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抱いてください

頭がボーっとする。 お腹が減って、もうずっと、順を追って物事を考えられてない。 ここから逃げ出さないと、と時々使命感が甦っても、そもそも行動に移す体力がないし、考えも纏まらなくていつも実行できない。 特に頭が沸いたみたいにおかしくなる時間がある。それは、宗ちゃんが言う通り、食事を摂った後だ。 宗ちゃんいわく、俺は変態だから、ご飯を食べて元気が出たらセックスがしたくなってしまうんだと。そんなまさか。これまで、宗ちゃんにここに連れて来られるまでは、そんな事一度もなかった。 でも確かに宗ちゃんの言う通り、食事の後はだんだん身体が熱くなって、宗ちゃんに触れて欲しくて堪らなくなるのだ。 恥ずかしくて一人でトイレで処理しようとした事もあった。けど、すぐにバレて寝室に連れていかれ、罰として宗ちゃんの目の前で自慰を命じられた。勿論逆らうことなんて出来ない。嫌だって言ったら容赦なく叩かれるし、その後のセックスも酷くされるから。 それにしてもあれは死ぬほど恥ずかしくて嫌だったから、それからはトイレに逃げるのはやめて、素直に宗ちゃんにお願いする事にしている。 時々思う。何でこうなったんだろうって。 宗ちゃんからは恋人だからと言われる。俺が宗ちゃんの事大好きだから抱かれたくなって、何されても気持ちよくなるんだって。 俺、宗ちゃんの事、絶対許さないって怒ってた筈なのに、一体いつから好きになったのかなあ………。 まあいいや。俺男なのに女みたいに突っ込まれてるけど、気持ちいいからいいや。そもそも俺、今よりもっともっと前から、胸張って男だって言えない様な事ばっかしてた。だから、今更だ。全部、今更。 「愛由、好きだよ……」 「宗、ちゃん……俺も……」 宗ちゃんは、イった後必ずそう言ってキスしてくる。その度に俺もって答えるのは、もはや通過儀礼の様にすらなっている。 セックスが終わって、それまで激しかった気持ちいいの感覚が余韻になっていくに従い、頭が少しはっきりしてきて、バカみたいに乱れた自分と、俺の上に乗ってる宗ちゃんに嫌悪感を抱く。 同時に、身体中がギシギシ痛みだす。宗ちゃんに掴まれた所や、足の付け根や膝の裏。後ろ手に引っ張られた時に痛めた肘の関節なんかが特に酷い。 それらの痛めた箇所の痛みが引く前にまた次の食事になって、身体が熱くなって嫌悪感を忘れてただただ触って欲しくなって次のセックスが始まる。そしてまた同じところや違うところを痛めて、俺の身体は痣だらけになる。 俺は色々人に言えない様な事をやってきたけど、ちゃんとセックスするのは正真正銘初めてだった。それでもわかる。俺が宗ちゃんとしているこれは、普通じゃない。こんな風に痣になる程強く抑えつけられて、日に何度もヤるのは、普通の事じゃないって。 でも、俺は服従する以外の術を持たない。 本当は、このままでいいなんて思ってないけど、逃れられない以上諦める以外にどんな道があるというのだろう。自分の意思を貫き通してこれ以上酷い目に遭うのはごめんだ。 * 全然お腹に貯まらない食事を摂って、セックスして、寝て、食べて、セックスして。 同じことが毎日毎日繰り返されて今日で何日目だろう………。 「愛由、おいで」 俺の身体は本格的におかしくなった。 食事もひとつの引き金ではあるけれど、今はそれだけじゃない。ソファに座る宗ちゃんがこっちを見ている。ただそれだけで、宗ちゃんが醸し出すセックスの雰囲気を感じとるだけで、下腹部がムズムズする様になった。 宗ちゃんの目の前までヨタヨタ移動して、いつも言われる様に羽織っていたシャツを自分で床に落とす。 「抱いてください……」 そうお願いして、焦らされる様に全身なめ回す様に見られてから、膝を叩く合図で宗ちゃんの上に跨がる。首に腕を回すと、深いキスが始まる。 ここまで来たらもう俺の股の間は誤魔化しようがないくらい張りつめて、ムズムズが辛くて勝手に腰が動く。 キスが終わったと思ったら身体が反転して、俺はソファに仰向けになった。 「あ、あ……っ」 性器をしゃぶられ、乳首は両手で転がされる。 気持ちいい………。 いつの間にか乳首の刺激が片っ方になって、後ろの穴に指が入っている。 「ん、ん……」 気持ちいい……気持ちいい……もうだめ………。 「また後ろでイく?」 もう何でもいい。どっちでもいいから早くイかせて……。 「あ……あ………っ!」 下の穴に入ってくる質量が指の比じゃない。気持ちよさも………。 「ああっ……や……も、いっちゃう……っ」 「相変わらず堪え性のない子」 足を持ち上げられて肩に担がれる。無理矢理伸ばされる膝の後ろが痛い。でも、痛みよりも挿入が深くなって気持ちいいの方が強い。 「やあああ……ッ!」 目の前で火花が散って、生暖かい液体が自分の身体にかかる。宗ちゃんが口許を歪めて何か言ってる。 イ、ン、ラ、ン。 それを読み取って何かを感じるよりも先にまた中を突かれ始めたから、俺もまた気持ちいいしか分からなくなって、口からは恥ずかしい嬌声しか出なくなる。それは、宗ちゃんがイくまでずっと………。

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