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宗ちゃん 6

その後2回同じ事があって、俺は漸く気付いた。宗ちゃんに渡される、あのお茶のせいだって。あれを飲むと、急激に眠くなるのだ。思えば、あれを飲まされていたのは初めて宗ちゃんが泊まった時から毎回で、だから俺は毎回毎回、宗ちゃんがいる日は異様に寝付きがよくて、服を脱がされ様が、触られようが目覚めなかったんだ。俺はそれさえも、宗ちゃんがいて自分が安心してるからなんだって、いい様に捉えていたというのに………。 「はい、お茶」 俺は、渡されたそれを飲むフリをしながら、宗ちゃんがこっちを見ていない隙をついてそっとゴミ箱に流す。ゴミ箱には予めティッシュを沢山丸めて捨てたおいたので、お茶は音もなくティッシュに吸い込まれていく。 俺が空になった湯呑みを机に置くと、湯飲みの中を宗ちゃんが然り気無く確認した様な気がした。そして、自分の分を飲み干すと、ベッドへと俺を誘う。 今日こそ。今日こそ眠くならない筈。宗ちゃんに、やめてって言える。 宗ちゃんを許すのか、それとも拒絶するのかは、まだ決めきれていない。でも、そもそも、あんな事されてたのを知っても尚こうしてこれまで通りを装っているのだから、その時点で、謝ってくれたら許すつもりがあるという事だ。謝って、くれたなら…………。 いつも通りキスをされて、寝たフリをした俺の寝息を、宗ちゃんがじっと確かめている気配がある。 狸寝入りなのがバレてるんじゃないかってドキドキしたけど、それでも暫く嘘の寝息を立てていたら、宗ちゃんが起き上がった。 そして、迷いなく俺の着てるフリースに手をかけた。両手を万歳の形にされて、手馴れた様子で上の服が脱がされる。俺は、思わず拒みそうになる力を必死に抜いて、まだ寝たフリを続けていた。 「っ……」 上半身裸になった俺の身体に、宗ちゃんの手が這う。意図的に指で刺激を与えられているのは、胸の二つの尖りだ。思わず息を飲んだら、宗ちゃんがクスッと笑った気がした。 摘ままれ、捏ねられ、弾かれて、敏感になったそこがツンと立っているのが、見なくても分かる。くすぐったくて、でもそれだけじゃないジンジンとした感覚が腰に落ちていって、身を捩りたくなる。 でも、まだ早いかな………。上半身だけだったら、言い訳されてしまうかな………。そんなことで迷っている内に、宗ちゃんの手が下腹部に伸びた。 「ン…………」 多分、既に少し反応していたそこを、スウェットの上から揉みしだかれて、他人に与えられる久しぶりの直接的な刺激に、腰から下がブルリと震えた。 ダメ。もう、これ以上は………。 「はあ、はあ、愛由………」 気づけば宗ちゃんの息遣いが物凄く荒くて、獣みたいだと思った。そう感じた途端、自分がされてる事に強烈な嫌悪感を覚えて、前触れもなく瞼を開く。 「宗、ちゃん……」 宗ちゃんは、もう言い逃れなんて出来ない格好をしていた。 ズボンと下着を太股まで下ろして露出させている性器を扱いていた。俺のそこを弄りながら。 「愛由………」 宗ちゃんは、驚く事も、自分のしていることを隠すこともせずにうっとりとした声で俺の名を呼ぶと、唇にキスをしてきた。ただし、いつもと同じ触れるだけのものではない。下唇を甘噛みされてから、迷いなく舌が口の中に入ってきた。 「ん………や、あ……」 やめてと肩を押した手はマットレスに押さえつけられ、たっぷり口の中を翻弄された後に唇を離した宗ちゃんの顔は、俺の胸元に下りていって、今度は乳首を甘噛みする。 「や……やめて……っ」 なんで……? こんな筈じゃなかった。 俺に気付かれた宗ちゃんは、慌てて俺に触れるのをやめて、ごめんって俺に謝ってくれて、もうこんなことしないって誓ってくれて、俺にとって優しいばっかりの宗ちゃんに戻ってくれる筈だった、のに………。 「怖がらなくていいよ。そのまま感じてて……」 「や……ぁっ」 嫌じゃないでしょ?と性器を握られ、息を飲む。 「寝たフリなんかしちゃって、可愛いんだから。恥ずかしいなら、初めは目を瞑っててもいいんだよ」 寝たフリって、バレてた……。 ショックを受ける隙も与えられず、ウエストのゴムの所からスルリと入ってきた手が、萎れかけの性器を握って扱く。さっきよりももっと直接的な刺激に、ゾクゾクとした快感が背筋を這い上がる。 「あ……や、だ……、だめ……っ」 「駄目じゃないよ。これも寝る前のキスと一緒。少しずつ慣れていくからね……」 キスと同じ……。少しずつ慣れる……。 宗ちゃんの態度はキスしてきた時と同じ。そうするのが当然の事みたいに言うから、俺は訳が分からなくなって混乱する。 キスと同じ様に、このまま身を委ねていれば、やがて、こうされる事が俺の中でも当たり前になって、どうでもよくなるのかな………。宗ちゃんに裏切られたとか、傷つけられたとか、思わずに済むのかな………。

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