人…」 「…先、イって…やんの…」 腰を浮かせて抜いた。 精液が溢れ出て、内股に伝う感覚も未だに慣れない。 でも、それでも八神を受け入れるのは… 俺の奥に触れていいのは、あの日から八神だけだと思っているからだと思う。 そんなのは認めたくないけど… 「…ごめんね、色々と…限界だったものだから…」 「…俺もイきたい…」 「…よいよ…俺に、見せて…」 言われてる意味は分かってる。 俺は八神の上でまだ震えてる膝を踏ん張らせてチンコ握って扱いた。 見られている… それだけで興奮して、扱く速度が早まる。 でも、足らない… 「…ん、はぁ…ッ…」 「…蹴人…可愛らしいね…君は…」 「…ッ…は…ぁ…黙れ…ッ…」 「好きだよ…」 「んんっ…ぁ…八神ぃ…先っぽ…は、ぁ…」 「…触れてほしいのかい?…」 「あっ…ん…先っぽ…触って…くれ…」 「よいよ…手伝ってあげる…」 骨張って男らしくありつつ綺麗な指先がグリグリ刺激する。 足らないと思っていたのに、それだけですぐに膝が震えてイった。 飛んだ精液は八神の顔面に引っかかった。 「…はぁ、はぁ…ッ………へ、…ざまーみろ…」 八神はそれを指で掬って舐めとった。 「…美味しい。」 「わけないだろ…バーカ…」 俺の精液を顔面にぶっ掛けられた色っぽい八神の顔が、なんか見ていられなくなって、乱れたシーツ手繰り寄せて少し乱暴にグシグシと拭き取った。 「そのような事はよいから、おいで。」 引き寄せられて八神の胸に崩れた。 ふと八神の肩に目が行った。 噛み跡… さっき、口の中が鉄臭くなったのはこれが原因だったらしい。 「痛いか?…コレ…」 「…大丈夫だよ、これくらい。蹴人にあのような事を言ってしまった事や、会えなかった時間の方が余程辛かったからね…」 「…バカ…」 「新見君のアドバイスを素直に聞き入れて正解だったよ。」 「颯斗?」 「新見君が、蹴人は臆病だから追い詰めすぎてはいけないと言うものだからね、少し突き放してみようかと思ったのだけれど、一言口にしてしまったら止まらなくなってしまって…」 「は?」 「あの日の俺の台詞は、ほとんどが嘘ではあるけれど、嘘にはほんの少しの真実も隠されているものだよ…」 俺も八神もまんまと颯斗にやられたらしい。 でも、今はそんなのはどうでも良かった。 安心した。 嫌われたわけではない… 見放されたわけでもない… その事に、ただただ安心した。

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