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獣性
「いただきます」
お碗一杯のお粥と、たっぷりの野菜スープを前に愛由が手を合わせる。
愛由は滅茶苦茶な出自の割に行儀がいい。礼儀作法なんて親から教わったとは到底思えないし、施設でも自発的にこんな事しなかったから、覚えたのは及川の家でか………。
―――面白くない……。
愛由は目の前のものをあっという間に平らげては、俺の食べる普通の食事を物欲しそうに眺める。常に空腹が満たされていないせいで。
「野菜スープのお代わりいる?」
アメを散らつかせると、愛由が嬉しそうにコクコク頷く。何が入れられているのかも知らずに………。
くくくと笑いだしてしまいそうになるのを堪えて、薬入りの野菜スープをもう2杯飲ませた。まだ欲しがったけど、流石に4杯目には薬は入れずに渡した。
「なんか甘い……」
薬の僅かな苦味を敏感に感じとっていたのか、ただの野菜スープを口にして愛由が呟いたから、少しだけ焦った。次からは3杯でやめさせよう。
食事を終えて暫くすると、いつも顔色の悪い愛由の頬がピンク色になって、明らかに血色が良くなってきた。良く見ると息遣いも少し荒い。
「愛由」
椅子に腰かけたままの愛由の手を取って立たせて手の甲に口付ける。
「ベッドに行きたい?」
「なん……で……」
そのまま手の甲から指先までキスを沢山。
「そんな顔してるから……」
「ちが、……っ」
5本の指先全部に吸い付いて、それが終わったら今度は舌を這わせた。性器にするみたいにいやらしく舐めて、最後にはしゃぶりつく。
「も……や、……っ」
中指をじゅぶじゅぶ音を立ててしゃぶっていたら、愛由が膝から崩れそうになった。腰に手を回して抱き留めたけど、シーツは敢えて落とした。ハラリと肌蹴た愛由の下腹部は、完全に反応している。
「愛由って本当にエッチだね。ご飯食べて元気になったら、すぐセックスしたくなっちゃうんだ……」
「そ、んなんじゃ……」
「だって指しゃぶられて想像したでしょ?俺に、こっちもしゃぶって貰うこと……」
愛由は羞恥のあまり顔を真っ赤にして震えている。
「もっかい聞くけど、ベッド行く?それともこのままでいい?」
「………いく……」
「ん?何?」
「ベッド……い、く………」
潤んでいた愛由の瞳から、ついに涙がこぼれ落ちた。
この涙はどういう涙なのかと深く追究することもせず、そそくさと愛由を抱き抱えて寝室へと向かう。愛由を焦らしたつもりが自分自身も焦らされて、我慢の限界だったのだ。
すぐにむしゃぶりついた愛由の身体は、敏感になりすぎてどこを触っても鈴の音の様な可愛い声を上げる。
挿入したらさっき覚えたばかりのトコロテンを何度も繰り返して、それでもしつこく中を責め続けると、また「おかしくなる」と言いながらあっけなく失神した。
「だらしないなあ……」
身体から力が抜けてぺしゃんこになった愛由の腰をつかんで無理矢理膝を立たせると、再び腰を振る。
「……っひゃあ……ッ」
「こら!」
息を吹き返すみたいに意識を取り戻した愛由が、啼いて逃げ出そうとしたから、尻を強めにベチンと叩いた。
「ぃッ……あ……!」
すぐに何が悪くて怒られたのかを察して逃げなくなって動きやすくなったけど、抽送が激しさを増すにつれて喘ぎ声というよりは絶叫に近くなる。
「あああ……っ!」
「うるさいな少し黙れ!」
それかもう少し色っぽい声を出せ。
愛由は、素直に手で口元を覆ってフーフー苦しそうに声を殺した。
「出る……っ!」
強く腰を打ち付けて、愛由の一番深くで精液を迸らせる。この瞬間は、本当に天にも昇ると言っていい程の快感だ。身体的にも精神的にも満たされ、愛由の細胞のひとつひとつに自身を溶け込ませた様な気持ちになれる。こうしてセックスをする度に、愛由がまたひとつ俺の物になっていく………。
一滴残らず奥に出して、溢さぬ様にゆっくり性器を抜く。でも、細心の注意を払っても、中で出した大量の精液はすぐに出てきて愛由の白く綺麗な太股を伝う。俺の一部が、愛由の一部になればいいのに。
愛由はまた気を失っていた。
薬は加減が難しい。早く薬なしに乱れてくれる様になればいいのだが。まあ、毎日このペースで仕込めばそう時間はかからないだろうが………。
「くくく………」
ふと見下ろした愛由の尻には、手形がいくつか残っていた。さっき叩いた所は赤くなっていて、広げる様にずっと掴んでいた所はいつの間にやら内出血を起こしている。正常位の時開かせる内腿にも、よく掴む腰にも同じような痣があるのが常になっていて、俺はこれを大層気に入っている。
愛由が好きすぎて、自分の獣性が抑えられない。一応今は精神科を専攻しているも関わらず、愛由を手に入れる過程において本当は冷静な面などひとつもない。少なからずその知識が役に立っている部分もあるけれど、殆ど衝動と本能でやっている。
ああ愛由。喰ってやりたい程、激しく愛してる………。
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