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野菜スープ

「ご飯が出来たよ」 やり終えた後、俺を寝室に残して朝食の準備をしに行っていた天城がドアの所から顔を出した。 ご飯……行かなきゃ……。 「立てない?」 ベッドから足を下ろすまではよかったけど、そこからどうしても立ち上がる事ができずにいると、手が差し伸べられた。 「どうしたの?掴まって」 躊躇する俺に対して、掴まるのが当然だと。何の疑問もないだろうという顔をして、天城は首を傾げる。ついさっき俺を叩いた事を、まるで忘れたみたいだ。でも、俺はこの手に掴まるしかないのだ。 「今日はお粥だけじゃないよ」 肩を貸して貰ってリビングに向かう途中、そう言われた俺はあっさりと天城に懐柔された。 嬉しい。何だろう。楽しみ。 確かそんな事を言った。力の出ない声を弾ませて。 お粥に追加されたのは、細かく刻んだ野菜が少しだけ浮いてる野菜スープだった。 正直、期待が大きかった分落胆も大きかった。 そんな顔見せたらまた何をされるか分からないから、表面上は喜んで見せたけど……実際口にしたらそんな演技は必要なかった。塩味以外の野菜の旨味がこんなに美味しいなんて知らなくて俺は感動しながら野菜スープを一気に飲み干した。珍しくおかわりを薦められたから、3杯飲んだ。 朝食の後は大体入浴の時間だ。天城に「行っておいで」と言われるのが合図。優しくされている様でその実、管理されている。食事も、入浴も、セックスも。何一つ自分で選べないし決められない。与えられるものは拒絶できないけど、与えられないものを欲しがる事はできない。 今時、ペットでさえ今の俺よりマシな生活をしていると思う。最低限愛されていれば、嫌がることはされないと思う。殴られたり、無理矢理ヤられたりなんか、しないと思う。 野菜スープを沢山飲んだお陰か、いつもよりも頭が冴えている。でも、そのお陰で色んなことを考えてしまって辛い。 由信の家で、『愛されて育つということ』を学んだのがいけなかった。それが普通だって知らなければ、俺はもっと今の状況を受け入れられてたかもしれないのに……。 ーーー由信、どうしてるかな……。 俺が突然いなくなったから、心配してたりするんじゃないだろうか。それよりも、あいつひとりで大学行けてんのかな……。でも、俺がいなくても土佐がいるし、彼女の美咲さんもいるし、なんとかなってるか……。 久しぶりにここでの生活以外の事を考えながら、妙に身体が熱い事に気がついた。お湯の温度、高かったのかな……? 泡立てたボディタオルを身体に擦り付けると、肌がザワザワした。 熱い………。 心臓がバクバクして、息が苦しい。 今日は長湯しないで早めに出よう。 そう思って何気なく下を向くと………。 何、これ………。 ちょうどその時だった。 「一緒に入ろう」 浴室のドアが唐突に開いて、裸の天城が中に入ってきた。こんな事は初めてだったし、突然の事に俺は固まってしまった。下腹部を隠す事もできずに。 「愛由、どうして勃ってるの?」 案の定気付かれて、天城はニヤニヤしている。今更隠したって意味ないけど、俺は両手でそこを覆った。 「ねえ、一人でしてたの?」 「ち、ちがうっ!してない!」 「ついさっきセックスしたばっかりなのに、足りなかった?」 「そんなんじゃ……!」 「愛由は本当に淫乱だね」 「違う!」 言葉で必死で否定してもクスクス笑われるだけだ。だって性器はずっと勃ち上がったままで、治まる気配もない。 「仕方ないから付き合ってあげるよ」 抱き締められ、身体を撫でられながら唇が重なる。 違う、こんなの望んでない。俺がしたい訳じゃない。 それなのに………。 「身体は正直だよ、愛由」 キスが気持ちいい。触られる所も全部気持ちいい。 膝はガクガク震えて今にも崩れ落ちそうなのに、舌を絡めるのがやめられない。気持ちいい。 「これが欲しかったんだろ?」 キスの合間に囁かれて、思わずコクコク頷いてしまう。 欲しい。熱くて熱くて堪らない。口も、身体も、アソコも、疼いて仕方がない。 「次はどうして欲しい?」 「そ、こ……触って……」 「そこって?」 「そこ……した……」 「ここかな?」 大きな手が、刺激を求めてプルプル震えていた性器に触れて、もうそれだけで気持ちよすぎて倒れそうになった。倒れなかったのは、しっかりと支えて貰っていたお陰で、俺はもう殆どの体重を天城に預けている。 「あ……あ、……」 「気持ちいい?」 「………、もち、いい……」 「ほんっとに可愛いなあ……」 まだちょっとしか扱かれてないけど、もうイきそう……。 そう思ったとき、身体をクルリと回転させられた。前のめりに倒れそうになった身体を、辛うじて目の前の鏡に付いた腕で支える。 「さっきヤったばっかだし、中出ししたから十分濡れてるよね」 ひたと後ろの入り口に熱い物が触れた。 これから起こることを想像したら、身体がゾクゾクした。無論、怖い訳ではない。そこを貫かれて、中のむず痒い所を擦って突いて貰える事を期待して………。 「う……ン…………あああ……ッ!」 期待通りに入ってきた塊に疼いている所を全部擦られて、目の前で火花が散った。 ナニコレ………。 「ところてんしちゃったね……」 興奮に上擦った声がしたけど、ナニソレ。 思ったけど聞けない。顎が外れたみたいに口が閉じなくて涎が飲み込めない。 「あ……やッ……ああっ……」 出し入れされる度にナカが気持ちよすぎて、口から涎がだらだら溢れる。アソコからは精液が溢れる。 「気持ちいい?」 気持ちよすぎて泣きながら頷いたらキスされたから、入ってきた舌を夢中で吸う。ああどうしてこんなに……。 「俺の事好きだからだよ」 ―――好き……? 「そう。好きだから気持ちいいんだよ。ねえ、言って、愛由」 「ん……す、き……すき……そう……、ちゃん……っ」 「いい子」 ご褒美、と気持ちいい所が強く刺激されて、精液が勢いよく飛び出る。 「あああっ……!!」 ………またイったのに、腰の動きは緩まらない。 「も……や、ぁ……ッ、あたま、ッおかしく、なるっ……ヘンに、なる……ッ!」 どうしよう。こんなの知っちゃって。俺、もう元に戻れない。 涙がポロポロ溢れる。 悲しい……? わかんない。ともかく気持ちいい。気持ちよくて、へん………。 「ランチも……………お代わり……いいから………」 何か言ってる。けどもういいや。わかんない。気持ちいいしか、わかんない………。

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