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凌辱 5

「お前に残された選択肢は二つだけだ。ここで、一生我々の慰み者として生きるか、もしくは一生宗佑の所有物として生きるのか」 昨日と同じくらいの人数のおじさんたちにさんざん犯られた後、宗ちゃんの父親から投げかけられた言葉だ。 こんな毎日じゃ、死んでしまう。たった2日で、もうこんなにも心も身体もボロボロだ。ひとおもいに死ねるのなら、もう死んでしまいたい。けど───。 そう考える度に浮かんでくるのは、土佐の顔だ。昨日、地下室に閉じ込められる前に必死で聞いた土佐の事。宗ちゃんの父親は、「お前がいい子にしていれば悪い様にはしない」と言った。 昨日も、今日も、死にたいと思うたびに、土佐の声と宗ちゃんの父親のその言葉が交互に浮かぶ。土佐をまた怒らせたくないし、悲しませたくない。そして何よりも土佐に犯罪者のレッテルを貼りたくない。その思いだけが、俺をここに繋ぎ留めていた。 「宗佑が懐かしいか?」 「……」 コトンと、床に何かが置かれた。目をやると、簡素な皿の上に食パンが乗せられていた。 ここに連れてこられて初めて出された食べ物だった。飲み物は気紛れに与えられていたけど、エネルギー源は何も……。 卑しい俺は、迷わずそのパンに手を伸ばす。それは、カチカチに乾燥していた。ずっと使われてた口が、顎が、ずっとずっとだるくて、堅いパンを齧るのは大変だった。けど、とてもお腹がすいていて───。 「美味いか?宗佑は、毎日お前のために豪勢な料理を作ってやってたそうじゃないか」 無心に硬いパンを齧る俺に、宗ちゃんの父親がそう投げかける。 「随分愛されていたんだな。本当のお前には、慰み者になるくらいの価値しかないし、食事だってこの程度で十分なのに」 宗ちゃんは、確かに美味しいご飯をくれた。けど──俺は決して愛されてなんか……。 「時間だ」 無情な宣言とともに、半分も食べていないパンを取り上げられる。 「地下室へ行け」 ぐいっと首輪を引かれ、地下室まで歩かされる。嫌だと言っても聞いてもらえるはずもなく、ボロボロの身体では抵抗も空しく、昨日もされた拘束具を次々に装着される。 「宗佑の元に帰りたいのなら、そう乞いてみろ」 「…………」 俺が何も答えずにいると、宗ちゃんの父親はフンと鼻を鳴らし、俺の口に猿轡を噛ませた。 「また明日も可愛がられるのを楽しみにしてるんだな」 無情に重いドアが閉じられる。暗闇に、俺をただ一人残して……。 * * * 宗ちゃんの父親は、凌辱の後に必ず言うのだ。「宗佑に愛されていた頃は幸せだったな」と。 おじさん達は、時にメンバーを変えながらも毎晩俺を凌辱しにやってきた。地下室と、寄って集って凌辱される寝室の往復を、もう何日繰り返してきたのか…………。 単調なおもちゃは飽きるのか、苦し過ぎて反応が鈍くなると、決まって新しい暴力が追加される。戯れに殴られたり、排泄物を飲まされたり、意識がなくなるまでアルコールを飲まされたり、怪しい薬を飲まされたり塗りたくられたりもした。悪酔いにのたうち回る様を笑われ、おかしな薬で異常に発情するのを笑われ、急性アル中や薬物中毒で意識を失っては死なないためだけの応急措置をされてこの世に繋ぎ止められる。 こんな事が毎日続いてまともでいられる筈はなく、俺は少しずつ壊されていった。案外丈夫な身体ではなく、中身が。脳が、破壊されていった。 頭のネジが何本も緩んでしまったみたいにいつもぼーっとしてる。 「愛由くん、昨日は辛かったでしょ?大丈夫?」 シャワーのザーって音に混じって聞こえてきたのは、運転手のおじさんの声。優しい調子だ。怒られてはいない。なんて言われたんだっけな。どんな音だった?考え始めて今言われた事を理解する前におじさんがまた声を発する。 「こんなに小さな愛由くんのアナルにぶっといの二本も入れるなんてね。もう痛くない?…」 また何か聞かれてる。けど、理解するよりも先に別の事に気を取られてしまう。お尻の穴に、指を入れられたこと。 「よかった、いつも通りの締まり具合だよ……。愛由くんは毎日処女に生まれ変わるのかなぁ?」 「ぁ……や……っ」 おじさんがゆっくり指を出し入れする度にそこからくちゅくちゅ音がして、クイクイって感じる所を押されたら変な声が出てしまう。この感覚はもうたくさんでウンザリなのに───。 「ああ可愛い。えっちな愛由くんに、おじさんもうメロメロ……」 お尻の中を弄っていた指が一気に抜かれた刺激にびっくりして、ガクガクしてた足が崩れ落ちそうになる。そうならなかったのは、鼻息の荒いおじさんに腰をガシッと掴まれていたから。 「入れるからね。今日の愛由くんの処女も、おじさんがいただきっ!」 「や、あぁああ……っ」 言われてる事があまり理解できなくなっても、身体に与えられる刺激と快感だけは鋭くやってくる。いっそその部分のネジも緩んでくれればいいのに、頭が全部真っ白になるのは絶頂の瞬間だけで───。

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