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裏切り

※♀×♂の描写があります。ご注意ください。 「お仕置き、ないと思った?………そんな筈ないだろ。俺の事、あれだけコケにしておいて」 宗ちゃんの声色は冷たい。怖い。まるでさっきとは別人みたいに………。 「宗、ちゃん……優しくしてくれるって……」 震える声で、祈りを込めて言う。どうか冗談だって言って………。 「ああ優しくしてあげるよ。愛由がいい子ならね」 「いい子に、する、から………」 「うん、これからはちゃんといい子にしてないとね。けど、それとこれとは別。やった事の罰は、ちゃんと受けないと」 「なん、で………。ゆるしてくれるって、言った、のに……」 「そんな事、一言も言ってない。怒りを抑えて優しくしてやってるって言っただけ。……今だって、本当は殴りたいのを我慢してやってんだからな!」 宗ちゃんは喋りながら徐々にヒートアップしていくみたいに口調が荒くなって、ついには怒鳴った。 俺は、怖くて、悲しくて、また涙を溢してしまう。期待した俺が馬鹿だった。人は、そう簡単には変わらないんだ………。 これからどんな酷い仕打ちを受けるんだろうと思うと、身体が震えて絶望的な気持ちになる。 「しゃぶって」 短くされた命令に身体を起こす。そして、宗ちゃんの下腹部に顔を埋める。 「これからお前を、もう二度と逃げ出す気なんて起きない様に躾直す」 熱い身体で懸命に奉仕しながらそんな無情な宣言は為された。 「自分で跨がって入れなさい」 まるで仮面を被ってるみたいに無表情になった宗ちゃんの命令に黙って従う。 宗ちゃんのペニスが俺の唾液で濡れてるとは言え、なかなか巧く入らずに手こずっていたら、こめかみに何かが掠めた。その何かを探るのにベッドを見ると、ローションが転がっている。宗ちゃんが投げつけたのだ。 「さっさとしろ」 苛ついているらしい宗ちゃんをもっと怒らせない為に、俺は急いでローションを手に取って自分の後ろに塗ったくる。 「っく……ぅう………」 濡れた事でようやく先端を埋める事が出来たから、深く差すために体重をかける。早く入れないといけないのはわかっているけど、どうしても慣れるまでは痛みがあるから恐る恐るになる。 「……あぁっ!」 その腰を、宗ちゃんに掴まれたと思ったら、下から思いっきり突き上げられた。 「さっさとしろって聞こえなかったか!」 「っは、ぁ、……ごめ、な……さい……ッ」 痛いほど激しく中を突き上げられて、息も絶え絶えになりながらも必死で腰が逃げない様に我慢する。 「今度は自分で動いて」 腰をぎゅうと掴んでいた宗ちゃんの手がパッと離れて、そう言われる。俺は、宗ちゃんを満足させる様に痛みを堪えて腰を上下させた。その内に、ようやく中が拡がったのか、痛いのが消えて気持ちいい感覚が強くなり始めたから、それだけに身を委ねるように目を瞑って腰を振った。 「そんなに激しく動いちゃって、気持ちいいの?すっごいやらしいな」 「はっ……あぁん……きもち、い……っ」 疲れきっていた筈なのに、快楽を覚え始めたらさっき抱かれた時よりももっともっと気持ちよくなってきた。宗ちゃんの切っ先が気持ちいい所に当たる様に、深く抉る様に、無心に腰を揺らす。 頭の片隅で、そう言えば薬飲まされたんだって思い出したけど、こんなに何もかも忘れて没頭できるなら悪くないと思った。 「随分とよさそうだね。可愛いけど、これじゃあお仕置きにならないから、ね」 宗ちゃんに尻を叩かれて目を開ける。いい所だったのに、邪魔しないで欲しい………。 「愛由、あっち向いて」 「……?」 「こっちにお尻向けるの」 宗ちゃんから誘導されて身体を回転させて、宗ちゃんと同じ方向を向く体位に変わる。四つん這いになれって事なのかなと思って前に体重を乗せようとしたら、宗ちゃんが身体を起こして座って、後ろから俺を羽交い締めにした。 「そのままじっとしてて」 何だろうと思っている内に、いつの間にか宗ちゃんの手には半透明のプラスチックバンドがあって、それで足を縛られた。宗ちゃんの足と纏めて、片足ずつ。 「な、に……」 何をされるのか怖くなってきて、宗ちゃんを振り返ろうとしたけど、叶わない。また上半身を羽交い締めにされたから。 「入っておいで」 宗ちゃんが意味不明な事を言った。戸惑っていると、唐突に部屋のドアが開いた。そこには――――。 「このお仕置きは、俺も気が進まないんだ。けどさ、愛由の裏切りはそれだけ俺を傷付けたんだから。愛由にも、同じだけ傷付いて貰わないと、フェアーじゃないだろ?」 「ねえ、私とヤルのを罰ゲームみたいに言わないでくれる?」 そこにいるのは、バスローブ姿の美咲さんだ。 自分の今の姿と状況を見られた事も充分パニックに値するけれど、何故ここに彼女がいるのかも、何のためにいるのかも全然分からなくて、けど分からないから怖くて、頭が混乱して、訳が分からなくて、俺はともかく暴れた。 「離してっ!嫌だッ!!」 精一杯宗ちゃんから離れようとしているのに、足は縛られていて動かせないし、上半身は宗ちゃんからがっしりと支えられていて逃げ出せない。そうでなくても、変な薬のせいか、それとも足腰が立たないくらいやられていたせいか、こんなにも逃げ出したい状況なのに、身体に力が入らない。 「大人しくしなさい」 「ッあ……や、……っ」 宗ちゃんから貫かれた中を突き上げられると、美咲さんの前だというのに電気が走るみたいに快感が全身を駆け抜けてふにゃりと力が抜けてしまう始末で、あまりの情けなさにまた涙が出そうになる。 「愛由君やらしー」 「や………」 茶化すような声で羞恥心が増幅して、自尊心もズタボロだ。見られたくなくて隠そうにも、何一つ隠せない。足は開かされて閉じられないし、せめて顔や下腹部を隠したくても、手だって自由にならない。 「今更隠さなくても、あっちの部屋でずっと見てたから。私が誘惑しても全然見向きもしてくれなかったから、愛由君って淡白なのかと思ってたけど、全然そんなことないんだね……」 あっちの部屋で……? 少ししてから漸くピンときた。また、どこかにカメラを仕掛けられているんだって。けど、それにショックを受けるよりも、今この状況をどうにかしたくて、俺は懇願する。 「宗ちゃんお願い離して!こんなのいや!」 「嫌でも仕方ないよ。お仕置きなんだから」 やられてる所を美咲さんに見られるのがお仕置きっていうの……?そんなの悪趣味過ぎる! 「もうやめて!もう逃げないよ!約束するから!」 「……早く始めて」 宗ちゃんは俺の願いを無視して、冷たい声で美咲さんに言った。 早く………って、何…………。 考えている内に美咲さんがバスローブの紐を解き始めたから、俺は咄嗟に顔を背けて目を瞑った。 それがいけなかったって、気付いた時にはもう遅かった。宗ちゃんにいきなり身体を後ろに倒されて、ベッドのスプリングが揺れて、次に目を開けた時には、もう美咲さんが俺の上に跨がろうとしていた。 「……何、する……気………?」 「見て分かんない?エッチするの」 ――――え…………。 「や……やめてくださいっ!なんで……!だ、め!やめ、……!!」 美咲さんの手が、薬のせいで異常に猛ったままの俺の性器を掴んで、冷たいローションをかけた。暴れる俺を、宗ちゃんがまた後ろから強く押さえつけて揺さぶる。やめろと叫ぶ口はうるさいと塞がれて。力が入らない。逃げ出せない。こんなの絶対に、あってはいけないのに――――――。

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