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第17話

この場所は俺の家で唯一蹴人が寛いでいる場所だ。 その様な場所が一つでも俺の部屋に存在しているという事が嬉しくて仕方がない。 食器を洗い終え、タオルで手を拭くと蹴人の元に向かった。 「君は、本当にこのソファーが好きだね。」 「別に好きってわけじゃない。ココに居るしかないだろ。」 「いつも決まってこのソファーに居るのでね、気に入っているのかと思っていたのだけれど…」 「なんとなくだ。」 本当に可愛らしい… 蹴人らしい返答に思わず笑みが溢れた。 「…ねぇ…蹴人、一緒に暮らしたいな…君と…」 気付けばその様な事を口にしていた。 思わず漏れた本音… きっと言ってはいけない言葉だ。 蹴人を縛り付けてはならない。 そのように思っていた。 けれど、一時たりとも離れていたくはない。 蹴人の全てを見ていたい。 永遠に… 「はぁ?なんの冗談だ。」 「俺は、どのような時でも君の事に関しては本気だよ。」 そう言われる事は目に見えていた。 「君が頷くまで何度でも言うよ。」 俺の中で警告音が鳴り響く。 これ以上は言ってはならないと… 「黙れ。」 「何度でも言うと言っているでしょう?」 俺らしくもない。 自制ができない。 「俺には俺の生活があって、家もある。」 「知っているよ。」 「知ってるならそれ以上言うな。」 あからさまな拒否… そのように言われる事くらい、理解していた筈だ。 理解しているにも関わらず勝手に傷付いている。 「来年、此方に弟が来るのでね、此処を弟に譲って、引っ越そうかと思っているのだけれど、その場所に君が居てくれたら…とつい考えてしまってね。」 弟が来年から日本で暮らすのは本当の事だ。 しかし、このマンションを譲るという話はたった今思いついた事だ。 「ろくな事考えないな、お前。」 「酷いなぁ。俺はいつも蹴人との事を考えているよ。」 「…」 「帰したくはない…このまま俺の側に永遠に居たらいいとね、そのような事ばかり考えているよ。今すぐに答えを欲しているわけではないよ。考えてみてはもらえないかな?」 「無理だ。」 心が悲鳴をあげる。 言わんこっちゃない… だから、言うなと言ったのに… これは、自制心を保てなかった俺のミスだ。 「即答…か、…少しは悩んで欲しかったな…」 「…少なくとも、母ちゃんと姉ちゃんのスネ囓ってるうちは無理だ…」 情けない… 俺よりも蹴人はずっと冷静で大人だ。 しっかりとしている子だ。 それに比べて俺は… 「一年も待てないよ…」 「…一年なんて、あっという間だろうが…」 その言葉に対する蹴人の言葉は意外なものだった。 それはまるで… あと一年待てば… 大学を卒業すれば共に暮らしても良いと言っている様だ。 しかし今の俺はその一年間すらも惜しいのだ。 「…君は若いからいいかもしれないけれど…」 「…年齢とか関係ねぇだろ。」 「俺には関係あるよ。…少しでも長く蹴人と居たいんだ…」 「だからこうして一緒に居るだろうが。」 「…足らない。」 俺は、我が儘だ…

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