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愛由の素直な態度と真っ赤に泣き腫らした目を見て、俺は確信した。 由信には美咲の手駒をつけて愛由に近づけない様にしたし、土佐には、愛由のスマホから誤送信のフリをして俺への愛の言葉を山程送っておいた。あいつにその気がなければ一線を置くだろうし、もしもその気があったとしたなら、完全に敗北したことを悟って、愛由から離れるだろう。あいつも相当女にはモテる様だから自信はあるだろうが………残念な事に相手が俺では、負けを認めるしかないだろう。俺があいつに劣っている点など、ただのひとつもないのだから。 そう。確信したのは、愛由とあの邪魔物どもとの縁を、漸く切ることが出来たと言うことだ。 笑いだしてしまいそうな程上機嫌な俺は、いつも以上に優しく愛由を抱擁して、何度も何度も愛を囁く。 愛由の身体から凝り固まった力が抜けていくのと同時に、抱擁に応える様に回された腕がぎゅっと絡み付いたのが分かった。愛由の世界の中心が、俺ただ一人になった瞬間だ。 もっと早く、あいつらを排除しておけばよかったのだ。前も厳しくしていたつもりだったけど、全然ぬるま湯だった。だから逃げられたのだ。あの別荘に監禁してた頃と同じ様に、俺しか見えない様にするべきだった。今度は鞭も去ることながら、たまには飴も与えてやろう。愛由が自ら俺に堕ちて来れるように……。 「愛してるよ」 何度も何度も囁く。 愛由は愛される事に慣れていない。同時に、愛される事に飢えている。 「宗、ちゃん………俺、どうしたらいい………?」 俺の愛の囁きに溶かされた愛由は、トロンとした目で困った様に俺を見上げてくる。 こんなに何度も愛を囁くのは初めてだったから、「俺も」と返すだけでは足りないと言われている様に感じたのかもしれない。 「何も。ただ俺が、愛由を愛してる事を伝えたいだけだから」 言うと愛由はほっとした様に目を閉じて、額を俺の胸に預けた。 こんなに簡単だったのか、と些か拍子抜けする程簡単に愛由が手に入った様な気がした。 夕飯を作って二人で食事をする。 掃除や洗濯なんかはメイドにやらせているが、食事の支度だけは必ず俺自らがやっている。 今日はムニエルを作った。愛由は「おいしいよ」と食べる。 愛由にこうして食事を食べさせるのも、セックスで俺の一部を愛由の中に刻むのと同じくらい、愛由を征服した気持ちになる。 人間の細胞は3ヶ月でおおむね生まれ変わるらしい。つまり、3ヶ月経てば、愛由の身体は俺の作ったもので作り替えられる。そうなれば、もう愛由は細胞レベルで俺のもの………。

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